滅びの記憶
世界が終わった日のことを、俺は今でもはっきりと覚えている。
――あの巨影が、空を覆い尽くした日を。
燃え盛る街の中を、俺はただ走っていた。叫び声が遠ざかる。爆発音が響く。誰かが泣いている。だが、そんなものに構っている余裕はなかった。ただ走るしかなかった。
「カイ! こっちだ!」
母さんの声が聞こえた。振り向くと、母と妹のミアが廃ビルの影から手を振っていた。俺は息を切らしながら、必死にそっちへ向かう。
――ズン……!
地面が揺れた。足元のアスファルトがひび割れ、崩れ落ちる。まるで地球そのものが息をしているかのように、大気が震えていた。
見上げると、それ がいた。
黒い影が、夕焼けに染まる空を引き裂いていた。巨大な腕が街を薙ぎ払い、鋭利な爪がビルを粉砕する。その瞳は何も映していない。ただ機械的に、無慈悲に、生命を踏み潰していくだけだった。
「――逃げろ、カイ!」
母の叫びが響く。俺は駆け出した。だが、間に合わなかった。
巨神の手が降りてきた。全てが影に包まれた。
ドン――!!
世界が、砕け散った。
その日、人類は滅びた。
そして、俺の家族も――。
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