こんな所で話す内容じゃない気がする
「他に席は有りますよ」
そう言うと、
「ええ、知って居るわ。」
わざとか。
「璃々那ちゃんは、何を食べたの?」
伊織ちゃんが、フリフリフワフワのロリータ服を着ている。
「レモントマト饂飩。」
「酸っぱそう…」
「爽やかで夏にぴったりだったよ。」
「じゃあボクもそれにしようかな」
「伊織?庶民的な物を選ぶなんて、貴族としてのプライドが無いの?」
「貴族としてのプライド」
食べ物で、そんな物が無くなるのなら、何も食べられなくなる気がする。
「食べ物くらい好きな物を食べさせて欲しい。」
伊織ちゃんは、姫花に冷たい視線を送る。
「さっきまで、そんな目で見なかったのにどうして」
困惑している様子の、姫花。
「何でだろう?璃々那ちゃんを見たら、自分が冷静になった気がする。」
どういう事だろう。
「あ、おとーとくん、だよね?ボク、伊織」
「りりが、いつもお世話になってます。」
「いつも?…璃々那ちゃん、ボクの事を家族に?」
「はい、物凄く可愛い男の娘が居るって燥いでいました。後、ずっと眠っているのに成績優秀な人と、何か知らないけれど、顔を合わせると喧嘩腰になってしまう人が居ると。でも、何故か新学期からは、別のクラスに」
「類!?」
私その話、言ってないよね?
「りりの終業式の日に、学校から連絡があったんだよ。りりだけクラス替えをするけれど、クレームは受け付けないって言う。」
わぁ、何と言う事でしょう。
別にクレーム言うつもりは無かったんだけれど、態々学校側からそんな連絡…
あり得ないと思う。
「まあ、別のクラスになっただけで、壊れる関係なのだとしたら、其れ以上は何にもならないと思うので、安心して姉を通わせられます。」
…類は一体何の話をしているのだろう。
「これからも、姉と仲良くしてあげてください。」(圧強め)
そう言い残して、類は、カツ丼の丼(完食済み)を持って、食器返却口に向かった。
取り敢えず何の話だったのかは、さっぱり分からない。
「何か知らないけど、ボク牽制された?」
「普通に、姉を宜しくお願いします。って事じゃないの?」
いつの間にか、クレープ四種類を皿に乗せて、持ってきた冬馬くんが、私達の座っていたテーブル席の横の席に座っていた。
「そうなのかなぁ?何とも言い難い迫力あったよ?」
「甘そうな物しかないんだけど、其れ全部食べられるのか?」
クレープを、嫌そうに見る、大和。
「甘いのは、一種類だけ。後は総菜系のクレープだよ。アボカドと緑の野菜クレープ、サラダチキンクレープ、エビチリクレープ、デラックスフルーツクレープ…」
アボカドと緑の野菜って何だろう。何が入っているかとても気になる。
「デラックス…それだけでも甘さは多いだろう」
「甘い物を頼まないクレープだったら、それはクレープじゃないからね」
総菜系とデザート系、別の店舗で買えば良いだけではとか思ったけれど、特に口には出さない。
クレープ大好き人間なのかもしれない。
「フードコートなんだから皆も何か食べ物買って来ないと駄目だよ」
そう言って、クレープに齧り付く、冬馬くん。
「え、じゃあ、私にどれか」
手を伸ばす、姫花。
「あげる訳ないでしょ。其れにさっき、庶民の食べ物って言って居たんだから、自分で買って来たら?」
相変わらず、姫花に塩対応。
入学式のアレがおかしかったんだな。
と解釈をする、璃々那。
「類、私達も、移動しようか。」
「ん」
頷く、類。
「じゃあ、また。」
クラスが別れたから、学校でと言う言葉を言えない気がした。
類と一緒に、両親のもとに行く。
姫花は、どすっと、冬馬の前の椅子に座る。
「なんなんですの?」
冬馬は目を合わせる事無く、クレープを食べ続ける。
「伊織もですわ」
「ねえ、姫花ボク達に何をしたの」
姫花は視線を彷徨わせ
「何もしていませんわ!」
そう言い切った。
「ボクも何か買って来ようかな」
そう言って、フードコートエリアの店に向かった。




