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第44話 やっちゃえ!

楽市(らくいち)は怖がっているけれど、朱儀(あけぎ)にはまるでピンとこなかった。


以前殴りまくったストーンゴーレムと比べたら、ひょろりとした枝みたいじゃないか。

朱儀はそう考え、ストーンゴーレムを完全に舐め切っていた。


そんなストーンゴーレムから、先に仕掛けてくる。

四体がそれぞれ、だらりとした腕の手首だけを動かし、ハルバートの切っ先を朱儀に定める。

 

次の瞬間腕がかすみ、四本の巨大なハルバートが砲弾のごとく朱儀へ突っ込んできた。

ストーンゴーレムは、生物のような後ろへ反る予備動作が全く無く、動きのタイミングがよく掴めなかった。

一瞬だけ反応が遅れた朱儀は、全てを避け切れず、一本だけまともに喰らってしまう。


(ふああああぁー!)


しかし突き刺さる寸前に、穂先を両側から手の平でしっかり挟み込んでいた。

それだけではスピードの乗ったハルバートの質量を殺しきれず、後方へ吹き飛ばされてしまう。

ハルバートの穂先を掴んだまま、朱儀は何とか石畳のふちギリギリで踏み止まった。


ふう……やるじゃないか。

朱儀が手応えのある相手に会えてニヤリとしたとき、身の内側から雷が落ちる。


(あーぎっ、もっとちゃんとして!)

(あそぶな!)

(あ……)

 

((へんじは!))


(あ……い……)


朱儀は二人の姉に怒られて、しょんぼりしてしまう。


(しょんぼりは、あとっ、いくよ!)


夕凪(ゆうなぎ)のしったに、慌てて返事をした。


(あー!)


この間、楽市はやられたと思い白目である。

敵から立ち位置を分からなくするために、青白い炎が三本噴出し、朱儀を包み込んで荒れ狂った。

 

朱儀はキャッチしたハルバートをかかえ、炎の壁越しに狙いを定める。 

こちらからも相手は見えないけれど、霧乃たちの感覚を合わせれば、相手の場所など手に取るように分かった。


(ふあああああっ)


朱儀はストーンゴーレムの投てきを上回るスピードで、ハルバートを投げ返した。

狙いはゴーレムの頭部。

切っ先が当たった瞬間、ゴーレムの頭が粉々に砕け散る。

しかしストーンゴーレムは、よろけもせず平然と立っていた。


(??)

(あれ?)

(なんで?)

「頼むから、倒れて!」


楽市たちは炎を全面に広げて、ストーンゴーレムを包み込むことにする。

そこへ朱儀が走り込み、頭を砕いたゴーレムの裏へピタリと張り付りついた。

朱儀はそいつの膝裏へ、高速の拳を叩き込む。

 

 ごんっ

(????)


朱儀が違和感を覚えて右手を見ると、赤くなってジンジンしていた。


(ふあー?)


楽市の手は、鬼ほど頑丈ではないのだった。

ダークエルフは吹き飛ばせても、これはちょっと無理だ。


(うー……)


楽市の手を傷つけてしまい、しょげる朱儀を楽市が慌ててフォローする。


「朱儀気にしないで! こんなのすぐ直るからっ、気持ち切り替えていこ!」

(あーぎ、がんばってる!)

(すげー、がんばってる!)

(ふぁー)


みんなに(はげ)まされて気持ちが乗ってきた朱儀は、何か閃いたようだ。


(あーっ、あーっ)

(わかったっ、やっちゃえ!)

(ひー、だしとくから)

「ん? 何だって?」


霧乃が楽市へ、丁寧に説明してくれる。

やはり優しい子だ。


(ちょっと、いってくるって)

「ん?」


楽市が説明に混乱していると、朱儀がいきなり楽市の体から抜け出した。

楽市は急に体を戻されて、右手がジンジンする。


「いててて、ちょっと朱儀どこへ!?」


朱儀は鬼火から人の姿へ瞬時に切り替わり、ストーンゴーレムへ突進していく。

そのあいだ霧乃と夕凪は、楽市にも伝えつつ炎の温度を下げる。


朱儀は姉たちの炎に焼かれながら、ストーンゴーレムの(ひざ)を破壊していくのだった。

焼かれるといっても、鬼の治癒力ですぐさま回復するので、火傷にもならない。

炎でよく見えないけれど、そこは角の感知能力で補った。


炎によるホワイトアウトの中で、削岩機のような破壊音だけが絶え間なく続く。

ストーンゴーレムたちがやみくもにハルバートを振り回すけれど、そんなものは当たるわけがない。

ふと音が消え去り、朱儀がスポンと楽市の中に戻ってきた。

 

(あーっ)

(おかえり)

(らくーち、もーひは、いいかも)


言われた通り狐火を消してみると、そこには手足をもがれたストーンゴーレムたちが転がっていた。

手足をもがれても、まだモゴモゴしている。

楽市は朱儀の戦闘能力に、改めて驚かされてしまう。


「はーっ、朱儀すごすぎだよ!」

(よくやった!)

(かっこよかった!)

(あはは)


朱儀はいっぱい褒められて、楽市の中ででモジモジしちゃう。

やっぱり、狩りをして褒められるのは気持ちが良いのだ。

 

(へへへ)





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