表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/117

第57話 変装

 魔裏界は、やはりというか、案の定というか、険しい道のりだった。


 土が黒っぽいのはそうだが、同時に固い。

 岩ほどじゃなくとも、かなりある。


 掘ってみると、土の塊が取れる。

 その塊は、握ればパラっと崩れて手のひらからこぼれ落ちる。



「さて、シュゼ。俺たちは天魔界鏡を探さないといけない」


「だな」


「この魔裏界は天世界の裏側だという。だから、天世界と同じくらい広いと思うんだ」


「おう」


「だからそんな広いところを闇雲に探しても効率が悪い。そもそも鏡がどこにあるのかも分からない」


 シュゼは一定間隔で頷きながら聞いている。

 ......理解してるよな。


「そこで1つ。悪魔の群れに紛れ込んで、何か手掛かりをさがしてみないか?」


 天世界で天魔界鏡が割られた場合、界鏡としての効力が別の鏡に移るという。


 ならば鏡がある場所、例えば雑貨店などに出向いて、探す。

 そういうことを何度も繰り返して探す。


 そうやっていれば、いつかは見つかるだろう。

 だが、それは天世界での話だ。



 魔裏界の場合、雑貨店など無い。

 そもそも、鏡だって簡単には見つけられないだろう。


 だから、群れて集団となっているところに紛れ込む。

 紛れ込んで、鏡に関する情報を頂く。

 あるいは鏡を奪取する。


 こういう情報も、ラノンサたちから聞いた。



 ついでに、彼らから貰った情報と元々持っていた情報交えて整理しておこう。


 彼らは魔裏界に住んでるために、天世界の者よりも多くのことを知っている。




 ▶▷▶▷▶▷




 1、悪魔は知性を持つ。


 怠惰級ベルフェゴール以上になると、知性を持つ個体が出てくる。


 これは俺たちでも知っていたな。


 天世界と魔裏界とでは、知性個体の割合が段違いのようたが。




 2、知性個体は群れる。


 怠惰級ベルフェゴールの知性個体は群れる。

 強すぎず、弱すぎない強さを持っているから、その知性を活かして群れをなす。


 だが多くの場合、互いに仲間意識などはない。


 これは性格とかの問題じゃない。

 悪魔の生態の根本に関わる話だ。




 3、群れない悪魔、憤怒級サタンもいる。


 当たり前だが、憤怒級サタンは強い。

 怠惰級ベルフェゴールなど比較にならない。


 だから群れる必要がない。

 1人で縄張りを徘徊するなり何なりしているとか。


 怠惰級ベルフェゴールの群れも、憤怒級サタンには近づかないだろう。


 憤怒級サタンを相手取った場合、油断すれば俺たちだってすぐに死ぬ。


 あまり戦いたくない。


 あぁいや、こんな考えを捨てるんだったか。

 だとしても会わない戦わないに越したことは無いだろう。




 3、悪魔に効く毒草。


 その名の通りだ。

 モノによって差はあれど、悪魔に大きなダメージが入る。


 彼らはこれを『攻魔草こうまそう』と呼んでいた。


 しかしこの攻魔草、生えてる場所が特殊なのだ。


『圧倒的高所』か『圧倒的低所』にしかないらしい。


 入手は厳しそうだ。




 ▶▷▶▷▶▷




 とまぁ、こんなところか。


「群れか......まぁ他にできることもねーもんなな。やろうぜ」


 了承してくれた。


「じゃあ、前に倒した怠惰級ベルフェゴールの色石、取りにいくか」


「おう」


 と、その時。


「っ! シュゼ」


「分かってる」


 気配を感じた。悪魔の気配。

 しゃがみ、茂みの裏へ隠れる。


 少しして、足音と声がした。



「オメー、プスコフ様の命令は覚えてるか?」


「......い、いや、忘れちまったな」


 悪魔たちが近づいてくる。

 息を潜め、気配は消す。


「はぁ......じゃあ教えてやる。界鏡の捜索、そしてそれをプスコフ様に献上するんだ」


「なぁ、その界鏡、俺らが使っちまえねぇのか。そしたら天世界(向こう)で好き勝手―――」


 悪魔たちの見た目は、人間や天使に近くない。

 それこそ、ミーヴと出会ったあの日に見た悪魔と似通っている。


 相違点も多いが、あまり変わらない。


 他のもこんな感じなのか?



「バカ言うな。プスコフ様はここら一帯を縄張りとする憤怒級サタン。俺たちが従属することを条件に、縄張りの中に住まわせて貰っているんだ。

 変なことすればここら一帯が滅ぼされるぞ」


「ちっ、わーったよ」


 悪魔たちの足音が遠のいて行く。


 何か、重要そうなことを話していたな。

 ここら一帯は、そのプスコフとかいう奴の縄張りなのか?


「アルタ」


 いや、考えるのはあとだ。

 今はとりあえず―――


「ふんっ!」


「ひぎゃあ!」


 1人1体ずつ、この悪魔たちを倒す。


 木から飛び降り、拳が頭を直撃。

 脳にダメージは入ったはずだ。


 続いて蹴り。

 蹴り飛ばす勢いで首に入れる。

 バキュッと音を立て、あらぬ方向に曲がった。


「ギァァア!」


 と、ここで悪魔は溶け出した。死んだ。


「オラっ!」


「あガっ......」


 シュゼの方は、悪魔の心臓をひと刺し。

 剣から赤いものと黒いものが垂れた。



 各々足下の白い色石を2つ拾う。


「あ、ていうか身に着けるってどうやろうか......」


 身に着けるとは言ったが、具体的にやり方が分からない。


 悪魔の色石は、体のどこかから生えている。

 額だったり、胸だったり。


 いずれにしても、体に埋め込まれてるような感じになっている訳だ。


 つまり、縛りつけても、自分の色石じゃないとバレてしまう。


 ではどうするか。


 いや、分かってはいる。

 ちゃんと思いついている。


 色石を、体のどこかに刺す―――



「こんくらいなら、ピアスみてーにできそうだな」


「あ」


 脇腹に刺そうとしたところで、手を止めた。


「あ、あー。そうか、耳の方がいいか」


 耳なら、大したダメージにもならない。

 少し痛むだろうが、脇腹なんかより断然マシだ。


「分かった。ならその前に水場を探さないとな。土まみれじゃよくない」


「だな」



 そしてまた歩き出す。



 ▶▷▶▷▶▷



「お前色石刺そうとしてなかったか?」


「い、いや?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ