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第4話 天世五魂神

 



「キミ.......人間じゃないよ」



 は? と言いそうになったのを、俺は何とかこらえた。


「えぇっと......それはどういう意味......」


「あぁごめん、言い方が悪かったね。キミの魂が天使のものとすごく似ていたんだ」


「はぁ.......」


 魂が天使のものに似ている?

 どういうことだ。俺は人間だ。

 人間と人間の間に生まれた人間。

 俺は生命神に困惑の目を向ける。


「キミが転生できなかったのも、そのせいなんじゃないかな。まぁボクもこんなこと初めてで、詳しくはわかんないけどさ」


 生命神は席を立って言う。


「ま、ボクは仕事に行かないといけないから、この話は一旦終わり。じゃね」


 生命神は部屋のドアを開け、姿を消した。

 俺の心には疑問が残るばかりだった。




 ▶▷▶▷▶▷




「はぁ.......どうしようか.......」


 椅子に座り、俺は独り言を呟く。

 ベッドに寝転がろうかとも思ったが、食後だったのでやめておいた。


 最近、一気に色々起きすぎた。

 いつも通りに稽古をし、帰ったら家族もろとも殺されて。


 ここにきたら転生することになったが、結局転生できず、生命神に引き取られて。


 しかし彼女の配下のタディスには嫌われ、俺の魂が天使のものに似ているとのことで。


 生命神は、俺を保護するつもりらしい。

 だが、俺はそれに背くことになると思う。


 1つ、やりたいことができたからだ。

 あの天使、俺たちを殺したあの天使を殺す。

 復讐する。


「......」


 手が震える。

 心の中に落ちた鉛が発火する。


 四六時中、頭の片隅に奴の姿があった。

 淡白な灰色の髪、鋭い銀色の瞳、赤く染まる羽。


 それらを潰す。

 なんとしてでも。

 この手で。




 ▶▷▶▷▶▷




 部屋の外から声がする。


「ただいま〜ぁ」


 生命神が帰ってきたのだ。

 ドアを開け、声がした方に向かう。


 生名神の留守中は、基礎的な筋力鍛錬をしていた。

 他にも、ここについて詳しく知りたくて部屋を出た。

 生名神いわく、この神殿には多くのメイドがいるそうだったが、見当たらず聞けなかった。


 少し歩くと、生命神とタディスが見えた。


「本日もお疲れ様でした。お飲み物でもお出ししましょうか?」


「うん、よろしく―――あ、あの子にも出してあげて」


 こっちに気付いた生命神が言った。


「......承知しました」


 少し間を空け、タディスが去っていく。

 多分、彼が俺を気に入ることは無いだろう。


「来たね。話したいことはいっぱいある、そこ座って」


「はい」


 生命神に促され、俺は指されたソファに座った。

 その少し後に、タディスが2つのグラスを持ってきた。


 中身はなんだろうか。

 酒だとしたら俺は弱い。


「どうぞ」


 タディスは生命神の前にグラスを置き、一礼した。

 俺には何も言わず、何もせず、少し雑に置いた。

 毒でも入ってそうな勢いだ。

 やっぱりあんまり居心地良くない。



「ありがと―――じゃあ早速本題に入るよ。まずキミの魂について。朝言ったけど、キミの魂は天使のものと似ている。

 天使は死ぬと魂が消滅して転生できないから、キミが転生できないのはそのせいじゃないかな?」


「どうして天使のものと似ているんですか?」


「それは分からないね。―――次に、この世界について教えてあげる。ここは天世界、神と天使の住まう世界だよ」




 ▶▷▶▷▶▷




 あの後も話は続いた。


 ここは"天世界"というところで、具体的な場所で言うと、天世五魂神が住む、神殿だそうだ。


 この辺りは生命神の住居区で、あと4人の神が他のところに住んでいるらしい。

 それぞれ"創造神"、"破壊神"、"時空神"、"閻魔神"というそうだ。


 そして話の最後に、今俺は魂が剥き出しの状態であることを聞いた。

 魂が前世の俺の肉体の形に変形しているような感じらしい。


 このままだと危ないというので、生命神に肉体を作ってもらった。

 本人いわく、自分にそんな力はないから創造神に手伝って貰ったとのこと。


 感謝だ。


「ふ~う」


 話を終えた俺は今、部屋のベッドに横になっている。

 足を上げてみたり、腕を回してみたりした。


 ちょっと重くなった気がするけど、肉体を貰う前と、感覚的にはあまり変わらない。


「もう転生したかな......父さん、母さん」


 俺は目を閉じ、呟いた。

 その後眠りに落ちるまでの時間は、それ程長くなかった。




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