36話『花園の城』
あれ以来、不死鳥のように復活したアルベティーニ王子は花園作りに奔走していた。
そしてついに――
「すごいですよ……ここまで来たなんて」
私は眼前に広がる花園を見て、心の底から感動していた。
公園を利用した花園は失敗してしまい、また1から作るにはコストがかかりすぎてしまう。
ではどうしたのか? なんとアルベティーニ王子は王城の庭園を改築した上で更に、一般開放までしたのである。
「まったく前代未聞ですね」
私は横を見上げた。
花園のすぐ隣には真っ白な壁の王城が佇んでいる。まさに花園の城といってもいいだろう。
もちろん、ここまで大変な問題や反発も多くあったのだが、それらを全て跳ね除けここまでたどり着いたのであった。
王城が近い事での保安関係はジークリット王子に、
「っち、しゃーねぇな」
工事の計算や、大規模工事機器の発明はルクス王子に、
「新しく、爆発させてもいい場所が欲しいにゃ~」
資金繰りはシリウス王子に、
「最低限、収益を上げる事が条件だ」
そしてそれらの中継ぎと、人材の確保にアルベティーニ王子が、
「僕の為に皆の力を貸して欲しい」
王子そろい踏みで、共同事業を成し遂げたのである。
観光地化された花園には民衆は勿論の事、国外までうわさが広がり大変な興行となったようだ。
当然、今回の1シーズンだけではなく、今後もイルミネーションなどで四季折々のイベントが企画されているらしい。
「降りしきる雪の中、ロウソクでライトアップされた庭園を王子と歩くのも素敵ですね……!」
私は目に映る満開の花園と、頭の中にあるライトアップされた雪道の、両方を楽しみながら歩いていた。
足取り軽く花園を見て回っていると、お嬢様たちの集団を発見する。
その中心には、いつかのようにフラッキング(旗のように頭振り)しているアルベティーニ王子がいた。
「うふふ」
この花園の城には、ある噂がささやかれていた。
名物、フラミンゴ王子が居るらしい――
「ん~! だからこの花はこんなにも美しいんだねぇー、まるで僕のようにっ!」
「キャー!」
キザなセリフとポーズで、王子が庭園の案内役をしている。
女性だけではなく、他のお客さんにも大人気のようだ。
私はタイミングを見てマスコットしている王子に話しかけた。
「アルベティーニ王子、すごく調子が良さそうですね」
「んアンジェリカっ! 勿論さぁ! これがアルベティー・ニスコッティなのさっ! ドライポプリも好調だよ!」
セリフと共にポーズを取る王子のテンションは天井知らずである。
合わせて周囲からは歓声が上がるのだが、それすらも王子は楽しんでいるようだ。
「本当に良かったです。あの公園での失敗は、皆で拾った花びらは無駄ではありませんでしたね」
「はっはっは、そんな事もあったねぇ!」
以前に皆で作ったドライポプリは土産物としてすぐに売り切れてしまい、追加生産続きであると聞いている。
すでに花園の城でのお土産はドライポプリ、という通例が出来上がっているようだ。
「じゃあアンジェリカっ! 皆が僕を呼んでいるようだからね! また今度!」
満面の笑顔で王子が、獣人の輪の中に消えていく。
なんだか王子が花園に取られてしまったようで、私は少し嫉妬してしまうのだった。
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