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またしても勢揃い

泣く泣く(泣いては無い)、家族と別れ(住み込みバイトの為)

やって来ました!

悠先輩所有の別荘!

都筑家所有じゃなく、悠先輩個人で所有している別荘って…

ヤバ、とか、スゴっとか

語彙力行方不明の言葉しか出てこなかったよ。

そして、別荘ってもっと小ぢんまりしているイメージだったのだけれど…

何処の高級ホテル?と言いたくなるような建造物である。

まあ、普通の高級ホテル(普通の高級ホテルとは?)よりは

部屋数少ないけれど、其れでも10部屋程あるらしい。

3階建て、エレベーター付き。

広いホールがあって、シアタールームもあって、リビングもダイニングも広いし、

お風呂は露天風呂と内風呂がある。

取り敢えず、ヤバいし凄い(語彙力皆無)


私にも、1部屋与えられたのだけれど、家の自室と類の部屋足しても、其れよりも広い。

最低限の着替えだけを詰めた、バッグをソファーに置く。

作業着は、部屋のクローゼットにあると、車内(高級車)で、迎えに来てくれた悠先輩に言われた。


クローゼットを開けると

「め、メイド服…だと!?」

ミニスカートとか、露出度高めとかでは無く、高貴な人に仕える、メイド服。

外は暑いけれど、室内は快適な気温なので、長袖、ロングスカート、膝丈靴下、ストラップ付きのパンプス、シンプルな白いエプロンでも平気。

室外の仕事を任されたら、地獄な気もしているが。

その場合は、額に貼る冷却シートと、保冷剤を屈指して頑張ろう。

(あと水分補給大事。)


着替えてみる。

袖は長袖で、色は黒いから、見た目は暑く見えるかも知れないけれど、夏用だからなのか思ったより涼しい。動きやすい。

鏡の前で回ってみる。(何となく)

指示を仰ぐために、リビングへと足を運ぶ。

(簡単な館内の地図を貰って居るから、迷う事は無い。)


リビングに到着すると、人が増えていた。

予定だと、悠先輩と、悠先輩の専属執事だけだと聞いていたのだけれど

「あら?何故貴方が此処に?」

姫花が、優雅にティーカップを持ちながら振り返る。

姫花と愉快な仲間達(攻略相手)が揃って居た。

「此処に居る間のお手伝いをして貰おうと思って“僕”が雇ったのだけれど、何か問題でも?」

悠先輩がそう言うと

「でも、その方、庶民でしょう?」

何が言いたいのだろう。

「君は、全ての平民が泥棒だと思って居るの?」

「そうじゃありませんわ。価値の分からない人間が、高級な品を穢したり壊したらと思っただけですわ」

「貴族でも物の価値が分からない者は大勢居ると思うけれど」

何か、ぎすぎすして居る。

「姫花、海に行こう」

大和がそう言う。

「大和が言うなら」

「ボクは日焼けしたくないから行かない」

「伊織、日焼け止め貸してあげるわよ?」

「暑いし、動きたくない」

珍しく、女装じゃないのは暑いからだろうか?

「海に入れば暑くないわ」

「無理強いは良くない」

藤堂くんが言う。

「蒼は行くわよね?」

「勿論」

表情筋が全く動いていないけれど、(はしゃ)いで居るんだろうか。

分かり辛い。

………と、彼等を観察している暇は無いんだった。

「あの、都筑先輩…」

あれ、こういう場合ってご主人様とか主様とか、そう言う呼び方をした方が良いんだろうか?

「黒井さん(悠先輩の執事)は何方にいらっしゃるのでしょうか?」

「今は、キッチンに居る筈」

「ありがとうございます。では、失礼いたします。」

軽くお辞儀をして、リビングから出る。


キッチンに移動するまでの間、何度か姫花とすれ違う。

リビングから離れている訳でも無ければ、一本道なのに、忘れ物があるとかで、何度も行ったり来たりをしているようだ。

忘れ物なら、姫花に着いて来たらしいメイドにでも持って来させれば良いのに、わざわざ自分で取りに来る理由は何なんだろう。

キッチンのドアをノックする。

「はい、どなたでしょう」

漆黒の髪色、黒ぶち眼鏡、切れ長の目、黒い燕尾服を身に纏って…

真っ白いエプロンを着けている人がドアを開ける。

「雛川です。指示を仰ぎに参りました」

「サイズは大丈夫ですか?」

「はい、丁度良いです。」

「お似合いですよ」

ヤバい、笑顔が、ヤバい。

大人の余裕とでも言うべきなのでしょうか…

声も低すぎず高くはない所謂イケボと言う(個人に寄り、感じ方は異なります)

此の色気持ちで、まだ20代前半とか…ワンチャンも何もないけれど、この人の部下(下僕)になりたい。


…は。

一瞬意識が、別の方向に向かって居た。

何か聞き逃していないよね?

「一応、来る前にハウスキーパーに入って貰って居ますが、念の為、3階の掃除を頼んでも宜しいでしょうか?」

「3階と言うと、お客様と、主様の寝室がある場所ですね?」

「まだ、荷物は各部屋に入って居ませんので、掃除しやすいかと思います。」

「承知致しました」

やや間があって、黒井さんは戸惑うように

「ところで、主様と呼ぶように、悠様に言われましたか?」

そう言ってきた。

ヤバい、何か間違えた?

こういう時に選択肢が見えないのは辛い。

「いえ、そう言う訳では無いのですが…申し訳ありません、何とお呼びしたら良いのか判らずに」

「怒っている訳では無いのですが」

「今までと同じ呼び方は違う気がしたので」

「そうですね。では、悠様と」

な、名前呼び!?ますます難しいのですが?

「が、頑張ります」

「もしくは、悠様に直接、呼び方を問えば宜しいかと。」

「そうしてみます。」

「掃除用具は、各階に有りますので、其れを使用して下さい。掃除用具がある場所に水道もあるので、モップや雑巾がけをする場合は其れを使用して下さい。掃除をする前に、エプロンやゴム手袋等を着けて下さい」

「はい」

「お昼前に、悠様とお客様方にお出しする昼食をダイニングに運ぶので、其れまでに手を丁寧に綺麗に洗い、メイド服が汚れた場合、着替えは用意してありますので着替えてから戻って来て下さい。」

説明凄い。

「承知いたしました。では、失礼します。」

お辞儀をして、リビングに一度顔を出す。

「ご歓談中失礼いたします」

悠先輩に声を掛ける。

「何かあった?」

「申し上げにくいのですが、1つ質問宜しいでしょうか?」

「何でも聞いて?」

「此処で、働いている間は、何とお呼びしたら宜しいでしょうか?」

若干間が空く。

やっぱり失礼な事を聞いたかと思いきや

真剣に悩んでいる、悠先輩が居た。

「麗斗なら、何て呼んで貰いたい?」

「悩むが、俺なら普通に“旦那様”だろうか」

普通のハードルが高い。

「伊織は?」

「うーん?だーりん?とか」

「其れは、恋人とか夫婦の呼び方だから却下」

軽くあしらわれる、伊織ちゃん。

「黒井がしてるのと同じ呼び方で良いよ?」

やはり名前呼びか…ハードル高すぎて飛び越えるどころか潜る方が楽なレベル(?)

「では、(頑張って)悠様とお呼び致しますね。」

「今から何をするの?」

伊織ちゃんが訊いて来る。

「3階の清掃を任されましたので其方を。」

「そっかー…」

残念そうにしている伊織ちゃん。

「では、失礼いたします」

お辞儀をして、3階へと向かう。



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