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ゼロワールド  作者: kaito
三章 暴の祭編
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勇敢な騎士

 メルドサズの宣言と共に、国王による試合開始の宣言が起こる。

 お互い体勢を整え、闘志満ちた目で見つめ合う。先程の宣言についてゼロは思う。


 俺をこれ以上、悪種族と関わらせないために隊長は全力で来るだろう。それはもちろん、俺のことを思っての行動だととても伝わってくる。確かに俺の選んだ道はこの人生を地獄にしてるようなもんだ。平穏に過ごさず、新たな幸せを探そうとせず、悪種族を殺し平和を取り戻そうとする。あまりにも無謀で、苦痛で、命を削る行動だと理解しているさ。それでも、俺は…


 「俺はもう…この道しか生きる希望が無いんだ。」

 「……あまりにも救いがない。君の選んだ道はあまりにも救いがない!その命は幸せを得るために燃やすべきだ!自ら死地に向かい、命を削るようなこと…少年である君が背負うモノではない!」


 黄金の盾を掲げ、光り輝くオーラを纏う。光は悪を滅するほどの輝きを魅せ、メルドサズの秘めたる光属性の魔力を活気づかせる。魔力はメルドサズの身体能力を数倍にも向上させ、ゼロ相手に手加減なく挑むつもりだ。


 「悪討伐騎士団の騎士として!君が悪種族と戦う道を選ばずとも!私が平和を皆に与えられる強さがあると君に理解させる!」


 黄金の盾を構え、光の速さでゼロに急接近。

 ゼロは視認よりも先に、メルドサズの盾による突進を受け、何が起きたのかもわからず吹っ飛ばされる。


 「がっ…!?」


 何が起きた!?とてつもない速さで突進されたのか!?直接視認できないってどんだけの速さで動いてるんだあの隊長!?


 「この速さにも追いつけなければ七大悪には到底敵わない!君がどれだけ無謀なのか少しは理解したか!?」


 一方的に言いやがって…俺は全てを奪われたあの日…零に零世界の王になることを伝えられたあの日………ルピナスを救えなかったあの日から……!


 「っ…さっきから色々言ってるが、これは俺が選んだ道だ!アンタが決めることじゃないだろ!今の俺は七大悪を殺し平和を取り戻すことが全てなんだ!例え俺の命が終わるとしても…!」


 イゼ…アルク…ザック…サン…あらゆる人が平和な世界で生きる事が出来るなら…!


 ゼロはそう想いながら、龍の魔力を身体に駆け巡らせる。そしてメルドサズに劣らない速さで急接近し、創り出した龍刀を振り下ろす。

 メルドサズは黄金の盾で龍刀を防ぎ、押し返そうとすが、ゼロは力を振り絞り逆に押し返そうとする。


 「君が悪種族に何をされどれだけ憎んでいるかは知る由もないが、君を想う者たちはそれを望んでいるのか!?」

 「ッ…!俺は仲間と誓ったんだ…!共に平和を取り戻そうってな…!俺一人だけじゃない…!仲間達で平和を取り戻すんだ…!」


 ゼロは黄金の盾を押し返し、メルドサズは体勢を崩す。


 「うおおおおおおッ!」

 「ッ!?」


 ゼロは拳に龍の魔力を込めメルドサズの顔面に叩き込む。メルドサズの身体に魔力衝撃波が走り、強烈な負荷により地面に倒れ込む。

 メルドサズは起き上がることができず、意識も朦朧としている。ゼロはメルドサズに近づく。


 「アンタみたいなのを世話焼きっていうんだろうな。言っておくが、俺は悪種族をこれでも大勢倒してきたんだぜ。」

 「はっ…最近の子供は…ヤンチャばかりで困ってしまうな…」


 メルドサズは意識を失い、力が抜けたように瞳を閉じる。

 第二回戦は無事にゼロチームの大勝利に終わり、観客達からの歓声を浴びる。


 「やったやったやった〜!あの隊長に勝った〜!」

 「冷や冷やしたが、無事にゼロの勝利だな!」

 「……メルドサズ、俺はアンタの優しい気持ちだけで充分救われてるぜ。」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 第二回戦が終わり、決勝進出のチームが決まる。

 ゼロチーム、ザックチームが勝ち上がり、明日はこの2チームによる激闘が繰り広げられるだろう。

 そしてこの日の夜、ザックや弟子達に誘われ酒場で共に夕食を取ることになった。


 「第二回戦突破記念に〜!」

 「「「かんぱぁぁぁい!」」」

 「かんぱいかんぱーい!」

 「「かんぱーい……」」


 あまりの声量に少しついていけないゼロとアルク。それもそのはずであり、ゼロとアルクは他チームの戦士達まで誘っているとは思わなかったのだ。というかよくこんな大勢誘えたなとザックのコミュ力には関心すら覚えた。


 「くぁっ〜!師匠が勝った日の酒は格別だぁ〜!」

 「私も勝ったんだから讃えるのだ〜!」

 「ははっ!イゼ様バンザーイ!」

 「…久しぶりにお酒飲んだ。やっぱり美味しい。」


 イゼはジュースの入ったグラス片手に三バカに讃えられ、アルクは一人のんびりと果物酒を飲んでいた。

 一方ゼロはというと…


 「おいおーい!もう肉食うの限界かぁ〜!?」

 「うぷっ…お前の大食い対決に乗らなきゃ…よかったぜ…」

 「肉吐き出すんじゃねぇぞ〜坊主」


 ザックとどちらが骨付き肉を多く食べれるかの対決をしていた。

 漢として挑戦を受けずにはいられなかったのだろう。だが、冷静に判断せず勢いで受けてしまったゼロはまさにこう言えるだろう。バカであると。


 「少し…夜風に当たってくる……」

 「おっ、それなら国の外まで行ったほうがいいぜ〜!建物とかねぇから夜空の星がよく見えるんだよ!あと、行く場合は付近にある森の方には行かねぇようにな!あそこ暗いと迷いやすくてさ〜!」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 ザックの提案通り、国の外まで行き夜空の星を観に行く。風は涼しく、気分も良くなってきていた。国の出入口門を出て、顔を見上げる。


 「これは…来た甲斐があるな…」


 夜空を輝かせる美しい星の数々、あまりの美しさに目を奪われる。

 この瞬間だけは、何もかも嫌なことを忘れられそうな。そう、思うことすらできる美しい夜空の星。


 「おっと、先約がいたか。」

 「隊長…」

 「メルドサズでいい。私も君のことはゼロと呼ばせてもらう。」


 ゼロの傍で共に夜空の星を眺める。メルドサズも心做しか、何一つ嫌なことを忘れこの美しさに目を奪われているように見えた。

 そんな様子の中、メルドサズはふと我に返ったような表情になり、少し申し訳無さそうな顔を浮かべる。


 「ゼロ…この美しい場所でこのようなことを聞くのは申し訳ないと思うが、一つどうしても聞きたいことがある。」

 「答えられる範囲ならなんでも答えます。メルドサズさん」

 「すまない…ゼロ、君はなぜそこまでして戦う?恐れはないのか?復讐すべき相手がいるのか?自分の手で成し遂げるしかないのか?」


 沈黙が少し続く。なんであそこまで必死に戦う?

 弱い自分が嫌いだからか?大切な人達を殺した悪種族が憎いからか?零から与えられた希望に縋りたいからか?


『私はゼロと平和を取り戻したいの。』


 あの時のイゼの言葉が答えだ。

 俺はただもう一度…


 「平和を取り戻したい。ただそれだけなんです。俺はそのためなら、何度でも立ち上がり前に進めるんです。」


 ゼロは優しく微笑みながらそう答えるが、瞳は決意で満ちていた。

 メルドサズはその瞳を観て確信する。

 あぁ…そうか…彼は嘘偽りなく、勇敢なのだ。


 「そうか…ありがとう。君が素晴らしい人間だということをよく知れたよ。」

 「素晴らしい人間はメルドサズさんみたいな人を言うんですよ。俺はただ、自分の望みのために戦っているだけです。」

 「やれやれ…君はもう少し、自分に優しくなるべきだ。」 


 そう言うとメルドサズは微笑み、ゼロにとあることを伝える。


 「もし、障壁に当たってしまうような事があれば私に伝えてくれ。すぐにでも力になろう。大人として…悪討伐騎士団の騎士として。」


 彼が平和を取り戻すために戦うのなら、私も彼のために戦う以外の選択はない。

 この勇敢な戦士と共に平和を取り戻せるなら…光栄なことだ。


 「メルドサズさん…ありがとうございます!」

 「あぁ!明日の決勝、君の勝利を願っているよ!」


 勇敢な騎士は、少年と誓いを立て決意で満ちた表情を浮かべた。












 一瞬だった。肉が破裂する不快な音、遠方から響く爆発音、そして………


 「は…?」


 顔は原型が無いほどに破裂し、メルドサズは首から血を溢れ流す。

 そして勇敢な騎士は、夜空の星の下で醜く地に落ちていく。


 「なんで…なんでだよ…ふざけんなよ…」


 爆発音のした方角、その先には暗闇に染まった森の中、悪種族特有の悪に満ちた魔力が微かに漂う。

 湧き上がる怒り、軽々しく奪われる生きるべき者の命、魂の底から龍の魔力が込み上がる。


 「あぁ…そうかよ…お前達はとことんブチ殺すべきことしかしねぇなッ"…!」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 黒いアフガンストールで顔を隠し鋭い鷹のような眼を光らせる男、暗闇に染まった森の中からスナイパーライフルのスコープでゼロを覗く。


 悪の魔力が森全体を覆い、あらゆる生命体の動きを探知する。


 「七大悪五位…暗殺悪。お前の愚かな旅を終わりにしよう。アイツがゼロを戦士として殺す前にな。」

ゼロワル豆知識


メルドサズは名のある悪を20体以上は討伐している実力者である。

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