家族で遊びに来たよ
父の運転する自動車に乗り、やってきました!
室内アトラクション施設!
前に来たときは、招待制のプレオープン期間だったから、あまり人が居なかったけれど、流石に混んでいる。
前売り券で、優先的には入れるけれど、当日券で入ろうとか考えて居たら、多分かなり待たされたと思う。
有ってよかった前売り券。買って居て良かった前売り券。
「凄い人ねぇ」
母は驚いている。
「最新施設だからね」
父は、おっとりしている母が逸れない様に、駐車場からずっと手を繋いでいる。
「テレビで紹介されていたし。この前本格オープンの時も、奏太が施設紹介してたし。」
類が言う。
「見てくれたんだ!有難う」
スタッフに前売り券を渡して、施設内に入った瞬間声を掛けられた。
声の主の方を見ると、全く変装して居ない(黒いキャップを被っているだけ)、奏太先輩がニコニコと微笑んでいた。
「え、本物」
珍しく狼狽えて居る、類。
「プライベートだから、騒がないでね?」
何故かウインクしてくる。
(この人カッコいいんだけど、何かダサいんだよな。)
と心の中で思う、璃々那。
「珍しく一人ですか」
「いや、友達と一緒。でも、見知った顔が居るなぁと思って居たら、俺の噂話してるのが聞こえて、つい。」
「あ、此方、私の弟です。可愛いです。」
「おとーとくん、何歳?」
「10歳です」
類が食い気味に答える。
「じゅ…え、小5?やば、おとなっぽ…今の小5って皆こう?」
「まあ、そうですね」
(こう、とは。)
「まじか…芸能界とか興味ない?」
何故唐突にスカウトをしてくるんだ此の人は。
「見る分には好きですけど、興味ないです」
「絶対人気出るのに」
「家族と一緒に居る時間減らしたくないんで」
(何その解答、めっちゃ好き。)
璃々那、ブラコンスイッチオン。
「璃々那、その方は?」
両親が戻って来る。
母親の問い。
「あ、学校の先輩。」
「先輩…」
明らかにホッとした雰囲気の父。
「あ、先輩、此方私の両親です。」
「初めまして、学校の先輩です。」
(自己紹介…雑)
「あ、そろそろ、俺、友達の所戻るよ。おとーとくん、考えておいてね」
「え、断った…」
狼狽えて居る、類。
「何かあったの?」
「りりの友達に」
「先輩ね」
友達と言うのは、烏滸がましい。
学校の先輩以上の何でも無い。
「スカウトされた。」
「芸能界の方なの?」
「ほら、いつも見ているテレビに出てくる、りりの学校の人」
「あ、ああ!あの、凄いキラキラしている人」
私の母親は、名前を憶えていないらしい。
「断ったけど、考えておいてって言われた」
「類が可愛いから当然だけどね!」
(ブラコンスイッチ入り中)
「さっき、お父さんと、案内図見て来たんだけど、お買い物してきていいかしら?りり、ゲームコーナー行きたいんでしょう?」
バレている。
因みに、お小遣いは家を出る前に渡されている。
「使い過ぎないようにな」
「ど、努力します…」
「類は、どうする?」
「りりと行く。馬に蹴られたくない。」
「そう?じゃあ、お父さんとお母さん二人で買い物してくるわね?11時頃にフードコートで待ち合わせ。遅れないでね?」
そう言って、両親と別れる。
ラブラブだ。
「よし、類も、おねーちゃんと手を繋ごう!」
「え、やだ」
即答。姉はとても傷つきました。
「ほら、武士恋の売り切れるかもよ」
は!そうだコジロー様!
ゲームコーナーへサクサク進む。
脇目も振らず、ゲームコーナーへと!
―――――――――――離れた所で璃々那を見て、舌打ちをする赤毛の女。
姫花も来ていた。―――――――――
「…あれ、誰」
「アレ?」
「あの、庶民女と一緒に居た。さっき話してきたんでしょう?奏太」
姫花の横に居た奏太は、苦笑いを浮かべる。
「弟だって。芸能界にスカウトしたけど、断られたよ。」
「弟!?…可怪しい。一人っ子だった筈なのにバグが起きている?」
何やらブツブツ呟いている、姫花。
「そもそも、両親だって不仲の筈……」
「姫花?」
「私達もアレの居る方に行くわよ」
「え、麗斗達待って居るんじゃ」
「待ち合わせ場所変更するって連絡しておけばいいでしょう。」
璃々那の後を付けていく姫花。
溜息を吐いて、その後ろを付いて行く奏太。




