鬼と人間の黙示録
「これは……ちょっちまずいかも」
愛刀鬼牙刀と角妖は刃こぼれを起こし、戦える状態じゃないだけどうちがここで諦めたら……立ち上がらない体を刀を杖に無理やり起こす。
「遊鬼!無理だよ!逃げて!」
「うちが、ここで逃げたら……うちを愛して信じてくれた人間さん達に示しがつかない!」
だが、立ち向かい刀を振るうがうちの体は大型の妖怪に跳ね除けられた。
吹き飛ばされたうちはビルにたたきつけられ、硬いコンクリートにめり込む。
「ガハッ!」
口の中に鉄の味が広がる。
視界が掠れる……もうダメなのだろうか……ごめん……人間さんたち……うちはみんなを守れる御神体でも、強い鬼でもなかったよ……
時は遡り、うちが人間界に来たのは140年ほど前、地獄の修行が続く毎日上手くならない審判。体術。
そんなうちに、閻魔大王である父、桜華 喰狗は人間界で修行することを提案された。人を学び人を守り審判を与えるものとしての知識と体術を学ぶために、そうして人間界にうち、桜華 遊鬼は送り込まれ、鬼宮寺という神社に使える巫女、鬼宮寺 神楽と出会った。そこから御神体として祀られ今に至る。
そして、人間界に来て100年がたった。
今は、3代目巫女、鬼宮寺 櫻と過ごしているわけだ。
「遊鬼ちゃん!起きて!今日は神事があるんだよ!」
「後……5年……」
「寝ぼけてないで起きて!朝だよ!」
この、会話は毎日らしいそこに、櫻の妹、椿ちゃんがやってきた。
「お姉ちゃん任せて、ほーら遊鬼様ー朝ごはんですよー」
お盆に乗せた朝食をうちわで仰ぎうちの寝てる方に匂いを流すと
「!!朝ごはんだな!」
「ほらね」
秒で起きた。
溜息をつきながら、櫻はボソボソと何か言っていた。
うちを着替えさせご飯に付き合い櫻は学校に行った。昼間の時間は暇である、だが今日は神事がある、その準備のために桃華さんがやって来た。
「遊鬼さーん、神事始めますよー」
「はぁい」
本殿に行き、文を読み上げるその間うちはただ聞くだけ、正座で座りっぱなし……これがキツイ信じが終わると、そこから街の人達が奉納に続々とやってきた。酒、お頭、色んなものが来る中にプラモやらゲームやらもあった。
「うーん!人間界ってさいこ〜」
「遊鬼さん、だいぶ馴染みましたね……100年くらいでしょうか……慣れたみたいで」
「最初はどうしたらいいか分からなかったけど、この街のみんなに愛されてお世話までほんとに助かりましたよー」
そんなたわいもない話をして、奉納が終わり14時……昼食を食べ、刀の修行を桃華さんにつけてもらう、こう見えても桃華さんは現役の退魔師。綺麗な見た目に反して重く華麗な一撃を放ってくる。
「次々行きますよー!」
「ちょ、ま!早!重い!」
グイグイと押されるうち、そして一気に間合いが開く……まずい……これは……
「鬼宮寺奥義……燕の型……燕桜!」
「ちょいちょいちょい!ガチはマズイって!妖術!影武者」
うちの残した残像は見事に真っ二つ……妖気まで切り裂く技って反則な気がした。
「遊鬼さん、休憩にする?」
「は、はい……」
足がガタガタと震えた……これが本気……見る度に思うが本気で戦うと退魔されてしまう気がする……
床に座り、お茶をすすりながら雑談をしていると、櫻が帰ってきた。
「お、勝敗は?」
聞いてくると、母桃華さんはニッコリ。
言うまでもない。
この流れがうちの毎日だがそうじゃない日もたまにある、それは夜中の2時
「!殺気を感じる……これは……」
うちは、愛刀を腰に提げ外に出ると甘く視界が歪むような気分の悪さ……これは……間違いない……妖怪の気配だ……うちの本来の仕事の1つ、地獄から逃亡した怨念の塊妖怪。
それを退治するのがうちの仕事。
匂いを頼りにそちらに行くと、街で妖怪が暴れている、見えない人が多いが何人かが震え腰を抜かしている、これは見えないはずの妖怪が見えてる証だ、近くに行きたたせるとうちはすぐさま戦闘にはいる。
「遊鬼様!ご無理なさらず!」
人間さん達は心配してくれるが……うちの守待ちで好き勝手は差せない!
だが、この日は違った……いつもならすぐに終わるのに……
「はぁ……はぁ……おかしい……切ってもすぐに再生してしまう。こいつは……」
その油断が隙を出してしまう、咆哮でうちは怯み蹴り飛ばされた。
うちの身長は142cm……ざっと見ても5~6メーターはある、そんな奴に蹴られたら一溜りもない、刀でガードしたが近くのトラックに叩きつけられた。
「グッ……プッ」
口に溜まった血を吐き出す。
鬼だからかまだ戦える。
そこに遅れて、桃華さんと櫻も来たが太りも驚きが隠せないようだった
「遊鬼さーん!私たちも加勢します!」
「だめだ!コイツはおかしい!手を出さないで!」
仮に戦い、攻撃をされれば一溜りもないだろう
だがうちもかなりのダメージ……そうして、最初の話に戻る。
「守るには、あれしかない……」
だが、すぐには……でも、このままじゃ……街が……みんなが……
「桃華さん!櫻!30秒でいい!時間を作って!」
うちは秘策を出すために時間を作ってもらった。
自分の腕を噛み、さらに血を流す。
そうして、血で刀を作り術式で硬化させる
息を止める、そして呪文を唱える。
「大いなる父の名の元に、我が意、我が想いが伝わるなら答えよ、轟け大地、響け轟音、封印し力を今解放せん!魔眼解放!」
その途端に力がみなぎり、牙が長くなる。
この姿を初めて見た、2人もかなり驚きが隠せないようだ。
「人間さん達はうちが守る!」
うちは、飛び出し妖怪に襲いかかる手を妖術で巨大化して妖怪の頭部をつかみ握りつぶすと、回復力の高さの原因が判明した。
あれは……殺生石?!
殺生石、それは魔力の塊それを手にした者は大いなる力を得る。その代償は大きく自我と理性を失うのだ……
潰された妖怪は、砕けた頭部から姿を現した……あれは……酒呑童子……でも!うちも原因がわかれば!殺生石を破壊してやる!
うちは、殺生石めがけ血妖刀を振るが邪魔されてしまう。
その時
「私が隙を作る!」
「ダメです!桃華さん!」
腕を見事に切り落とすが、反対の手で捕まってしまった。
「ガァァァァァァ!」
あのままでは桃華さんが殺されてしまう。
やるしかない
「使わせてもらいます!」
大きく刀を後ろに、構え息を整える。
「鬼宮寺奥義……燕の型……燕桜!」
一瞬で地面を蹴り、蹴った場所は大きくえぐれた。
うちは殺生石を真っ二つにすると、酒呑童子は倒れた。
そこへ櫻が近寄り、封印をする。
幸い桃華さんは、両腕の骨折と肋を2本折っただけですんだ、だが……なぜ、地獄と黄泉にしかないはずの、殺生石が……
何かが動きだした。
世界が……地獄が……何かが変わり始めたのをうちは感じた