図書館ではお静かに
昼食後
伊織ちゃんと別れて
図書館に来た。
取り敢えず、当分の間
時間があれば勉強に費やしたいと思う。
その位しないと
成績トップ維持は難しそうだと
授業を受けながら思った。
受験で出たあの問題は何だったんだろうと思うくらい
付いて行くのがやっとだった。
庶民と貴族で学びの差がある事は
なんとなく察していた。
それでも、かなり勉強は得意な方だったし
何とかなると思って居たのに
其れが勘違いだと思い知らされた。
ゲーム時のテスト問題は
所謂“このキャラクターの名前は何でしょう”
とか、ゲームをプレイする人なら解って当然の問題を答えるだけだった。
流石に今そんな事はあり得ない。
突然中学の時は習わなかった公式が出てきて
其れを使って答えなさい。
と言う様な問題が出てきた。
その問題で当てられる事は無かったけれど
これから先、そんな問題が出てきたら
答えられない。
其れを無くす為に、一心不乱に頑張らないといけないんだ。
そう思って
図書館の扉を開けたら
誰かの笑い声、話し声がして
本を乱雑に扱っている姿が見えた。
お菓子を食べながら雑談をしている様子が見えた。
朝とはまるっきり何もかもが違う。
(気付かなかっただけかもしれないが)
使用するテキストを探し、
賑やかな人達の声や姿が届かない席に座り
テキストを開き記憶する。
庶民の学校と授業に差があるのに
あの受験問題は庶民でも、解ける様に出来て居たのか
とても謎だ。
…私だけ“主人公補正”が使われた?
そうだったとしても、かなり難しい問題を突然出されている時点で
そんな物、意味が無い。
だけど、此処で諦めるのは嫌だ。
絶対負けない(何に)
絶対この学校を主席キープしたまま卒業して
結構いい会社に就職して
私の天使に楽をさせるんだ。
(目標)
黙々と勉強をしていると
近くで誰かの会話が聞こえてくる。
普段なら人の声何て気にならないのに、聞き覚えのある
甘ったるい猫なで声で背筋がぞわりとした。
私に話し掛けている訳では無いし
きっと、私には気付いていない…と思う。
図書館は飽くまでも、本を読んだり借りたりする場所。
そんな所でこんなに…とも思ったが
先程、普通に騒いでいる人達を見たから
きっと私の中の常識何て此処では通用しないのだろうと、そう思う。
集中力が途切れてしまい、
勉強を進める気が削がれてしまった。
…集中力だけが取り柄だったのに
その取り柄が無くなってしまった今、ただテキストを読み込むしか出来ない。
読んでいるだけで内容は全く理解出来ていない。
気分転換に、近くの本棚に移動して、なんとなく気になった物を手にしてみる。
明らかに幼児向けの絵本だが、此処にあっても、何ら不思議ではない。
学校が休みの日は一般開放をしている。
其れこそ、貴族庶民関係なく。
だから、あってもおかしくは無い。
けれど、こういう書籍は大体、入り口近くにある物はず
だと思うけれど、私の中の常識何て当てはまらないのだと
認識を変更した今、考えない事にした。
如何にも高級そうな装飾がしている絵本の内容は
よく有りがちな
苦労をしている、見目麗しい乙女が下剋上する話だった。
毒林檎を口に押し付けられたり、
継母やその連れ子である姉達に家事を押し付けられたり…
まぁ、そういった類の話だった。
とは言え王子さまは出てこないし
主人公はお姫様ではない。
出てくるのは、何と言うか
獣である。
呪いをかけられた、王子様とかではなく
生まれた時から獣だった者だ。
恋に落ちるでもなく
ただ、主人公の下剋上に手を貸すだけの…
…いや、有りがちな話では無かった。
挿絵は、どう見ても子供向けなのに
内容が生易しいものでは無かった。
獣が本当に容赦なく
主人公に嫌がらせをしていた人達を
なぎ倒す勢いで…成敗していく。
子供向けエリアにあったら、クレーマーの餌食になりそうな
そんな話だった。
だから、こんな奥まった
誰も見ないであろう場所に隠されて居たんだろうか。
(隠すくらいなら置かなければ良いとかそんな事は言ってはいけない)
ハッと壁に掛けてある時計を見ると
急いで図書館を出ないと、授業が始まってしまいそうな時刻だった。
急いでテキストを片付け、絵本も元の場所に戻す。
まだ周りに人の気配はあったけれど
そんなこと気にしていられない。
迅速に戻らなければ。
慌てて図書館から出ていく姿を
姫花が見えないように、悠が立って居た事を
璃々那は知らない。




