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ゼロワールド  作者: kaito
一章 龍の戦士編
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零世界の創造者

 「………」

 「私の言いたいことわかる?ゼロ」

 「七大悪が目の前にいたんだ…見逃すわけにいかない」

 「だからといって一人で戦うとか無謀なことはしないで!あの時、私が間に合わなかったらゼロは…目的を果たせず死ぬとこだったんだよ!」


 何も言い返せない。全くその通りだ。俺は無謀な戦いをし、無駄に命を落とすところだった。イゼには感謝してもしきれない。


 「ゼロには私っていう仲間がいるんだから…私のこと頼ってほしい。」

 「…本当にごめん。俺は考え無しに突っ込んでいた。もしかしたらあの時、俺を助けに来たせいでイゼを危険な目に遭わせていたかもしれないのに。」

 「今後は私のことも頼ること!私はゼロの力になりたいんだから!」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 俺はふと、過去のあの後の出来事を思い出した。

 焼きつくされた村、人一人としていなくなり、生き残ったのは俺だけだった。希望のない人生に俺は死にたいと思った。


 「………」

 「キミ、こんな何もない村で何してるの?」


 顔を上げると、和装に肩を出し晒を巻いた黒い短髪の紅蒼のオッドアイの男がいた。


 「お前…誰だよ」

 「僕かい?この世界の創造者。零って呼んでくれ。」


 世界の創造者…?何を言ってるんだこの男。そんなの信じられるわけない。


 「お前が世界の創造者…?信じられるわけないだろ。」

 「そんなこと言わないでくれよ~!お兄さんマジで世界の創造者なんだぜ?」

 「創造者なら…俺のことを助けてくれよ…両親と友人を失ったんだ…生き返らせるとかしてみろよ…創造者なんだろお前…!!」


 こんなふざけたヤツが創造者なわけない。そう思いながら怒りを吐き叫ぶように零に自身の願いを言う。


 「生き返らせることはできないんだよね~ごめんよ少年。」

 「……やっぱりお前みたいなヤツが世界の創造者なわけないんだ。」

 「あーでも、二度とキミが味わった不幸を起こさない方法ならある。」


 その発言を聞き、少し希望を抱いた。コイツがもし本当に世界の創造者なら、今の発言は本当なのではないか。


 「教えてくれ…どうすればあんなことをもう起こさなくて済む…俺はなんでもやる…」


 確証のない希望に縋りたくなった。それしか俺の存在意義はなかった。


 「キミ、零世界の王になるんだ。」

 「は…?」


 零世界の王?何を言ってるんだ?俺は今、大切な人を失ったばかりなんだぞ?馬鹿にしているとしか思えない発言だ。


 「ま、信じるかはキミ次第だよ〜!僕としては信じてくれた方が嬉しいな!こんなつまらない嘘をつくつもりは僕にはないからね。」

 「頭が追いつかない…詳しく教えろ」


 「かつて、この零世界には王がいた。彼は、この零世界の平和のために頑張っていた。例えば、悪世界から悪種族が来ないよう零世界と繋がるゲートを封印させたりとか。」

 「零世界の王には…ゲートを封印させるほどの力があるってことなのか?」


 悪世界と零世界を繫ぐゲート。これを封印できれば悪種族は来ることがなくなり、ゼロのような不幸は二度と起きなくなるだろう。そして、平和を取り戻せるかもしれない。


 「零世界の王になる気、満々になったかい?」

 「ゲートさえ封印できれば悪種族による被害は無くなる…教えてくれ。どうすれば零世界の王になれるんだ。」

 「悪種族の中でも選ばれた者達、七大悪の魂を全て集めて取り込む。そうすれば零世界の王になれるよ~!ま、身体が耐えきれなくて死ぬ可能性もあるけど。」


 七大悪…?村を襲ったアイツより強いのだろうか。いや……そんなことはどうでもいい。七大悪を全て殺し魂を全て取り込めば零世界の王になれる。


 「零世界の王…なってやるよ。それで平和を手に入れることができるなら俺は零世界の王になる。」

 「そっか!キミは龍の魂を宿してるし、七大悪全員倒しちゃうかもね!」


 龍の魂…?そんな凄いものが宿ってるなんて突然言われても困惑しかしない。


 「何か聞きたいことがあればぜーんぶ答えるよ!」

 「そうか…なら……」


 それから零世界の王になった後のゲート封印方法、龍魔力の扱い方、悪種族の殺し方など、数日間に渡り教わった。


 だけど、ある日を境に零が俺の前に現れることはなかった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 「とりあえず今のゼロじゃ勝てない!だから私が七大悪に勝てるよう特訓させます!」

 「特訓……?」


 イゼはこう言ってるが、本当に特訓してあの強力な七大悪に勝てるようになるのだろうか。そう考えていると何者かが近づいてくる。


 「誰だ……?」

 「その特訓、私にもさせてはもらえないだろうか!」


 必死の声で頼みながら赤い短髪に黄色の眼、赤い鎧を着た男が近づいてくる。


 「貴方は誰~?」

 「私はサン。太陽国サンの国王だ。私に王国を取り戻す力を貸してくれないだろうか!」

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