独白 その1
空が、崩れ落ちていた。本来、天空があるべき場所にはまっていたはずのカケラが、次々と落下していった。
僕は震える大気の中で、茫然と立ち尽くした。ゆっくりと、周囲を見渡す。僕のすぐそばにあった草木が、軽く触れた瞬間に『001001111001』といった数字列になり、見る間に、砕け散るのが見えた。
彼女は、じっと僕を見て、微笑んでいた。とても優しく、そして妖しいまでに美しい表情だった。何かを語りかけるように見えたが、それでも、僕の問いには何も答えてくれそうになかった。
「君は、『ゴースト』なのか。」
僕が呟いた瞬間、足元が大きく揺れ動き、大地に鋭く亀裂が入った。僕はそれを、ただ無表情で眺めるだけだった。ここも、じきに崩壊する。
「それなら僕を、、、、連れていってくれないか?」
ゆがんだ視界の中で、彼女がそっと、柔らかく近づいてくるのが見えた。僕の頬に、彼女の白い手が触れたような気がした。
頭の中で、初めて彼女に出会った時のことがフラッシュバックしてきた。それは少し前のことなのに、僕にとってそれは、時間軸をゆがめられたように、遠い昔のことのように思えた。