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唯一の味方?

取り敢えず示された通りに歩いて来たけれど、

どうやらこの辺りは、特別教室が集まっているエリアらしく、部活動に勤しんでいる人たちが多かった。

美術室の前に人だかりが出来て居る。

何か凄い人でも居るんだろうか?

今はそんな事より自分の教室に行って、なるべく早く帰りたい。

攻略対象者達や、姫花とあまり関わらないように、帰りたい。


…取り敢えず、このまままっすぐ進めば教室に着くのか不安ではあるけれど、

どう頑張っても着かないようならば、この特別教室に居る部活動中の人に聞けば良いかな。

そう思った。

けれど訊かなくても、本当に教室に到着できたので、机の上に置いてある教科書や、プリント用紙を、バッグの中に入れて、急いで、帰ることにした。


「あ」

教室を出ると、凄く可愛い子に話し掛けられた。

レモン色の髪、ゆるふわのウェーブヘアのツインテール、女子の制服を身に纏った子。

「貴女もこの教室の人?」

そう言われた声も可愛い。

この子が“攻略対象者だった事”を知らなかったら本来の性別に一生気が付かなかったと思うくらい可愛い。


知らない振りをしないと怪しまれるから、

「そうです。貴方もですか?」

そう答えると、キラキラした笑顔を浮かべて、手を握ってきた。

「良かったぁ!Aクラスって女の子居ないのかなって思ってたから、安心しちゃった。」

…ん?Aクラスに女の子が居ない?

ゲーム内だと、男女の人数に差がなかった気が…

姫花のクラスが違った事と何か関係があったのかな?

「あ、ボク、稲生 伊織(いなせ いおり)。貴女は?」

「私は、雛川 璃々那(ひなかわ りりな)です」

「璃々那ちゃん…可愛い名前だね。ボクの事は、伊織って呼んでね。」

「伊織さん?」

頬を膨らませる伊織。

「呼び捨てでも良いのに」

「え、無理です!だって私は…」

「“庶民で特待生”だから?」

やっぱり知っていたのか。

「そんなの関係ないよ!」

「そうではなくて…」

ゲーム内で最推しだった伊織ちゃんを呼び捨てにするなんて無理…何て言えないから

どうしよう。

「まぁでも、無理強いする気は無いから、いつか呼び捨てで呼んでほしいな」

可愛い尊い可愛い。

語彙力が無くなるほど可愛い笑顔を浮かべられて私は、今此処で死んでも良いと心から思った。

まぁ、死なないけれど。


「が、頑張ります(無理だけど)」

…ふと思った。

もしかしたら、色んな事が変わっている今、伊織ちゃんの性別が見たまま女の子になって居る可能性もあるのかな?と思ったり。


「璃々那ちゃん、よろしくね」

「うん。」

まぁ性別がどうであれ、伊織ちゃんが可愛いのには変わりないし良いか。

それに私はこの学園で誰かと恋仲になろうなんて考えていないし。


…それより、伊織ちゃんはいつまで私の手を握って居るんだろう?

「ねぇ、もう帰るの?」

「そのつもりです」

「じゃあ、一緒に帰ろ?」

そう言われて、一瞬離れた手は自然と私の右手と恋人繋ぎしていた。

戸惑うけれど、繋いだ手を振りほどくのも違うかと思い、そのままにする事にした。


影から姫花が物凄い形相で見て居る事に気が付かず…

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