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第3話 真夏のカレー


 というと、有名な夏の歌を思いだす。カレーのなかにトマトやナス、ある意味では真夏の果実が混ざっているから。


 父さんは夏になるとよくカレーをつくる。


 数年前におばあちゃんが体調をくずしてから、手厚い介護、というほどではないけど、ときどき母さんが様子をみにいくようになった。あたしと父さんだけになった最初の日、父さんが作ってくれたのが夏野菜のカレーだった。正直、あたしはカレーに入っている夏野菜が苦手。酢豚に入っているパイナップル並みに嬉しくない。


 でも、最初の日、せっかく作ってくれたのだからと軽くほめたのが失敗だった。


 気をよくした父さんは、事あるごとに夏野菜のカレーを作り、そのたびに、あたしは嬉しくないカレーを嬉しそうに食べる。


 あーあ、また夏野菜のカレーか。


 はやあしで駆けていく夏の足音が電柱からこぼれ落ち、わが町最後の映画館が感謝イベントを始める。あたしの夏休みの予定表は、ほぼ映画館で埋められていた。


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