第15話 気持ち悪い
そのあと、まだ開いている喫茶店を探して、ふたりで話をした。いまさらだけど、映画館へきていたのは、たしかに杉村くんだった。
転校初日、あたしのこともすぐにわかったらしい。ただ、映画好きなのは隠していたとか。中学生のころ、好きな映画を友だちに紹介して、気持ち悪いといわれたことがトラウマになって、それ以後、だれにも言わずに一人で楽しんできたという。
特に流行りの映画ではない二十日鼠やジョゼや、ちょっと重いものが好きだということはひた隠しにしてきた。そう話す杉村くんは、ちょっと悲しそうで、ちょっと嬉しそうだった。でもさ、と続けて、
「でもさ、いま思うと、そいつはただ正直なだけだったんだよな。言い方はともかく」
と言って笑ってみせたその笑みは、やさしくあたたかいものだった。
「ひとの言葉って重いじゃん。自分と同じように思ってほしいってなっちゃうけど、そうじゃないもんな」
でも、あたしは、同じように思ってほしい。できることなら。そう伝えると、やっぱり優しくほほえみながら、
「そりゃそうだ。共感してもらえるほど嬉しいことはないもの」
と言葉を切って、あたしの目をみながら、映画について話せる子と出会えてよかった、と照れたように告げた。それはまさにこちらの方こそで。もちろん、あたしも嬉しい。




