第13話 あたしの味方は……
その後は、さすがに時間帯を変えたのか、杉村くんと出会うことはなかった。そしてそれはそれで愉快なことでもなく、七面倒くさい自分の心に腹を立てながらみる映画は、あたしの手をはなれ、いつもの面白さを与えてくれなかった。
そのせいだろうか。映画館の閉館日がすこし延長されることになり、閉館イベントも延長されるときいても嬉しくなかった。
学校ではどうかというと、杉村くんと話をする機会はなく、野球部の連中にかこまれている彼の横顔を眺めては、あのときと同じなのにと意味のないことを思った。
一方、シズの方は、持ち前の明るさと気安さで、日焼けしたやつらの集団に乗りこみ、楽しそうに話している。
映画の上映時間をチェックしながら、シズと杉村くんの笑顔を妬ましく思うあたしは何者か。
お天道様のしたで楽しく生きられないから、ひんやりとした映画館に助けを求めるのかもしれなかった。それも、もうすぐ無くなってしまうけれど。
そんなあたしに相応しく、うす曇りの空の下、どんより気分で家へ帰ると、出てきたのは、また夏野菜のカレー。あたしが喜ぶと思って一生懸命につくってくれた父さんのために、頑張って笑顔で食べよう。
あたしの生活から映画館がきえるころには、きっと残暑とともにカレーもきえる。あたしの味方は、いつでも時間だから。




