40話『やりたいこと』
――ある日の朝。
「ん……ぁ……れ?」
私は朝早く、ベッドの上で目が覚めた。
なぜか、体の上に誰かのぬくもりと重みを感じる。
私は慌てて布団を跳ね除けると、そこには……
「んにゃ~ やっぱりお姉ちゃんの匂いは落ち着くにゃ~」
のんきにルクス王子が寝ていたのであった。
寝ぼけていた私の眼が、嵐のように目覚めていく。
心は大火事、頭の中は大洪水の大混乱である。
「ル、ル、ル、ルクス王子なぜ私のベッドに!?」
「にゃ~ 新しいお菓子が朝早くに完成してにゃ~ お姉ちゃんにあげようと思ったら、お姉ちゃんが寝てたから、ルクスも眠いから一緒に寝ちゃったにゃ」
「だ、だからってベッドに入らないでくださいよぉ」
私は恥ずかしさのあまり赤面するしかない。
会話をしながらも、未だにルクス王子が私の上でケラケラと笑っていたのである。
(ルクス王子ぃ……早くどけてくださいよぉっ)
身だしなみも整えていない、完全に油断した所に美少年と密着。
私の心と体は、もうどうにかなってしまいそうだ。
「これがルクスのやりたい事にゃ! はい、おねーちゃん。これ食べてにゃ~」
王子が新作お菓子である、カップに入ったモンブラングラッセを差し出してくる。
クリームとモンブランの甘い香りがただよってきて、あ、美味しそうですね……
ではなくてっ!
「ルクス王子! とにかく一度、どいてください!」
私が慌てた様子で叫ぶと、それを見たルクス王子はいじわるそうな笑みを浮かべた。
「えへぇ~? お姉ちゃん、ルクスのお菓子食べないんだにゃ~?」
「そ、そういう訳ではないんですけど、この状態がまずいと言いますか……」
私を見ながら余裕の笑みで、ルクス王子はグラッセを一口かじった。
「王子が食べちゃうんですか!?」
「おへーちゃんだいすきにゃ、これからまひにち、るくすのおかひ、たべてほひーにゃー」
「ルクス王子、食べながらしゃべらないでくださ……」
私が王子の行動に困り果てていると、突然口がふさがれた。
前置きなくルクス王子が私にキスをしたのである。
「んへぇっ!?」
「むちゅ~」
そのまま、ルクス王子から口移しでグラッセを流し込まれる。
甘く濃厚なモンブランの味わい……どころではないっ!
「んん!? るくすおうひ……! やめへくだはい……!」
私が逃れようとしても、ルクス王子は私のほっぺを手で押さえて、そのまま口移しを続ける。
嬉しそうなオッドアイを至近距離で見つめながら、私はキスを受け入れるしかない。
じっとしていると、どんどんと気持ちが高まってきて、私はなんだか変な気分になってしまうのだった。
「あっ……」
ルクス王子が私の唇をペロリと舐めると、最後に自分の口の周りについたクリームを舐めとった。
王子の舌を見て、私はどうしようもなく興奮していく。
ドキンドキンと強く、心臓が高鳴っている。
私は無言で王子のモンブラングラッセを一口かじると、今度は私からルクス王子にキスをしたのだった。
「もがにゃっ!?」
私はルクス王子と入れ替わる様にベッドに押し倒すと、そのまま夢中で彼の唇を堪能した。
やり返し、成功です。
「ぁ、はっ ルクス王子、ルクス王子! 大好きですよ」
私はクリームだらけになった口で、満面の笑みで、想いを伝える。
ずっとずっと、これからも大好きですっ
「うん……これからもずっと一緒だにゃ! お姉ちゃんっ!」
ルクス王子もまた、クリームだらけの顔を赤らめて答えるのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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