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姉の代わりに嫁いだけど、転生ギャルはネイリストになります!  作者: もわゆぬ


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20/21

20

少し短めです


ガタン、ガタンと揺れる馬車の中、そっぽを向いてしまっているサイラスとそれを見つめるアリーナという不思議な構図が出来上がっている。


サイラスからはダラダラと変な汗が流れていて、顔が赤くなるのも止められず、自分でもどうしてこうなったか分からない。

キラキラした目で見つめるのは辞めて欲しい。


「迎えに来てくれる予定無かったよね?

私が初めてのサロンだから心配して来てくれたんだよね?

チョーーー嬉しいんですけど!夫婦って感じ!」


「こっ、この間みたいに倒れられても困るから!!

ま、ま、ま、また熱を出したら大変だろう!」


「優し~~、身に染みる~。

へへ、あの時はネイルをどうやって伝えられるか分からなくて不安で色々無理して作業してたから。

社交場は基本的には得意分野なんだよね、だけどありがと。サイラスが来てくれたから嬉しい。」




おどけて言ったかと思えば、ストレートに想いを言葉にするアリーナにサイラスは頭を抱えた。

余計な事とは思ったが心配で迎えに来てみたら、隣国の皇子と楽しそうに話しているし、なんなら気安く触れようとしていたので反射的に止めてしまった。

それの罪悪感で悶えそうなのに、彼女はそんな事は露知らずサイラスが来てくれて嬉しいとニコニコと笑うのだ。

優しさなんかじゃない。もっとドロドロとした汚い感情なのに。



「つ、次はもうしないっ!」


「えーーー!?なんでぇ!?

暇な時だけでいいからさぁ~、また来てよ。お願いっ!」


きゅるりんとアリーナは上目遣いでサイラスを見る。

本日はサロンという事もあり、色んな事を考慮して清楚系メイクをしている。

若干吊り上がっている目元も並行に見えるようにアイラインを引いたので、今日のアリーナはとても可愛らしい印象なのだ。


「ぐっ、君、自分の顔の良さを分かっててやってるだろ。」


「あ、バレた?今日はメイク可愛いめにしてみたから、この顔役立つかなと思って!

でも、サイラスに効くとは思わなかったから収穫、収穫~!」



「…別に顔だけが効いているんじゃない。」




「へ???」



ポロッと出てしまった自分の言葉にびっくりして手で口元を覆ったが、遅かったらしい。

サイラスの言葉でアリーナはボンッと茹でダコ状態になってしまった。

言ってしまった言葉は戻らないが、顔を真っ赤にするアリーナを見てサイラスの悪戯心が顔を覗かせる。


正面に座っていたアリーナの隣に移動をして、彼女の手を握った。


「今日は握ってなくていいの?」


「え、あ、ちょっ」



ドギマギする彼女を見て、なんだか少し上機嫌になる。振りほどかれない事を良い事にそのまま握っていようとサイラスは思った。


沈黙が続く馬車だったが、お互いに苦では無かった。

ただ、手の温もりをお互いに意識してしまいどちらも目を合わせる事は出来ず、喋る事すらままならないだけである。



後もう少しで邸に着くのだが、早く着いて欲しい気持ちとうらはらにむず痒く何かが疼いた。





「ゔぐッ」



握られていた手が離れたかと思うと、隣で呻き声が聞こえた。


胸を引っ掻きながら息を浅くし、苦しさで少し立ち上がると足から力が抜けその場で倒れ込んでいく。



「サイラス!?どうしたの!?」




突然苦しみだし床にぶつかりそうになるサイラスを慌てて抱き留め、アリーナは従者の居る方の馬車の壁をドンドンと叩いた。


すぐ邸だったので馬車を止め、グレイスに来てもらうように頼み、邸の男手でサイラスをベッドへと運んだ。


ヒュー、ヒューと痛々しく鳴る呼吸と共にサイラスは痛み止めのある場所をアリーナに教えてくれたので、急いでそれを飲ませて服を緩め、横になって貰う。

痛み止めを飲んで暫くすると胸を掻きむしるような痛みは収まったようだが、脂汗をかいていて全身が熱を持ち、脈打っている。



30分程過ぎた頃、グレイスが駆け込んで来てくれた。


診察をしてもらう為にアリーナは部屋を出たが、心配で扉の前でウロウロと落ち着かない。

何も出来ない自分が情けなかった。



ガチャリと扉が開くと、グレイスが青い顔をしていた。


「アリーナ嬢、貴女だけ入って来て。」


そう言われ、アリーナは一人で部屋の中に入った。


まだ苦しそうだが、サイラスは上半身だけ起き上がっていて着ていたシャツを肩から掛けている。

隙間から見える浮き出た肋骨に、鼓動が跳ねる。嫌な予感がする。


グレイスに手招きされるがまま椅子に座った。



「コレを見て欲しい。」


グレイスはサイラスのシャツを取ると、彼の背中を私に見せた。




「ーッ!……これは?」



サイラスの背中には禍々しい魔法陣の様な模様が滲んで浮かんでいる。

それは、まるで生きているかのように動いていて外へ外へ伸びようとしていた。




「間違いない。…これは、呪いだ。」



ストックを出し切り自転車操業をしております、、、

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