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世界は魔力でできている  作者: 真瀬 万知久
第一章 入学編

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第10話 魔力と力

「ふざけないでください!」


熾烈な演習のなか、ジーナの怒号が飛ぶ。


「真面目にやってるんだけどな。」


ユーリ先生は至って冷静に対処をしている。

確かに戦いというには余りにも一方的だ。


先生が劣勢という形で。


「さっきから避けてばかりじゃないですか!戦う気があるんですか!」


言いたくなる気持ちもわかる。

実際、ジーナの魔法は見事なものだ。

王族に伝わる洗練された火の魔法を使い、当たれば確実にダメージを負う。


そんな魔法に対して、ユーリ先生は魔力を一切使わずに、走って逃げ回っているだけだった。


ジーナの渾身の連撃をかいくぐり、膠着状態に入る。


「戦っているさ、ジーナ君。」


ユーリ先生は続ける。


「逆に聞こうか、君も当てる気があるのかな?」


「はぁ……はぁ……っ、どういう……ことですか。」


流石に魔法を使いすぎたのか、呼吸が乱れている。


「君の魔法は素晴らしい。威力も十分。だが、走り回る私に対して、一度も当てることができていない。それは魔法が使えないのと同義ではないかな?」


極端な理屈だな。

別に凄いんだからいいじゃないか。演習なんだし。


「何故同じ事を繰り返すばかりなのかい?当たらないなら近づいて打つなりすれば良いのに。さらに息も切らしてしまっている。」


ジーナは呼吸を整えてから答える。


「先生の武器が、身体能力なら、近づくのは得策じゃないです。遠くからなら一方的に攻撃できます。」


「決定打を与えられないなら、同じことだ。」


少しの沈黙。

魔力を使い過ぎ、息を切らしていたジーナに対して、逃げ回っていた先生は何一つ消耗していない。


先生の優勢は誰の目にも明らかだった。


「それに君は勘違いをしている。」


ユーリ先生は答えながら、おもむろに校庭に落ちている石を拾う。


一体何を


「僕はこの距離でも決定打を与えられる。」


その仕草を見た途端、戦慄が走る。


「やばい!ジーナ!避けろ!」


ユーリ先生は振りかぶり、石を投げる。


その石はジーナの僅か左を掠めて、通過していった。

当たれば死ぬ。そう思わせるだけの威力があった。

ジーナもそれを理解したようで、へたり込んでしまう。


「ここはね。戦場なんだよ。」


そういう先生の言葉は、どこか悲しそうだった。

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