二度目の…
教室の自分の席に突っ伏して居る。
明らかに可怪しい。
幾ら、終業式の準備をしていたのが貴族主義者の人だったとしても、こう言った行事には、生徒会が関わる。
悠先輩も麗斗先輩もこう言った事を善しとはしないだろう。
他にする事が山積みだったとしても、最終確認は生徒会長もしくは生徒会副会長がすると思われる。
椅子の確認を怠ったとしてもピンポイントで1年A組の女子の席が無いとか、1年A組の椅子が一脚足りないなんて、ほぼあり得ないと思う。
麗斗先輩が気付かなくても、悠先輩が
悠先輩が気付かなくても麗斗先輩が気付くだろう。
気付かなかったとしたら、何のために生徒会があるのかと言う事になる気がする。
…まあ、其れは言い過ぎかもしれないけれど。
ちらりと時計を見る。
またかそう思った。
入学式の時にも在った現象。
恐らく謎の力入学式の時と違い、終業式は何のイベントも無いのに。
「はあ」
溜息を吐きつつ、立ち上がり椅子を持って、教室から出ようとした。
教室のドアが開いた。
「何してんだよお前」
こうして声を掛けられたのは、入学式以来だなと思った。
「何してるも何も、行動に椅子が足りないから、椅子を取りに」
「冬馬と伊織が生徒会に伝えて、椅子は準備してある。」
では何で此処に来たのは、冬馬くんでも、伊織ちゃんでも無く大和なのだろうか。
姫花と一緒に居なくていいのか?
同じ教室だから顔を合わせる事はあっても、話しなんか全くしなかった、大和が此処に
「…えっと、白柳くん、何故此処に」
「お前を迎えに来た。伊織は顔を合わせ辛いとか言うし、冬馬は疲れて動きたくないとか言うし」
別に呼びに来る理由は無かっただろう。
其れなのに何故
「私を迎えに来て、姫花さんに怒られないの?」
そう言うと
「姫花も止まっているから」
「え」
この世界は姫花の為の世界じゃないの?
「お前何なの?」
何なのとは。
「特待生です。」
「ただの特待性が、こんな事出来るのか?」
「ただの特待生ではなく我が校始まって以来初めての一般庶民の入学生です」
「本当は魔法使いだったりしないか?」
魔法使い!?
え、この世界ってそんな物が存在する世界だったかな?
「魔法を使った記憶はありませんが、もしかしたら私の中の、内なる魔力が…」
「く…」
く?何か声が震えて居る気がする。
そして、何か身体も震えて居る。
もしかして此れは…
『お前本当は阿呆だろ。』
とか言われるシチュエーションでは
阿呆とか言われたくないんですけど。
そう思って居たら、
何だか物凄く笑って居る。
「くくく…内なる魔法って中二病かよ」
な…
「違いますけど!?」
「その内、左目が疼くとか言って黒い眼帯とか…くくく」
「着けません!」
「…っと、こんな話してる暇はなかったな。ほら戻るよ。」
取り敢えず、笑い方が悪役っぽい(偏見)気がする。
「一緒に戻ったら、あの人に何か言われそうだから先に戻って居た方が良いと」
そう言うと、大和は
「姫花は、俺の事なんて見て無いよ」
少し寂しそうにそう言った。
「え…でも、いつも一緒に」
「一緒に居るからこそ、俺の事は気にもしてない。」
そう言う物なのかな?と思う。
よく解らないけれど、欲しかったものが手に入ったら満足してしまう人の典型的な感じの様な物?
「それでも、一緒に戻る意味が」
「俺は、見張り。また逃げ出されたら面倒」
“また?”いつの事を言われているかは判らないけれど(思った以上に色んな事から逃げて居る気がする)
まあ、其処は追及しない。
入学式の時と同じで、私が戻ると何事も無く時は動き始めた。
そもそも、何だ此の主人公補正は。としか言えない。
態々私を参加させないといけない事など何処にも無いだろう。
入学式の時も私が居ても居なくても関係なく物事は進んだと思われる。
今回も、私が居なくても、何の問題も無く進むだろう。
そう思って居た。
終業式が始まり、校長先生の有難い話や、夏休み中の注意などの話が終わり、そろそろ終業式も終わりだと思った時だった。
1年A組の担任教師が壇上に上がる。そして、彼は、私の事を不敵な表情で見ると
「1学期の終業式と言う中途半端な日ですが、我が1年A組に仙崎 姫花さんを特別に移動させる事になりました」
え。
「其れに伴い、特待生として我が校に入学している、雛川 璃々那さんを、特殊クラスへと再編成する事となりました」
特殊クラスとは何でしょうか。
私以外にもそのクラスに誰か移動するなら再編成と言う言葉を使われても、間違いでは無いけれど、私だけのクラスなら、再編成と言う言葉を使われるのは可怪しいと思われますが!?
と心の中で思いつつも、特待生のままで居させて貰えるのならば、特に文句は言わない。
1人だけのクラスなら、全部自習とかにしてくれないかな。
貴族主義者の先生と一対一とか苦痛すぎる。
ざわざわしたのは生徒だけではなく、教師側もだった。
「誰が特殊クラスを教えるのですか」
そんな声が聞こえる。
本来なら、そう言う事を先に教職員の会議で話し合っておくのが普通だと思うのだけれど
そう言えば此処は普通じゃなかった。
姫花が提案して断れる人が居ない世界だった。
さっきのアレは、此の事を話していたんだろう。
そして今日だったのは偶々今日思いついたからとかそう言う事情。
まあ、夏休み中に適当に会議が行われ、適当な所で私への処遇が決まり
私のクラスに割り振られた教師は、適当に授業を熟す。
まあ、私がする事は変わらないけれど。
物凄く嫌味を言ってくるような教師じゃなければ良いなと思う。
…そう言えば今日からって言った?
私の教室は何処。




