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第32話 仲良し

 



 バルシーもナリアも、相変わらず元気そうだった。

 ナリアは、ミーヴとのバグを終えると俺に向いて腕を広げた。


 少し躊躇ったが、そしたら向こうから突っ込んできた。


 その後話を聞けば、まぁ予想通りというか、

 2人で買い物に来ていたらしい。


 丁度昼くらいだったので、近くの喫茶店に入って色々話した。

 前世を含めてもこういう所は来たことが無い。

 でもおしゃれな場所だな。


 俺以外の3人は普通にしている。

 というか1回来たことがあるっぽい。


 話の内容はこの半年のことだ。

 村を出た後にギルドに行って、シュゼと会ったこととか。

 ヌィンダとの出会いとか。

 今ヌィンダの家に居候していることとか。



 話しているミーヴはすごく楽しそうだ。

 そりゃそうだろう。

 家族と半年ぶりに会った訳だし。


 バルシーもナリアも、久しぶりに揃った家族の時間を楽しんでいる。

 俺は蚊帳の外だ。ヌィンダからはミーヴに着いて行け(デートしてこい)って言われたけど、まぁこれでいい。

 家族水入らずで待つとしよう。



 と思っていると、ナリアがこんなことを言い出した。


「ところで、ミーヴ。アルタくんとはどうなの?」


「「え?」」


 思わず俺も声が漏れた。

「どうなの?」という、質問の意図。

 何となく分かる。

 というかこれしかない。

 ナリアがヌィンダと同じ表情してるから。


「え、えっとぉ......付き合いました」


 ミーヴは早口で言った。

 指先をちょんと合わせて恥ずかしそうにしながら。


「ね、ね!? アルタ!?」


「え、あ」


 ミーヴが俺に話を振ってきた。


 いや、まぁそうだな。付き合った。

 でも何か、改めて人に、しかもミーヴの両親にそれを言うってなると、緊張もする。


 ふと横を見ると、ナリアは俺を見ていた。

 ニヤニヤしながら。


「まぁ、そうなの?」


 ......緊張はするけど、だから何だ。

 言ってやろうじゃないか。堂々と、恥ずかしくないように。


「はい。つい昨日、ミーヴに告白されました」


 俺がそう言うと、ナリアは口に手を当てて目を見開いた。


「ふふ、良かったわね、ミーヴ」


「う、うんっ」


 ミーヴは少しもじもじしながら頷いた。

 でも表情は嬉しそうだ。可愛い。


 しかし、この場にはずっと黙った男がいる。

 バルシーだ。

 真顔でこっちを見ている。


「アルタくん」


「はい」


「ミーヴと付き合った。これは本当の事かい?」


「......はい」


 さっきまでとは空気が変わった。

 様子からして、ナリアは認めているようだけど、だからってバルシーも認めていることにはならない。


「本気で、ミーヴが好きかい?」


 その質問に、俺は少し黙る。


 ミーヴを好きかどうか。

 もちろん、好きだ。

 では本気かどうか。

 この半年、ミーヴをどう思っていたか。


 会ったばかりの頃、俺はミーヴを好きとはおもっていなかった。

 当時は転生するつもりだったから、好きになっちゃいけないと思った。


 でも、半年一緒にいれば流石に気持ちも揺らいだ。その度にそれを否定した。


 でも今は違う。

 ミーヴに励まして貰った。

 それからだ。明確にミーヴを好きになった。

 あの時確かに、俺の気持ちが高ぶった。

 あの時は、否定できなかった。




 そして当然、本気だ。

 あの時に、俺は多分一目惚れした。

 いや、初対面から半年経ってたから違うのかもしれないけど、とにかくあの瞬間、心の裏で育っていた恋愛感情が表に出てきた。


「もちろんです。本気で、ミーヴが好きです」


 目を見て、しっかり言い切った。

 心臓が脈打つのが早く感じた。

 ミーヴも、俺に告白した時こんな感じだったのだろうか。


 バルシーは目を閉じた。

 さっきの質問も、声色が硬かった。

 まぶたの奥には鋭い瞳が隠されている。


 バルシーを見ていると、ナリアが口を出した。


「あなた、いいじゃない。告白したのはミーヴよ? 娘の恋心を応援しましょうよ」


 そのまま少し時間が経ち、バルシーの表情から暗いものが抜けた。


「ははっ、そうだな。や、悪かったね、アルタくん。試したと言うか、何と言うか......本気なら咎めたりしないよ」


「そう、でしたか。ありがとうございます」


 俺は頭を下げながら言う。


「あぁ。......ただ、娘を泣かせないでくれよ」


「ええ、任せてください。幸せにして見せますから」


「そうしてくれ」




 ▶▷▶▷▶▷




 そしてまた色々雑談して、2人とは別れた。

 ちなみに俺が人間とのハーフ云々生命神云々の話はしていない。


 そしてまた街を歩いていると今度はヘブアル|たちが見えた。ジュリンもいる。


 彼らも買い物か何かか、袋を持っている。

 と言っても、袋を持っているのはヘブアルだけ(・・)だ。


「あら、アルタとミーヴじゃない」


 ジュリンは俺たちに気づくと、走って近づいてきた。


「「こんにちは」」


 俺たちが挨拶すると、ジュリンが俺とミーヴを交互にまじまじと見つめてきた。


 何だ?

 前に俺とヘブアルとジュリンで話し合って養子にはならないことをしっかり伝えた。

 ジュリンもそれを承認したから、何で見つめられてるんだろう。


「あの......?」


 ミーヴは不思議と不安の混ざった声で聞いた。

 そしてジュリンはミーヴの呟きも無視して言った。


「アンタたち、付き合った?」


 ―――え。

 何だ? なんで分かったんだ?

 ミーヴも、きょとんとした顔でジュリンを見ている。

 俺はジュリンに問い掛けてみる。


「分かるもの何ですか?」


「ええ分かるわ。私たちも付き合い立ての頃はそんな感じだったから」


「そうなんですか」


 ジュリンと話していると、その後ろからヘブアルが来た。


「ジュリン、急に走って行くな。はぐれたらどうする」


「何よ、いいでしょ別に。それより聞いてちょうだい。アルタとミーヴ付き合ったらしいわよ」


 その言葉にヘブアルは特に意外そうな顔もしなかった。


「へぇ。むしろ今まで付き合ってなかった事が驚きだけど......そうかい、おめでとう。ところでミーヴちゃん、いいかい?」


「はい?」


 ヘブアルはミーヴに近付き、指を差して言った。


ジュリン(こんなの)みたいになっちゃダメだからね」


 ヘブアルがそう言うと、ジュリンは「なっ!?」と言って眉間にシワを寄せた。

 そして対抗なのか何なのか、今度はジュリンが指を差して言った。


「アルタ、ヘブアル(こんな男)みたいになっちゃダメよ。もっと彼女を大切にしなさい」


「あ、はい」


 ジュリンの対抗にヘブアルは不服げだ。

 荷物全部持たせといて何言ってんだって顔だ。

 でもまぁ、こんな感じでも何だかんだ夫婦だし、仲は良いんだろう。


 その後適当な話をして、ジュリンがヘブアルを追い掛ける形で別れた。

 仲は良さそうだけど、ミーヴとあぁなりたいかと言うと嫌だな。


「あの人たち、仲良しだよね」


「な。でも、俺はミーヴとあんな感じにはなりたくないかな」


「私も」



 そして買い物(デート)は続く。




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