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ゼロワールド  作者: kaito
二章 蒼瞳の少女編
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呪縛の両親

 翌日の朝 午前9時頃


 ゼロとイゼはルピナスの仕事の手伝いをしていた。仕事の内容は村の外で薪に使う木の伐採、そして食料になる果物などを集めるなどだった。


 「ルピナス、結構な数伐採したぞ。」

 「こっちも食料になりそうな果物たくさん集まったよ〜!」

 「ゼロお兄ちゃん、イゼお姉ちゃん、ありがとうございます♪いつもは私一人だからたくさん集まらなくて…助かります♪」


 イゼはいつも通りだった。昨日ゼロから何故七大悪の魂を集めてるのか聞いても、否定することなくすんなり受け入れた。正直こんなにあっさりと受け入れるのかと思ってしまうほどだ。




 前日 午後11時頃


 「ふ〜ん。零世界の王になればゲートを封印する儀式ができるんだ。それじゃあ零世界の王目指そ〜!」

 「おいまて、零世界の王になるって聞かされてそんなにすんなり受け入れるのか?何か企んでるんじゃないかって普通は疑うだろ。悪世界の悪種族、それも七大悪の魂を取り込んでるんだぞ?そもそも零の言ったことが本当かは正直確証なんてない。全部、俺が勝手に零の発言を信じてるだけなんだぞ?」

 「試してみる価値はあるでしょ?それに、ゼロは素直で優しくて困ってる人を助けようとする正義の味方みたいな人だから大丈夫〜!」




 そして現在に至る。ゼロは正直、ここまでイゼに信頼されてるなんて思ってもいなかったが、共に平和を取り戻そうとする仲間としては嬉しくは思う。


 「ゼロ〜!ほらほら凄いでしょ〜!果物たくさんだよ〜!」


 籠から溢れ出し零れ落ちそうなほどだ。ルピナス曰く、普通はこんなに集まらないらしい。


 「子供かよ…まぁ、確かに凄い量集めてるな。」

 「二人とも力持ちですね…私はこんな量軽々しく持てませんよ。」


 ルピナスは少し羨ましそうな目で見つめる。村のために自分ももっと力を付けたいのだろう。


 「大丈夫大丈夫〜!ルピナスちゃんも大人になればこれぐらいつよ〜くなる!」

 「本当ですか?イゼお姉ちゃん。」

 「本当本当〜!ルピナスちゃんなら絶対力持ちになれる!」

 「そっか…私、大人になったらもっと村の助けになれるんだ♪」

 「ルピナスは良い子だな。」

 「天使みたいに可愛くて天使みたいに優しいよね!」

 「そ、そんなことは…///」


 ルピナスは頬を赤くし恥ずかしそうにした。




 三人は仕事を終え、村の宿に戻る。

 そしてその日の晩、二人は宿の外で夜風に当たっていた。


 「結構疲れた一日になったな。」

 「そうだね〜まさかあのあとすぐ他の仕事やるなんて。あの子頑張りすぎだよ〜!」

 「それほど村のために役立ちたいんだろうな。ずっと笑顔で仕事をしていたし。」


 そんなことを話し合っていると、宿の老人が外に来て二人に話しかけてくる。


 「お二人共、今日はありがとうのぉ。」

 「おじいさん、こちらこそ美味しい夕食をありがとうございます。」

 「お仕事した後のご飯は美味しかった〜!」

 「ルピナスが先程話してくれてたよ。「二人とも凄い力持ちで優しくてとっても助けられた」とな。本当に感謝の気持ちでいっぱいじゃよ。」

 「俺は泊めてもらう分、当たり前のことをしてるだけですよ。少しでもおじいさん達の為になるならあれぐらいどうってことないです。」

 「そうですよおじいさん!私達にこれぐらいどうってことないですよ〜!」

 「本当に良い人達だ…残り数日間もどうかよろしくのぉ。」

 「はい。任せてください。」

 「私達にお任せを〜!」


 こうして二人は次の日もルピナスの仕事を手伝った。




 翌日の朝 11時頃


 この日は森で果物採取、薪に使う木の伐採に加えて小動物の狩りなどを行っていた。


 「コイツで3匹目か。」

 「狩りすぎちゃったかな〜?」


 ゼロは鹿を三匹、イゼは空を飛んでた鳥を十匹以上狩っていた。その頃ルピナスは少し離れた場所で果物採取を行っていた。


 「よし…今日はたくさん集められた。私もゼロお兄ちゃんとイゼお姉ちゃんみたいにいっぱい採れたかな。」


 果物を集めていると、少し奥の方に人影が見えた。

 白いコートを羽織った少し伸びた黒髪の男性だった。


 「こんな森の中を一人で彷徨ってどうしたんだろう。道に迷ってるのかな…」


 ルピナスは見るからに不審な様子の男性にも構わず、純粋な優しさ故にどうしたのか聞こうと近づいてみる。


 「どうしたんですか?こんな森の中を一人で彷徨って…」


 そう言った瞬間、男性の背後から青白い顔をした霊のようなモノが2体現れ、ルピナスに掴みかかろうとしてきた。


 「っ!?」


 ルピナスは運良く避け、男性を見ずに全速力でもと来た方向へ走った。

 苦しんでいるような、助けを求めるような、そんな呻き声が背後から聴こえる。ルピナスはその声を聞くたびに、心臓が強く握られたように苦しくなってくる。


 「やめて…そんな声…聴きたくない…」


 走る

 走り続ける

 苦しくて泣きたくなっても足を止めず走る


 だがルピナスは木の枝に躓き転んでしまった。


 「っ…!いや…やめて…」


 先程の2体の霊が近づいてくる。

 霊は手を伸ばしルピナスを掴もうとする。

 ルピナスと霊はふと目が合った。


 「……ママ…パパ?」


 理由はわからない。だがルピナスはこの2体と目が合った瞬間、恐怖は消え、父と母の声が聞こえた。


『逃げて』


 確かにそう言っていた。ルピナスはそう言われてるように感じた。

 2体の霊の動きは止まった。


 「今のうちに…!」


 ルピナスは立ち上がり全速力で走った。


 走り続けた先にゼロとイゼが見えた。

 ルピナスは息を切らしながら二人に近づく。


 「あっ!ルピナスちゃん!息切れしてどうしたの?」

 「あぁ…良かった…二人は無事だった…」


 そう言うとルピナスは力尽きたように倒れた。


 「ルピナス!?おい!大丈夫か!?」

 「大変…早く村に連れて帰らないと!」


 ゼロはルピナスを担いで、イゼと共に村に帰った。

狩った鹿と鳥はイゼが持ち運びました。

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