第4話 天世五魂神
「キミ.......人間じゃないよ」
は? と言いそうになったのを、俺は何とかこらえた。
「えぇっと......それはどういう意味......」
「あぁごめん、言い方が悪かったね。キミの魂が天使のものとすごく似ていたんだ」
「はぁ.......」
魂が天使のものに似ている?
どういうことだ。俺は人間だ。
人間と人間の間に生まれた人間。
俺は生命神に困惑の目を向ける。
「キミが転生できなかったのも、そのせいなんじゃないかな。まぁボクもこんなこと初めてで、詳しくはわかんないけどさ」
生命神は席を立って言う。
「ま、ボクは仕事に行かないといけないから、この話は一旦終わり。じゃね」
生命神は部屋のドアを開け、姿を消した。
俺の心には疑問が残るばかりだった。
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「はぁ.......どうしようか.......」
椅子に座り、俺は独り言を呟く。
ベッドに寝転がろうかとも思ったが、食後だったのでやめておいた。
最近、一気に色々起きすぎた。
いつも通りに稽古をし、帰ったら家族もろとも殺されて。
ここにきたら転生することになったが、結局転生できず、生命神に引き取られて。
しかし彼女の配下のタディスには嫌われ、俺の魂が天使のものに似ているとのことで。
生命神は、俺を保護するつもりらしい。
だが、俺はそれに背くことになると思う。
1つ、やりたいことができたからだ。
あの天使、俺たちを殺したあの天使を殺す。
復讐する。
「......」
手が震える。
心の中に落ちた鉛が発火する。
四六時中、頭の片隅に奴の姿があった。
淡白な灰色の髪、鋭い銀色の瞳、赤く染まる羽。
それらを潰す。
なんとしてでも。
この手で。
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部屋の外から声がする。
「ただいま〜ぁ」
生命神が帰ってきたのだ。
ドアを開け、声がした方に向かう。
生名神の留守中は、基礎的な筋力鍛錬をしていた。
他にも、ここについて詳しく知りたくて部屋を出た。
生名神いわく、この神殿には多くのメイドがいるそうだったが、見当たらず聞けなかった。
少し歩くと、生命神とタディスが見えた。
「本日もお疲れ様でした。お飲み物でもお出ししましょうか?」
「うん、よろしく―――あ、あの子にも出してあげて」
こっちに気付いた生命神が言った。
「......承知しました」
少し間を空け、タディスが去っていく。
多分、彼が俺を気に入ることは無いだろう。
「来たね。話したいことはいっぱいある、そこ座って」
「はい」
生命神に促され、俺は指されたソファに座った。
その少し後に、タディスが2つのグラスを持ってきた。
中身はなんだろうか。
酒だとしたら俺は弱い。
「どうぞ」
タディスは生命神の前にグラスを置き、一礼した。
俺には何も言わず、何もせず、少し雑に置いた。
毒でも入ってそうな勢いだ。
やっぱりあんまり居心地良くない。
「ありがと―――じゃあ早速本題に入るよ。まずキミの魂について。朝言ったけど、キミの魂は天使のものと似ている。
天使は死ぬと魂が消滅して転生できないから、キミが転生できないのはそのせいじゃないかな?」
「どうして天使のものと似ているんですか?」
「それは分からないね。―――次に、この世界について教えてあげる。ここは天世界、神と天使の住まう世界だよ」
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あの後も話は続いた。
ここは"天世界"というところで、具体的な場所で言うと、天世五魂神が住む、神殿だそうだ。
この辺りは生命神の住居区で、あと4人の神が他のところに住んでいるらしい。
それぞれ"創造神"、"破壊神"、"時空神"、"閻魔神"というそうだ。
そして話の最後に、今俺は魂が剥き出しの状態であることを聞いた。
魂が前世の俺の肉体の形に変形しているような感じらしい。
このままだと危ないというので、生命神に肉体を作ってもらった。
本人いわく、自分にそんな力はないから創造神に手伝って貰ったとのこと。
感謝だ。
「ふ~う」
話を終えた俺は今、部屋のベッドに横になっている。
足を上げてみたり、腕を回してみたりした。
ちょっと重くなった気がするけど、肉体を貰う前と、感覚的にはあまり変わらない。
「もう転生したかな......父さん、母さん」
俺は目を閉じ、呟いた。
その後眠りに落ちるまでの時間は、それ程長くなかった。




