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引き籠り体質

食事をしていたメンバーが、食事を終え、片付けも終えた。

「雛川さんは、夕飯の準備の時間まで休憩して居て下さい。」

「仕事は」

「ありません。本来なら、午後も掃除をして頂く筈だったのですが、午前中に終わらせてしまったようなので、夕飯の準備時間まで、休憩して居て下さい。坊ちゃ…悠様達と何処かへ遊びに行かれても構いませんし、朝早かったので自室で休息をとって戴いても構いません。お好きにお過ごしください。夕食の準備は17時半からですので其れまでにキッチンへ戻って来て下さい。」

此れは、有無も言わせぬと言う感じだ…。

「はい。解りました。」

自室に向かう途中、リビングを覗くと、カードゲームをしているのが見えた。


…花札だろうか。

取り敢えず悠先輩には休憩に入る事を伝えておこう。

「悠様、」

声を掛けると悠先輩は振り返る。

立ち上がり、璃々那の前まで来ると

「何かあった?」

心配そうな表情をしている。

「夕食の準備時間まで休憩時間を頂きましたので、一応ご報告しておこうと思いまして」

明らかに安どの表情を浮かべる悠先輩。

「そう、じゃあ、君も一緒に花札をやらない?」

璃々那は困惑の表情を浮かべる。

「申し訳ありません」

その言葉に、鼻で笑う様な声がする。

「庶民は花札のルール判らないんでしょう?」

姫花は一人でクスクス笑う。

「その通りです。」

特に反論はしない。実際花札をやった事は無い。

けれど其れは、私が平民だからという理由とは違う。

ただ単純に、花札に触れる機会が無かったと言うだけの話だ。

「もう少ししたら、海に行くんだけど、璃々那ちゃんも行かない?」

伊織ちゃんが誘ってくれたけれど

「すみません、今日は…部屋に籠ってやりたい事があるので…では、失礼します。」

そう言って、足早に、自室へと向かった。


持ってきた鞄からテキストとノートを開く。

耳にワイヤレスイヤホンを付けスマホとの接続確認をして

推しのキャラソンを流す。

たまに、勉強を蔑ろにして聞き入る。

キャラソンの良い所は、名曲と迷曲が混合して居る所だと思う。

至って普通のタイトルなのに、よくよく歌詞を聞いてみるとカオスだったり

タイトルがカオスなのに、歌詞が物凄く良かったり

一番がギャグテイストなのに二番で泣かせに来たり。

神曲だと思う曲が多い。(ファンだからの意見)


本当は、夜、仕事が終わってから、予習復習をしようと持って来ていたのだけれど

時間があるのなら、今やってしまおう!と言う訳で。

因みに、遊ぶつもりは無かったので(アルバイトで来ているから)

水着やら、海で遊ぶような衣類は持って来ては居ない。

悠先輩に誘われたら、断り辛いけれど(雇用関係的に)、其れでも

浮かれて遊ぶのは違うと思った。

…そう言えばと思う。

こういう、仕事の休憩時間って本来はどうすべきなのか

全く判らない。


前世ではそれなりの職に就いて居たけれど

休憩が、昼休憩45分)、15時休憩(15分)位だった(仕事時間は()()9時から17時)

その時は、昼休憩に15分で食事をし、残り30分は、誰とも会話をせずに過ごしていた。

愚痴や自慢話に付き合えるほど、仲良くもなく、仲良くする気も無かった。

人付き合いが面倒な訳では無いが、愛想が良くは無かった為、気軽に話しかけてくる人は居なかった。

その為、今、此の時間、本当に何をすればいいのか、分からずに

勉強をしている(だが、曲を聴いている時間の方が明らかに長い)


海に誘われた時に、誘いを受ければよかったのかも知れないが

雇用主と共に遊ぶのはどうなのかと(堂々巡り)

悶々と考えていると

扉が破壊されるのでは無いかと思うくらい

激しくノックされて居る事に気付く。

イヤホンの音量は大きくはない。

一応周りの音は聞こえる位の設定をしている。


言われた休憩時間よりは早いけれど、何かあったのかも知れないと思い

扉の鍵を開け、扉も開ける。

と、姫花が物凄い形相で立って居た。

ゴリラ並み(其処まででは無い)のノックは此のか細い腕から出されていた(腕の音では無い)のかと思うと、

「手は大丈夫ですか」

つい不安に駆られて口に出してしまった。

「は……?」

姫花は、ポカンとした表情をする。

「いえ、あの、凄いノック音がしたので」

「何ともないわ。鍛えて居るもの」

…?手の甲を?

「そんな事より貴女!どういうつもり!?伊織の誘いを断るなんて!」

「私は一応アルバイトとして此処に来ているので、遊んではいけないかなと思ったので、お誘いは有り難かったのですが、お断りをさせて頂きました。」

「でも今は休憩時間でしょう!?休憩時間は自由時間でしょう?小中学校の時遊んだりしなかったの!?」

小中学校の頃、休憩時間、遊んでいた気もする。

「そうですね。友人と会話したり…読書したり、その程度でしたが」

「鬼ごっことか!ドッジボールとか!したでしょう!?」

「其処迄アクティブな友人は居なかったので、誘われませんでした。」

「其れでも!伊織のお誘いなのよ!」

「そうですね」

「海よ!?普通泳ぐでしょう!?」

「そう言う物なんですか?」

「そう言う物よ!」

あれ?姫花ってこう言うキャラだったかな?

「海で泳ぐと言っても私、水着持って居ません」

姫花が驚愕の表情を浮かべたままフリーズをしている。


え、まさか、今此処でアノ現象が!?

と思ったけれど、壁に掛けられている時計の秒針は動いている。

「海に行くと言うのに、水着を持って来ていないですって!?」

「アルバイトで来ているので(重要なので二回目)」

「仕方ないわね!」

諦めてくれたかな。

「じゃあ、買いに行くわよ」

…?何で

「えっと、必要最低限のお金しか持って来ていないので」

「ヒツヨウサイテイゲン?」

不思議そうな表情を浮かべられた。

「どうでも良いけど行くわよ」

どうでも良くない…。

「あの、休憩させてください…」

「車の中で休憩して居れば良いわ」

車って誰が運転するんだろう。

此処迄連れてきた運転手は黒井さんだし、他に免許を持って居そうな人も居ない。

タクシーを呼ぶにしても此処は、街中から離れて居るから、早くても30分程掛かるだろう。

往復と買い物時間だけで、休憩時間が終わる。

疲れる。絶対疲れる。

「私が持ってきた水着を貸して上げられれば良いのだけれど…」

他人の体型を見て、苦笑いをするのは止めて欲しい。

「そう言う事だから、行くわよ」

拒否権を下さい。

「買い物ならボクも行く」

何処からか現れた伊織ちゃんが手を挙げてくる。

「え、でも、女の子同士の…」

困惑している姫花。

「じゃあ、ボクも女の子の格好すればいいんだね!」

そう言う事じゃないと思う。

「その手があったわね。皆で行きましょう」

姫花は良い事を思いついたと言う表情で、階段を駆け下りて行った。

…あんな性格だったかな。

御令嬢が階段駆け下りるって、なに。

「つかぬことをお伺いいたしますが」

「うん?なぁに?」

こてんと、首を傾げる伊織ちゃん。

あざとい可愛い優勝(?)

「…仙崎さん、キャラ変しましたか?」

「元々あんな感じじゃない?」

確かに強引な所は変わってはいない気がするけれど

何か違和感。

「其れで、買い物行くの?」

「拒否権が見当たりません。」

「何で敬語?いつもみたいに話そうよ。」

むうーっと頬を膨らませる伊織ちゃん。

「それがですね…敬語で頑張って話そうとして居たら、タメ口の使い方を忘れました。」

極端。

とは言え、敬語も短時間で覚えた為、完璧とは言えない。

其れ、敬語として間違えていると指摘されそうな言葉も結構あると思う。

黒井さんや、悠先輩達が優しいから、その辺は突っ込まないでいてくれていると思う。

「…私服も持って来ていなかったりする?」

「パジャマと、帰る時用の服は持って来ていますが」

「着て来た服は?」

「今干されています。」

メイド服に着替えた時、洗濯させて貰った。

汗かいてるし。夏場は放置すると匂うし。

「じゃあ、ボクの服貸すね!」

そう言って伊織ちゃんは階段を昇っていく。

拒否権は無い様だ。

…サイズ合うかなあ…。


取り敢えず再び部屋の中に戻り、テキストを開く。

お金持っていないんだけどなぁ…

水着って、幾らするんだろう。

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