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ゼロワールド  作者: kaito
三章 暴の祭編
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宣戦

 ゼロの旅にアルクが加わった同時刻


 とある国の城にある暗い一室、窓から街の光を眺めながら一人の男がワインを嗜む。

 部屋の入口付近の壁には、黒いアフガンストールで顔を隠し鋭い鷹のような眼を光らせる男が壁に寄りかかっている。

 ワインを嗜む男は何かを話し始める。


 「ゼロがこの国に来る。」


 鷹の眼の男はその発言に対して問う。


 「では四位は殺されたのだな?」

 「そうだな。七位と六位を殺したのも奇跡や偶然ではなく実力あってこそだったということだ。正直、ここ数百年疑問に思っていたんだよ。何故あの弱者二人が七大悪なのかってね。身の丈に合ってないのだよ。己の地位と実力がな。」


 男はワインを飲み干し悪に染まった笑みを浮かべ、気分が高まり騒ぎ出す子供のような声で気持ちよく話し始める。


 「ようやく私と本気の殺し合いができる戦士が現れたのかもしれないのだ!この興奮を抑えきれるだろうか!?いいや無理だ!無理に決まってる!ああだが我慢だ!最高の舞台で!暴に染まった時までの!ほんの少しの辛抱だッ!」


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 闘国に向かい始めた二日後


 ゼロ達はようやく闘国に辿り着いた。辻馬車が襲われたあの日の夜以降、何事もなく闘国に向かうことができたのだ。


 「ようやく着いた〜!」

 「何事もなく辿り着けたな。」

 「ここまで本当にありがとうございます。色々と助かりました。」

 「いやいや!感謝するのは俺の方だ!あの日の夜、アンタらがいなかったら今頃悪種族に殺されてたんだからな!」

 「アルクがあの時攻撃してくれたからです。俺はトドメを刺すことしか…」

 「悪種族を倒せただけでも十分すげぇよ!俺にはあんなことできねぇ!」

 「まーた英雄ムーブ〜?やるねゼロ〜!」

 「英雄ムーブ…?」

 「あまり触れないでくれアルク…」


 太陽国での大袈裟英雄扱いを思い出し恥ずかしくなるゼロだった。


 闘国に入ると、街は活気で溢れていた。街の至るところには騎士から武闘家、戦士と呼ばれるべき者達で溢れていた。国民達も活気で溢れており、まるで何かの祭りが始まるのではないかと思えるほどだ。


 「ものすごい賑やかさだな…」

 「それにしても、普段からこれほどとは思えないレベルだぞ?」

 「お祭りの日だったりして〜!」


 そんな会話をしてると、とある国民の話し声が聞こえてくる。


 「もうすぐ国王様が戦士祭の開催を宣言するぞ!」

 「ほんとか!早くコロシアムまで行こうぜ!」


 どうやら祭りがあるのは本当らしい。そしてコロシアムに行けば国王に会えるとのことだ。七大悪について聞く良いチャンスだ。


 「俺達も行ってみるか。」

 「わかった〜!」

 「国王に会えれば、七大悪についても聞けるしな。」


 三人はコロシアムに向かう。

 コロシアムにはあらゆる戦士から国民がいた。国王が現れるのを今か今かと待ちかねる。


 「お待たせした!戦士達よ!」


 覇気のある声と共に、黄金の髮に紅い瞳をした白き戦士の鎧に身を包んだ国王がコロシアムの真ん中に現れる。


 「国王様ぁ!」

 「流石の覇気だわ…!」

 「戦士達よ!只今を以て、戦士祭をここに開催する!」


 その宣言と共に、国民から戦士達の覇気溢れた歓声が沸き起こる。


 「あれが国王か…覇気に溢れた男だな。」

 「国民達がこんなに活気溢れてるのも納得ね〜!」

 「ちょっと大袈裟すぎる気するけどね…これは」


 歓声が鳴り止むと、国王は今回の戦士祭について語りだす。


 「戦士達よ!ここに集まったのは勿論、己の願いを叶えるため!そうだろう!?」


 戦士達はその発言と共に一斉に雄叫びを上げる。


 「今回の戦士祭!唯一の勝者には国王直々に願いを叶えるということを第一に伝えた!戦士達の中には異種族もいてなんとも賑やかなことだ!さて、皆の願いは色々あるだろう!金!女!地位!それと…七大悪についての情報!」

 「は…?」

 「え!?」

 「早速厄介事か…」


 三人が驚いたり困惑した表情をしていると、何者かが国王に問い始める。


 「国王陛下!七大悪の情報すら願いの一つなのですか!?」

 「誰だ?君は」


 突然国王に銀色の髪に黄金の鎧を装備した男性が問いかける。


 「私は悪討伐騎士団の第五中隊隊長、メルドサズと言います。七大悪は今も何処かで罪なき者達を苦しめているのです!一刻も早く見つけ出し対処せねばなりません!」


 国王は笑みを浮かべながら語りだす。


 「私は思うのだよ!強者こそが欲するものを手にするべきだと!弱者が何も成してないのに強者と同等の待遇を受けるなど笑止千万!あらゆる戦士を打ち倒し勝者へ上り詰めぬ限り俺は何一つお前達に与えるモノは無い!理解したか!?戦士達よ!」


 戦士達は先程の何倍もの活気に溢れた雄叫びを上げる。


 「なんか意志がものすごい人だね〜」

 「どうする?ゼロ」


 ゼロは立ち上がり、闘志に満ちた表情で突然宣言をする。


 「じゃあ俺が全員ぶっ倒してやる。そして勝者に上り詰める。七大悪を殺すためなら勝者になってやるよ国王!」


 ゼロはこの日、初めて吹っ切れた結論を出すことになった。

辻馬車で移動中、ゼロはイゼとアルクに挟まれた状態になり、寝たくても寝れなかった。

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