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決して見たくはなかった

うわあ…凄く私、気の毒だし目の毒じゃない?

見たくも無い物を見せられて、物凄く

可哀想。

隠れて付き合って居ようが、いちゃいちゃして居ようが、別にどうでも良いんだけれど

明らかに、他人が意図しようとして見ようとしなくても見られる場所で

抱き合って居るのを見せられるってこんなにも気持ち悪いんだな。

ドラマやゲームや漫画の中の話でも、うわぁ(ドン引き)なのに

現実だとそれ以上に気持ちが悪い。


「すみません、仕事中なので、仕事場所なので、イチャイチャするのでしたら、移動して頂けますか?」

正直、赤崎さんは未だしも、仕事にプライド持って居そうな黒井さん迄こんな場所でそんな事をするなんて、見損なった。

きっと、私は汚物を見る様な目をしていると思う。


私を態々一人残して姫花の部屋の掃除をさせたのも、こういう事をする為だったのなら、とても、気持ちが悪い。

一瞬でも、ドキッとしていた自分自身にも嫌気が差す。

取り敢えず、姫花の水着を取りに、洗濯物を取り込んだ後の籠置き場に向かう。

その後姫花の荷物に水着を入れて、

キッチンに戻って来る

「取り敢えず、言われていた仕事は終わったので、次は、皆様が食べた食器を持って来ます。其処に居られると邪魔なので、移動して頂けると幸いです。」

「貴女、煩いって言われない?」

赤崎さんが言う。

「報連相大事らしいので、伝えているだけです。」

もう何の感情も沸かない。

好きにすれば良いと思う。

けれど、今こう言う場所で、仕事中にそう言う事をしていると言うのは、この人達だけの問題なのでは無く、主人に当たる人達にも迷惑になるのだと、考えて行動をして欲しい。


リビングで寛いでいる人達に

「此方お下げ致します」

そう告げて、皿を全て回収する。

流石にその時はキッチンから移動して居た。


食器を濡らしながら考える。

抱き合ってるだけだったな。キスとかはしないんだろうか。

其れこそ、個人的には、見たいとは、微塵も思わないのだが。

鬼の様な剣幕で怒って居たアレは何だったのか。

見られて居ると判って居ても、微動だにしなかったな。


……はっ恋仲が抱き合って居ると思って居たけれどもしかして、赤崎さんに刺されていたとか…


……キッチンの床に血溜まりは無い。

絨毯なので、一瞬で血痕を消せる訳でもない。


何だ、只のバカップルか。

そうだとしても、報告して居る事に全く無反応だったのが気になる。

公私混同させないと思って居たのに。

と言うか未だ一日目なのに色々起き過ぎでは?


それにしても私、夕飯食べて無いから、凄くお腹が空いて居る。

お腹の虫もそれを主張するかのように、鳴る。


何となく振り返る。

誰も聞いてない…よね!?よね!?(謎の圧)

キッチンの入り口を長く見つめてみる(特に意味はない)

食器を簡単に濯ぎ、食洗器に入れる。

家では全手洗い、全手拭きなので、食洗器の使い方は解らなかったが、取扱説明書を発見したので、其れを隅から隅まで読み、使ってみる。



……余りにも煩くお腹が鳴る物だから、近くにコンビニが無いか、調べてみる事にした。

仕事中はスマホは自室に置いて居る為、ダイニングで寛いでいる人達に聞く。

「ご歓談中申し訳ありません、この辺りに、コンビニエンスストアって有りますか?」

伊織ちゃんが近づいて来る。

「コンビニ?この辺私有地だから結構行かないと無いよ?」

そうだった、此処の敷地物凄く広いんだった…(絶望)

「そう、ですよね…」

お辞儀をして去ろうとすると

「何かあった?」

悠先輩が近くに寄って来る。

「えっと、凄くお腹が空いて居て…」

「?夕飯済ませてない?黒井は今、姫花と赤崎を連れて出て行ったけど」

「ええと、」

流石にさっき見た事は言うべきでは無いと思う。

報連相大事でも、プライベートの事だと告げ口みたいになるし。

「そんなに遠くに行ったわけでは無いから、すぐ戻ってくると思うよ」

…戻ってくるのだろうか。

さっき見た事の続き(続きが何なのかは考えたくないが)をしないとも言い切れない。

「そうですか」

どうやら今日は、空腹で寝る事になりそうだ…

空腹状態で勉強すると頭に入らないんだよなぁなんて思いつつ

今世では、空腹状態で長く過ごした事は無いから、物凄く辛い感じもするけれど

前世では“躾け”と称して食事を抜かれる事が結構な頻度であったから

耐えられなくも無いだろう。

前世の記憶が戻る前なら耐えられなかっただろうが、前世の記憶が蘇った今ならば大丈夫だろうと思う。

「失礼します」

今度こそ立ち去る。

お腹の虫は未だ主張を続けるが、放って置けば何れ治まるだろうと思う。



璃々那が去った後の、ダイニング。

「何かあったのかな」

伊織が不思議そうに言う。

「さっきの黒井も変だったんだよね」

悠が言う。

「黒井の様子、姫花と会ったばかりの時の大和みたいだった。」

ソファで寝ていると思って居た、冬馬が言う。

「どんな感じ?」

伊織が訊くと

「心此処にあらず、寝ても覚めても姫花の事言ってるみたいな。恋の病?」

「え、黒井も姫花の事好きになったの?」

伊織は複雑そうな表情をする。

「いや、あれは、どっちかと言うと赤崎の方じゃないかな」



無言の時間が過ぎる。



「え、赤崎!?」

伊織が驚く。

同時に、麗斗も驚いた表情をしている。

「…そう言えば、赤崎と姫花ってどう言う関係性なの」

伊織が訊く。

「使用人とお嬢様にしては、自由過ぎるんだよね。」

「自由」

そう言って頷く、冬馬

「使用人とお嬢様が同じ部屋を使うなんてありえないし」

「気まま」

そう言って深く頷く冬馬。

「実は、俺も初めて見る使用人なんだ」

麗斗が言うと、

「麗斗が知らないって事は最近…来たにしては、態々、こんな時に連れてくるとは思えないんだよね」

理解できないと言いたげに、悠は言う。

「姫花が来るって言うのも俺は昨日知ったしな」

と、麗斗が言うとその場に居た皆が同意する。

「僕にも、昨日突然、明日私も行くから(拒否権は無い)みたいな言い方をされて、断る暇は与えられなかったよ」

断われたはずなのに、何故か断れなかったと、悠は言う。

「お陰で全く寛げないんだ…」

項垂れる、悠。


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