【ダメグラと議論】
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・【ダメグラと議論】
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いつも試合があった金曜日の次の日、土曜日は一緒に会って、ダメグラと二人きりで感想戦をすることになっている。
僕はダメグラの家へちょっとしたお菓子を持って遊びに行き、ダメグラの部屋のドアを開けると、ダメグラはうなだれるようにベッドに座っていた。
この感じだ。
ダメグラは負けるといつもこのナイーブを前面に出してくる。
まるで全部僕のせいといった感じに。
まずは僕がビニール袋に入れたお菓子を取り出しながら、テーブルの前の床に座り、
「昨日は残念だったけども、審査コメントも既にいっぱい書いてもらっているしさ、反省会開こう」
するとダメグラはベッドから出てきて、僕の対面に座るようにし、僕が持ってきたお菓子を早速開けながら、
「あの審査コメントって、後出しでムカつくよな」
「審査コメントをネタ見る前に言われたほうが嫌だろ」
「でもさ、その場で言えばいいじゃん」
「多分喧嘩になるよ」
ダメグラはお菓子をモグモグしつつも、
「こんなん悪口SNSの助長じゃん」
「いやシステム上、それが一番良いんだって。多分。というか審査コメントへ悪態突くのは止めよう」
「じゃあネタの反省だけどさ、俺は涼の早いテンポでネタやるのは最初から違うと思っていた」
「それならその時に言えよ」
ダメグラは首を横に振ってから、
「いやいや、何か俺も楽だから流されていたけども、やっぱボケはボケたほうがいいわ」
「まあ確かにそうなんだけども、一旦ダメグラも納得したじゃん」
「もっとさ、俺がカッコ良くボケるほうがいいよな」
「ボケのカッコ良くって、大体ダサくなるけども、まあ考えておくよ」
「でもよぉ!」
急にダメグラがデカい声を出して熱くなったので、僕は目を丸くしてしまった。
一体どうしたのだろうか。
ダメグラは続ける。
「絶対見た目で選んでるよなぁっ!」
見た目……まあ確かにノノ奈津ペアは美女2人組だ。
対する僕とダメグラはお察しといった感じの、普通の見た目2連発である。
ダメグラは貧乏ゆすりをしながら、
「ノノが嬉しそうに揺れる度に巨乳が揺れてよぉ、奈津は奈津で声も可愛いし。対するこっちは何だよ!」
そう言いながらテーブルをバンと叩いたダメグラが吼えた。
「冴えない陰キャのコンビじゃウケねぇだろぉがぁよぉぉおおおおお!」
「まあダメグラはそんな変なメガネ掛けなきゃ、冴えてる陰キャだけどな」
「いやこの金と黒のメガネはゴージャス過ぎるだろ」
「胡散臭さはある」
ダメグラは思い切りハナクソをほじって、床にピンとハナクソを飛ばしてから、そっちの指でお菓子を手に取って食べ始めた。
この一連の動作から分かるように、確かに僕たちはそういう人気を獲得することはできないだろう。
だからこそネタを凝らないといけない。
僕は言う。
「早速だけど、次のネタはどうする?」
大きく溜息をついたダメグラは、
「今はその話はしたくない」
と言った直後に「ゲプゥ」と大きなゲップをした。
お菓子と指に付いたハナクソの味がアクセントになって満足したのかな、と一瞬思った。
いやじゃあまあ、
「ネタは追々決めていくとして、これからどうする?」
「モテたい!」
「いや願望じゃなくて」
「でも負けたらモテないじゃん! もう!」
と急に駄々をこね始めたダメグラ。
全然可愛くないなぁ、と思いつつ、
「勝つには今からネタを練ったほうがいいんだけども」
「じゃあ俺がモテそうな、バズりそうなネタにしてくれ」
「漠然としているな、最初のアイディアくらい出してくれよ」
「これが俺の最初のアイディアだよ!」
堂々と言い切ったダメグラ。
いやそれはただの方向性だろ。
まあ今日はこのまま話しても本当に埒が明かないみたいだ。
だから
「じゃあ今日のところはもう帰るよ。お菓子は置いていくから全部食べていいよ」
「待てよ!」
ダメグラは僕に対して、強く制止のポーズをとった。
何だろうと思っていると、ダメグラが、
「一緒にゲームでもしようぜ!」
と言ってゲームの準備をし始めた。
そうだ、そうだ、忘れていた。
基本的に僕とダメグラは仲が良いんだった。
結局その日はずっとダメグラと遊んでいた。