第12話 迷い
「本当に大丈夫だって。」
ジーナを保険室に連れてきた。思ったより元気そうだった。
「万が一ってやつがあると困るからな。」
「嫌いなのよ。病院とかこういう場所。」
ぶつくさ言っている。
「何もないことを確認する場所でもあるから、我慢しなさい。」
「なんかお兄ちゃんみたい。」
「実際、孤児院ではお兄ちゃんだったからな。言うこと聞け。」
「はーい。」
ジーナはそう言ってベッドに横になる。
こうして見ると年相応なのだろう。
医者がいなかったので、勝手にベッドを借りている。
他に誰もいないおかげか、ジーナは少し気を緩めているようだった。
「でも凄い威力だったわ。校長が自分より強いっていうのも納得しちゃう。」
「遠くから見てもやばい威力だった。」
脇の椅子に座りながら答える。
「あれは確かに魔法じゃ無理ね」
「まるっきり使っていないってわけじゃないみたいだったが。」
「え!どういうこと?」
ジーナが起き上がって身を乗り出す。
「使っているというレベルじゃなかったが、少しだけ消費しているのが見えた。」
「そうなんだ。気付かなかった。」
そうしてジーナは少し考える仕草をする。
「使い切るまで待つってのはどう?」
「無理。100回投げても平気だな。」
「どうなってんのよ。あの先生は。」
ジーナは再度ベッドに身を投げ出す。
「ねえ、これからどうする?」
それはこの学科に残るかという問いだろう。
「残るさ。やめたところで出来ることないしな。」
「でも体鍛えなきゃいけないでしょ。魔力を手放すの?」
ジーナの問いに、すぐには答えられず、押し黙った。
少し目を閉じて、子供の頃を思い出していた。
季節はクリスマス。嵐の夜、孤児院で皆で震えていた。
そんな中、トーラスが泣き出してしまい、
その不安の波が伝播して皆泣き出してしまった。
シスターが困っていた。
何とかしたい。みんなを安心させたい。その一心だった。
初めて魔法が発動した。
光の玉が出ただけだった。
がっかりしたが、何でもいいからと、とにかく出し続けた。
その光の玉は、孤児院のみんなで飾り付けたクリスマスツリーに反射した。
綺麗なホワイトクリスマスになった。
その時のシスターの言葉を今でも覚えている。
「ありがとう。リオは魔法使いね。」
皆、笑顔だった。
その日から僕は魔法使いだった。
目を開き、ジーナに向き直して、答える。
「魔力が無くても、僕は魔法使いさ。」




