表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/61

48話『花より団子』

「うう……どうしましょう」


 私は眉をひそめ、気まずそうに口の前で手を合わせていた。

 なぜならば、


「おねーちゃんはこれからルクスとお昼寝するにゃ!」

「アンは俺とアクセサリー作りをするんだよな?」

「待て、貴様は私と読書会の約束をしたはずだ」

「いや、そこは譲っておくれよ。彼女は僕とデートにいくのさ」


 私が久々の休日だと知ったとたんに、部屋へ王子たちが押しかけて来たのだった。

 八方美人な態度を取っていた私にも、もちろん問題があるのだが……


「さぁアンジェリカ、僕の手を取っておくれよ」

「てぇめぇアル、なに余裕ぶってんだ。ほら、俺と行くぞ」

「アンジェリカ、私は貴様に話しかけているのだぞ。しっかりこっちを見ろ」

「よし、この隙にこっそりおねーちゃんと抜け出すにゃ」

「待て待て、アンを勝手に引っ張っていくなドラ猫小僧」

「まったく、同じ王子でここまで品格に差があるなんてねぇ」


 右へ左へ、私は文字通り引っ張りだこで、王子たちの間に挟まれて目をぐるぐるさせていた。

 私を取り合ってる様は正直嬉しい反面、王子たちが本格的に喧嘩になっては大変だ。


「み、皆さま落ち着いて下さい」


「アンジェリカ、そもそも貴様の軟派な態度がいけないのだぞ」

「こ~ら~! シーちゃん、お姉ちゃんをいじめるにゃ!」

「おいおい、ケンカすんなよ。後でようかんやるから、今日はそれで諦めろ」

「その計算だと、この世全てのようかんでも割に合わんな」

「しかし、アンジェリカの体は一つ。どうだろう彼女に決めさせてみては」

「お姉ちゃん、どうするにゃ~? もちろんルクスと一緒に来てくれるはずだにゃ」


 4つの美顔が私に向けられ、じっと答えを待っている。

 そんな緊張感と期待に耐えられず、私の心は押しつぶされてしまった。


「ぅ……う……私は優柔不断ですぅっ! 誰かお一人を選ぶなんてできませぇん」


「これはこれは……困った事になったねぇ」

「そもそも王になった者が、彼女を手に入れるという取り決めではなかったのか?」

「あーあれは、もう面倒くさいからいいにゃ」

「もう力づくでもいいか?」


(ひじょーにまずいですよ。このままでは、私の立場と動物の国の未来がまずい……!)


 そんな混沌(こんとん)に、とつじょ救いの手が差し伸べられた。

 自室のドアが無遠慮(ぶえんりょ)に開けられ、同僚のイルカがひょっこり顔を覗かせる。


「おーいアンちゃん、料理長が余ったデザートをくれるって……ありゃ。一同お揃いで、これは失礼しました」


 そう言って彼女は、気まずそうに顔をひっこめた。

 今ここしかないと、私の脳が考えるよりも早く彼女に追従する。


「あ、そうですそうです! 今日はメイドの皆さんと一緒にスイーツパーティーでした。それではごきげんようっ」


 私は王子たちに有無を言わせず、部屋を脱出する事に成功したのだった。


「……」


 残された男4人の間に、妙な沈黙が流れた。


「俺達、飯に負けたのか」


「ぬにゃぁ~」


「まにさに花より団子だな」


「君らしいと言えばらしい、か」

ここまで読んでいただきありがとうございました。


ポイントをモチベーションに頑張って書いていております。

よろしければ、下のブックマーク登録と★での応援をよろしくお願いします。

頂けると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ