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剛腕のアルべリク

 そんな会話があったのが三日前。

 そして俺は、いまだに結論を出せないでいた。

 なんせアリスと顔を合わせるたびに気まずい雰囲気が流れるので、できるだけ鉢合わせしないような生活を心がけ、考えに考え抜いた結果こうなってしまった。

 別段、アリスに協力するのはいいのだ。なにせこちとら職なしの身で、アリスに力を貸してもらえるなら次の仕事が見つかるまで食ってはいけるだろう。とういうかそうしないと家を追い出される。

 ただ反面、この前のように命を狙われてはたまったものではない。俺自身がアリスに感じた気持ちを度外視するのであれば、それだけがネックだった。

 はぁ、とため息をつけば、手に持ったモップが視界に入る。

 現在、店内の掃除中。床掃除の時間。

 チラリと店内を見渡してみれば、俺の他には誰もいない。テーブルに上げられた椅子の足が天井を向いている光景だけが目に入った。

 今日は俺が店内の掃除を受け持ち、従業員には暇を出している。それは母親とて同じで、アリスと共にお出かけをしていた。こどおじとして家にいる身分上、ときにはこういうゴマスリも必要なのである。

 さて、どう返答したものかと思っていたところ、ドンドンドン! と店の扉が叩かれた。

 なんじゃ? と首を傾げてみれば、再び扉がドンドンドン! と叩かれる。

 うっせぇな。今日は休みだ帰れクソ客。と、宿屋あるまじき態度で扉に近づこうとして、「あん?」

 と、不審に思ってしまう。

 扉を叩き続ける音に混じって、どうにも金属っぽい音が聞こえてくる。俺の聞き間違いでなければそれは、甲冑が擦り合わさる音だった。

 まさか。と思い、俺は念の為に腰に差していた剣に手をかける。そして、ゆっくりと扉に近づいて行った、そのときだった。


「ふ〜〜〜むっ!!!」


 メリッ! と扉からドアノブが引きちぎられた。続け様に、


「どああああああああああ!!!」


 掛け声と共に扉が吹き飛んだ。

 同時に、扉の向こうからぬっと大男が姿を現した。大男は粉々になった扉の残骸をずっしずっしと踏みしめながら店内へと入ってくる。


「失礼つかまつる! 我輩はコジマグ王国の十二武官にして、キングズ・ガードの隊長を務めるアルベリク・アルドワン! またの名を……」


 大男は兜をぐいと脱ぎ捨て、呆然と立ち尽くす俺の前で立ち止まった。


「剛腕のアルべリクと申す! こちらにユースキー殿は居られるかぁ!」


 そう叫んで、剛結な瞳で俺を見下ろしていた。

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