表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/24

第11話 二重写しの


 週末になって、ひさびさに映画館へいった。


 併設するショッピングセンター、いや、本当は映画館の方が併設なんだろうけど。とにかくそのショッピングセンターでは、一部店舗をのぞいて撤退が始まっていた。

 想像の二重写しに、廃墟と化した建物がみえている。ふりかえれば映画館も同じ。はがされたポスターの白いあと、上映予定のとぎれた掲示板、ひっそりと暗い窓のむこうへ。そして破れたひさしの下に立つ背の高い少年……。


 そこまで思って、あたしは身を固くした。


 いりぐち近くに立っているのは、たしかに杉村くんだった。もちろん、また映画館で出くわすかもしれないと思ってはいた。けれど、例の出来事のあと、彼から話しかけられることもなく、もしかしたら、彼には双子の兄弟がいて、その人だったのではないかと妄想するまでになっていたし、なにより、本当に彼が杉村くんなのだとしたら、あたしと会う時間帯はさけるだろう。いや、さけるべきじゃないか、そう思っていた。


 それなのに、夏空をながめて目を細めている彼は、たしかに彼だった。


 彼が、道路向いにいるあたしに気づいた。


 帰ろうか。あたまに浮かんだ思いを、プライドか不満か怒りか、なにかはわからないけれど不快な思いが掻きけし、あたしは、傲然と映画館の入口へむかった。


 彼に声をかけることも、目をやることも、頭をさげることもなく通り過ぎる。


 おもったよりもゆっくりと自動ドアがひらき、冷たい人工的な空気が夏とぶつかりあう。そのただなかで、ぐっと片手をつかまれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ