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ファーストコンタクト

目覚めると、真っ白い部屋、消毒液のする部屋、ふかふかのベッドの上に寝かされていた。

あの程度の事で倒れるとかどれだけ脆弱なんだろう私。

とか思いながら、身体を起こす。

誰の気配もしない。

ベッドから降りて、上履きを履く。

誰が運んでくれたんだろう?

そんな事を疑問にも思いながら、廊下に出る。

まずは、保健室の主を探して、教室に戻ることを伝えないと

右見て左見て右を見る。

ゲーム内では、出なかった場所。

出たけれど、自ら移動先として選択できなかった場所。

攻略対象者が怪我をして、その手当てをする為に自動的に移動をしただけの場所。

つまり今、私は此処は何処。と言う訳で

簡単に言うと迷子だ。

この、だだっ広い校舎の中で迷子だなんて…

もしかして私、死…?

呆然と立ち尽くしてると、背後から声を掛けられた。


「こんな所で何をしている」

途轍もなく不躾で、失礼で何の感情も無い(だけれどイケメンボイス)

振り返ると、同じクラスの白柳 大和が私を見下していた。(物理的に)

こんな所も何も、此処は保健室の前で、何をしていたでも無いけれど。

何故此処に居るかと言う問いなのだとしたら

入学式真っ只中に倒れ、何者かに保健室に運ばれ、目覚めたが誰も居なかったので、保健室の主を探しに行こうとしていた所で

…?そういえば私誰に保健室に運ばれたんだろう。


「保健室の主を探しに行こうと思っていた所です」

取り敢えず、要約して話してみた。

「保健室の…主?」

「ええと、なんて言えばいいか…庶民の学校なら、養護教諭なのですが、貴族が通う学校(こう言う所)は、医師免許ありそうな人が駐在していそうだと思って、保健室の主と言ってみたのですが…」

「まぁ、何でもいいけど。へぇ、此処って使われて居るんだ。」

どういう事。

「あぁ、そっか君が本校初の“庶民入学者”」

凄い見られている。

穴が開くほど見られて居る。


「姫花が騒ぐほどの相手でもない気もするんだけど…」


そう呟くと、

「養護教諭はあまり此処には、居ない。君も知って居るだろ?この学校は、そもそも、貴族が通う事を前提に設立されている。普通個人個人に専属の医師が居て勝手に、養護教諭が、判断することは許されていないんだから…とは言え、軽い怪我なんかの場合は、早急に手当てをしないと、悪化させる可能性もあるから、そう言う時だけ、職員室から呼ばれ、手当てする。」

薄い笑みを浮かべて、私を見ている。


ゲームの中のヒロインには向けなかったこの表情に私はほんの少しだけ、寒気を感じた。

ゲームでは、ヒロインと両想いになった攻略キャラクターと、デートしたり、結婚後の話が少しだけ描かれてはいたけれど、基本的には両想いになりました。

皆に祝福されました。

めでたしめでたし。みたいに終わっていた。


今此処が、ゲームの世界では無い事は理解しているし(一応)

彼らは生きていて、設定以外の人生も歩んできた存在。

だけどもし、ゲーム内でも裏設定みたいな感じで、こういう面があったのなら、ヒロインは彼らと上辺でしか愛し合うことが出来て居なかったのでは無いかと。


まぁ、そんな事を考えたとしても、私にはどうしようもない。

だから

「分かりやすく説明して下さり、ありがとうございます。」

お辞儀をして愛想笑いを浮かべてみる。

「一つ聞いても宜しいでしょうか」

私のどの行動に驚いたかは判らないけれど、驚いたような表情を浮かべていた。

「答えられる事なら」

素っ気なくそう言われたけれど、答えてくれなかったとしても、何とかなるかなと思いながら訊いてみた。

「1年Aクラスは、どの方向にありますか?」

「え」

質問の意味が解らなかったのだろうか?

「私、教室から自分の足で此処まで歩いてきた訳では無いので、教室がどの方向にあるのか把握していないんです。」

「聞きたいことって其れ?」

これ以外に何かあるだろうか?

此処迄私を運んでくれた人の事は、今じゃなくても良いだろうし、別に大和に訊かなくてもほかにも目撃者は居るだろうし…そう思って、まずは教室の場所を訊いたのだけど…

「教室に戻って、荷物持ち帰らなければいけないので、訊いたのですが」

「え、あっち側」

保健室から出て右側を示された。

「ありがとうございます。では失礼します。」

再び頭を下げて、示された方向に向かった。


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