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疑問増える。

「ねぇ、伊織ちゃん。ふと疑問に思ったんだけど」

いつの間にか、山盛りに有った料理を食べ終えていた伊織ちゃんに

訊いてみる

「ん?」

小首を傾げる伊織ちゃんは可愛い。どんな姿でも可愛い。

「えっと、生徒会長と仲良しなの?」

「えー…仲良くは無いよ」

あからさまに嫌そうな表情をする。

「数日前に、とある人を介して知り合わされたと言うか…」

知り合わされた。

数日前という事は、入学式の時は知り合いでは無かったのかな?

でもあの日、姫花を取り囲む“攻略対象者”の時に一緒に居た気が…

…深くは探ってはいけない気がした。

それに飽くまでも私と伊織ちゃんは友人なだけで他の交友関係に何か言いたい訳ではない。

「ドレスを用意して貰える関係に私は居ないから、良かったのかなと思って」

「あー…えっと、実は、ボクが参加しなくても良くなる言い訳探して居て…ボクは、璃々那ちゃんを利用しようとしたんだよ?」

利用…。

「もしかして、伊織ちゃんはパーティーが苦手なの?」

「パーティーがって言うよりこういう人が集まる場所が好きでは無いんだよね」

貴族だと此れ以上に大人数が集まる社交界みたいなのに参加しているイメージだから、

意外だと思ったけれど、貴族だからと言って皆が皆、社交的だとは限らないのは、当然か。

そう納得する事にした。


「俺も入れて」

眠そうな声がして振り返ると、冬馬が立って居た。

「何、入れてって。」

伊織ちゃんが嫌そうに…と言うか、面倒くさそうに言う。

「あれ?一緒に遊ぼうって誘う時、“いーれーてー”って言うって、漫画で見たんだけど…違うの?」

漫画とか読むんだ…

「知らないけど」

伊織ちゃんは冷静に返す。

「あー…小学生の時に言った事がある様な(無い様な)」

「ね、間違えていない」

どや顔(?)をする冬馬。

「姫花と居なくて良いの?」

伊織ちゃんが訊くと

「うん。あの中に居ると眠れないし、食べられないし…」

「何時間眠れば済むんだよ…」

小声で、伊織ちゃんは呟いた。

「其れに今、俺、姫花より、雛川の方が気になるし」

その言葉に少しドキッとした。

同級生としてなのか、唯一の特待生としてなのか

…それとも…

流石に、最後に思い浮かんだのは、余りにも自惚れが過ぎる。

「ボクの目の前で口説かないでくれる?」

「口説いてるの?俺」

(いや、私に訊かれても困るんだけど)

曇りのない目で見つめられる。

「え、アレで口説いて無いとか…」

「稲生から辛い匂いがする…」

眉を顰める、冬馬。

冬馬は近くに並んでいるスイーツを皿の上に乗せ始める。

「うわぁ…体に悪そう…」

さっき、激辛料理を食べていた人に言われたくない…と思うけど

どっちも極端!

「体に悪いかは知らないけど、此処にあるのは、全部野菜が材料に使われているから、其処迄でも無いと思う。」

「そういう問題なの?」

「此れ、キャロットケーキ、此れは、ほうれん草ペースト入りのマカロン、此れは、かぼちゃプリン、此れが、スイカのジュレ」

1品ずつ説明してくれるのは有り難い様な…

そうでも無い様な…

「でも、砂糖は使用してるんだよね?」

「砂糖も、キビ砂糖とか、蜂蜜とか…」

「結局甘いじゃん」

明らかに嫌そうな顔をしている、伊織ちゃん。

「甘い物は幸せの味なんだよ?」

「ボクは辛い物こそ至高だと思う」

この二人、多分味覚の面で、気が合う事は無いだろうな。

そう思った。

「雛川は?何も食べないの?」

「えっと、此のドレス体にフィットし過ぎてて…食べたら苦しくなりそうで…(という事にしておこう)」

「そうなの?ドレスって大変なんだね」

さっきまで山盛りに有ったスイーツをいつの間にか完食している。

早食いは、身体に悪いよと言って良い物か…困る。

「踊る?」

突然、冬馬に手を差し出される。

「踊らない」

何故か返答する、伊織ちゃん。

「稲生には訊いてない」

「訊かれて無くても、ボクには答える権利があるんですぅ!今日の璃々那ちゃんのパートナーはボクだから」

「パートナーだからって、勝手に決める権利は無い」

取り敢えず、私の意志は関係なさそうなのは気のせいだろうか。


そもそも、お茶会って言う噂だった筈がいつの間にか、交流パーティーに変わり、そしてダンス?


ゲーム時のパーティー内容を思い出す。

あぁ…確かに踊ってたわ。麗斗と。(ゲーム時は麗斗ルートのみだった為)

庶民なのにダンスを颯爽と踊れるとか…

チートヒロインめ。

私は、学校で習ったダンスしか踊れない。

つまり、こう言う所で踊る、社交ダンスは踊れない。

「あの…私、踊れないよ?」

そう言うと

「え」

「あ」

言い争いが止まる。

「何か、ごめん」

冬馬に謝られる。

「じゃあ、楽しくないよね…どうする?帰る?」

多分帰りたいのは伊織ちゃんの方だなと思う。

「勝手に帰って良いのかな?」

「帰る時間は決められていないから、来たって言う証拠があれば帰って良いんじゃないの?」

「松川、訊いてきてよ」

「ヤダ」

即答する、冬馬。

「麗斗か、副会長に訊いてくるだけじゃん」

「ヤダ。」

「今って、スマホ使えないのかな?私は知らないけど、伊織ちゃん、生徒会長と連絡取れるんだよね?」

「そう…だけど、麗斗が気付かなかったら無意味だし、姫花と居るのに、スマホなんか見るかなぁ…」

何となく察してしまった。

「悠に訊けば良いんじゃない?」

「提案する位なら、松川が連絡してよ」

「スマホ持ち歩かない」

「はぁ…」

呆れる、伊織ちゃんは、スマホをタキシードの内ポケットから出して、メッセージを送っている。


数分後、

「帰っても良いって。何のためにこんなパーティー開いたんだろう」

伊織ちゃんは、呆れ顔をしている。

私個人的には、何となく理解している。

「雛川、送っていくよ」

「え、大丈夫。気にしないで」

「そうそう、気にしないで?ボクが送っていくから」

「いや、1人で帰れるよ」

「「駄目」」

声を揃えて言われてしまった。

「外は暗いし危険だから、ボクが送っていくの」

多分これは、断り続けたら面倒なことになりそうだと理解した。

「あ。更衣室に荷物取りに戻らないと」

此のドレスは後でクリーニングして…

普通のクリーニング店に出して大丈夫だろうか。

不安要素が増えた。

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