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気が付いたらテスト期間だったよ

あの日、あの後から全く、女子生徒から良くも悪くも絡まれなくなった。

すれ違っても、無視。

平和と言えば平和なのだろうが、あの日何故、態々私に接触して来たのか

謎なままである。

食堂で、()()()()言ったのだろうが、

恐ろしくて訊けない。

世の中には、知らない方が良い事も間々ある。


そして最近授業中に、よく『此処テストに出る』と言う教師の発言を聞くようになった。

実際このクラスは優秀な物しか居ない筈だから、そんな忠告は要らない気もするけれど、

もしかしたら、この中にも一夜漬け派の人も居るかも知れない。

そんなこんなで、もう直ぐテスト期間(考査、試験などとも言う)です。

いつも以上に図書館も混み始め、座る場所も無く、借りたい本は先に誰かに借りられて居る為、

教室で教科書を読みながら復習をする。

伊織ちゃんや、冬馬くんと問題を出し合ったりとかもしている。

自分達では判らないけれど、他の人たちが言うには

『えぐい』らしい

『高校1年生レベルの問題では無い』と言われた。

大学や高難易度の専門的な何かの人達向けの問題を出し合って居る様にしか見えないらしい。

そもそも、普段の授業がそんな感じだから、此れでも簡単な方だと思う。

…多分。

何の嫌がらせだよと思う程の難易度である。

其れこそ、中学の頃、普通レベルの授業しかして来なかった私には、休憩時間も勉強に回さないと授業に追いつけない程なのだから。

まぁ、寝る時間は減らさないけれど。

寝る時間を減らすと集中力や注意力が落ち、序に肌や肉体的成長にも悪影響が出る。

眠る時間は大事なのである。

若いからと言って疎かにしたら後々痛い目に合う(何の話だ)

食事睡眠入浴は大事。

後、適度な糖分。


それにしても明らかに、入学試験のレベルと全く違くなっている授業も、何らかの力が働いているのだとしたら、私が此の学校を退学になってしまったら、授業のレベルも変わるのだろうか?と思う。

その場合、私はその授業を受けられないので、無関係とも言える。


と、若干現実逃避しながら、予習をする。

「そう言えば昨日、試しに蒼に問題を送ったら、『何の暗号?』って返信来たから、多分Aクラスだけ此の難易度だと思うよ」

と、ペン回しをしながら、伊織ちゃんが言う。

「まぁ、そうだろうね。この問題付いて行けない人が多いと思うし」

「わざわざAクラスだけ他のクラスと違う問題を出されるのかな」

「いや、さっきの授業の時、テストに出るって言っていた問題は、普通の高校生でも解ける問題だったよ」

欠伸をしながら、冬馬君が言う。

授業中寝てるかと思って居たのに、きちんと話聞いていたのかと驚く。

「少なくともボクは普通の高校生のつもりだけど?」

冬馬くんは、ジト目で伊織ちゃんを見ると

「何処が?」

そう言った。

「見た目は関係ないでしょ!?」

「見た目の話はしてない」

「Aクラスの授業に付いていけてる時点で世の中的には“普通”じゃない」

「寝ながら、授業に参加してるのも、普通とは違うと思う」

むくれる、伊織ちゃん(可愛い)

「ま、其れは其れ。」

「じゃあ、今、出し合ってるこの問題…無意味では」

小声で呟くと

伊織ちゃんは、ペンを落とす。

「でも、テストの範囲なんか把握してない」

「ちょっと待ってて」

冬馬くんは立ち上がり

「大和、テスト範囲教えて」

「は」

独り、スマホゲームをしている大和(廊下側1番前の席)に声をかけている。

「なんで俺が」

「毎日放課後、姫花に教えに行ってるでしょ」

「…何で知って」

「姫花に誘われたから」

「誘われてるのに断ってるのか…」

「断ってはいないよ。眠気に勝てたら行くって言ってる」

…遠回しに断っていると言うのでは。

「範囲だけなら」

「其れで良いよ。」

そう言って、テキストに付箋を付けられて戻って来た。

そして、今度は別のテキストを持って、また付箋を付けられて戻って来た。

「範囲多い。」

パラパラとテキストを捲りながらページ数を数える伊織ちゃん。

「全部覚えればいいだけでしょ」

さも当然と、冬馬くんは言った

「うわ、頭いい発言ムカ」

伊織ちゃんは、眉間に皺を寄せた。

「冬馬くんテキスト見せて」

「ん」

冬馬くんのテキストについている付箋と同じ所に、付箋を付けた。

それを真似て、伊織ちゃんも付箋を貼っている。

伊織ちゃんの付箋はあの犬たちだった

「あ、メッセージのスタンプの」

「そう、可愛いでしょ」

凄く可愛い。緩い感じが。

「此れで範囲は分かったけど…厳しくない?」

全テキストに付箋を貼り終えて、伊織ちゃんは呟いた。

「普段教えられている問題の基礎の部分が此れの筈だから大丈夫じゃない?」

余裕そうな冬馬くんは流石だと思う。

正直羨ましい。

だから、一番本気になられたら厄介なのが冬馬くんだったりもする。

私は、他の人達と違って崖っぷちに居る。

たった一度でも、成績トップでは無かったら即刻退学。

…ふと思った。

そう言えば私この学校に入学したのって、どうしてもこの学校に入学したかったからでは無く

前世好きだったゲームのヒロインと同じ名前、同じ外見

たまたま同じ名前の学校や世界設定が一致したってだけと言うのと

中学の時の担任に「試しに受けてみないか」って言われたから

軽い気持ちで受けただけなんだよね。


そう思ったら、私は何を気負っていたんだろうと思った。

確かに、ある程度有名な学校に通ったら、

将来的に、それなりの職につけて、弟に苦労はさせないで良い学校に通わせられるとか思って居たけれど、本人が望んだわけでもないし、そもそも家は私が頑張らなければ、学校に通えないとかいう程貧乏では無い。

最悪退学になっても、別の学校に編入出来ない訳でもないし。

そう考えたら、気が楽になった。


頑張るには頑張るけれど

寝食を蔑ろにしてまで頑張るまでも無いか。

【座右の銘…なるようになる】

今この、テストに向け、ああでも無いこうでも無いと言って居る時間は嫌いでは無い。


…後で一応、編入可能な学校のリストアップしておこう。

念のため。



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