【放課後】
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・【放課後】
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決戦の日まであと1週間。
でもまだネタができていなかった。
今日が決戦までの最後の日曜日。
僕はダメグラの家へ行った。
僕が部屋に入ってくるなり、ダメグラはこう叫んだ。
「女装でバズりたい!」
「何だよ、それ」
「ほら、女子って男子に女装させるの好きじゃん。そういう人気者の成り方ってあるじゃん。それやるわ」
「でもそれって元々かなり可愛いほうのイケメンがやることじゃん。ダメグラは結構男感あるほうじゃん」
しかしダメグラは全く引かず、
「いやいや。意外と似合うって好感度抜群だから。というわけで俺は女装したいからコントにしようぜ」
いや!
「女装に合わせてネタを作るということかよ!」
僕はベッドに座っていたダメグラに詰め寄ると、
「ベッド座っている女子に詰め寄るとか、ちょっとエロいぞ」
と言いながら、少し照れた。
いやいや
「まだダメグラ、女装していないから。標準ダメグラに詰め寄っただけだから」
「ついもう心は女装男子だった」
「というと彼氏と彼女のコントということ?」
僕が疑問符を浮かべながら、そう言うと、
「いや別に、前作ったヤツにも面白いヤツあったし、それの改稿で別にいいよ。ただ俺は女装する」
「何で頑なに女装したいんだよ」
「だからモテるために決まっているだろ。それ以外に理由なんてないだろ、男に」
「女装って実際そんなにモテるのかなぁ……」
まあこれ以上、僕が言っても仕方ないみたいなので、僕とダメグラで元にするネタを選び、改善していった。
結果、女装の意味は全く意味無いネタが出来上がったが、ダメグラは女装する気満々に、
「じゃあ涼の姉ちゃんから服借りるか。あれだろ? 実家にはもういないわけだから余ってる服はもらっていいんだろ?」
「そんなわけないだろ。何で、もらうレベルまでいってるんだよ。せめて借りるだろ」
「まあまあ、最終的には買い取りのオプションも付けさせてもらうよ」
「そんなサッカーの移籍市場みたいなこと言われても」
ダメグラにせかされるまま、僕はダメグラを連れて家へ戻って来た。
僕は一応姉にLINEすると『ダメグラくんはバカで可愛いから使ってOK』ということらしい。
勝手に部屋に入ってもいいらしいので、姉がいた部屋に入ると、ダメグラは何か妙に高めのテンションで、
「女子の部屋最高!」
と叫んだ。
いや
「僕の姉を女子とするなよ」
「するだろ」
と即答したダメグラ。
いや友達の姉の部屋をそういうテンションで接するな。
ダメグラは感慨深そうに頷きながら、
「実際涼の姉、いや茶那は美人だったからな」
「一気に呼び捨てまで距離を詰めるな。アレの範囲に入れるな」
「もうアレに入れたい」
「だとしたら僕のツッコミが良くなかったわ。助長させてしまった」
ダメグラは姉の部屋で存分に深呼吸をしたら、早速といった感じにクローゼットを開けた。
そこには姉が女子高生の頃に来ていた、比較的カラフルめの服が入っていた。
落ち着いた配色の服は無いので、大学生になって、大人っぽい服を好んできているということなのだろう。
ダメグラは蛍光色のキャミソールを持ちながら、
「白いTシャツに重ね着すればいいかな」
「真面目にファッションを楽しんでるな」
「そりゃそうじゃん。自分史上最高の可愛いになりたいんだからな」
「もうそれっぽいことを言い始めるな。初日だぞ」
そんな調子でダメグラは服を選び、さらに棚を漁ると、発色が明るい口紅も見つかり、ダメグラは嬉しそうだった。
一応、また姉にLINEしておくと『そっちの口紅はもう使わないし、ダメグラくんはバカで可愛いからエロいことに使ってもOK』だそうだ。
ダメグラはホクホク顔で、僕の家を後にした。
もはやダメグラが使った服や口紅、戻されても困るので、買い取りオプションが発動しますように、と願った。