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悪の組織のNO2  作者: 大沢 雅紀
7/21

恐喝と強奪

「て……てめえ!俺様にこんなことして、後でどうなるか……ぎゃぁぁぁ!」

天馬が暴走族のボスの尻を蹴り上げると、凄まじい痛みが伝わってきて悲鳴を上げる。

何度もそれを繰り返すと、ボスは大人しくなった。

「それで、お前たちの活動資金はどこに置いてあるんだ」

「そ、そんなのはない。俺たちはただの暴走族だ。ヤクザじゃない」

必死に否定するボス。

「とぼけんな。最近じゃお前たち半グレのほうが金を稼いでいるっていうぞ。素直に吐かないと、永遠に続く苦痛を与えるぞ」

そう脅されて、ついに観念した

「お、太田組の事務室だ……」

「なるほどな。最近じゃヤクザに対する警察の締め付けがきついから、お前たち傘下の半グレを使って資金調達しているのか」

天馬はそうつぶやくと、ニヤリと笑って命令した。

「それじゃあ、今から行こうか」

「ひぃぃ!」

再び尻を蹴り上げられ、悲鳴をあげるボスだった。


太田組は、この町に本拠地を置く大規模の暴力団組織である。

昔ながらの日本家屋の前には、屈強な門番が立って睨みを聞かせていた。

そこに、ボスを連れた天馬がやってくる。

「坊ちゃん。おかえりなさい。そいつはダチですかい?」

「ち、ちがう。お前たち、こいつを……」

何か言おうとしたボスの口を、神経コントロールで封じ込める。

「そうなんです。彼とは親友なんです」

「へえ。坊ちゃんのダチにしちゃ、ひょろいというか……失礼。どうぞ」

そういって門を開けて招き入れようとする。

「失礼するよ」

天馬はそういって、すれ違いざまに門番たちの身体に手を触れた。

「ぐぁぁぁぁ!」

いきなり激痛が走って、門番たちが悶絶する。

「君たちも来てくれ。屋敷を制圧するのに人手が必要だからな」

「な、なにをいって……ぐっ」

反抗しようにも、門番たちは体が自由に動かせない。完全に天馬に体のコントロールを奪われていた。

「それじゃ、中に入るとしますか」

天馬はまるで自分の家でもあるかのように、堂々と屋敷に入ってった。


「ぐわぁぁぁ!」

「痛い!」

「か、体の自由が利かない」

天馬の後には、そんなことを喚きながらついてきている屈強な男たちがいる。

天馬は屋敷で出会った全て男たちに『電脳拳』を食らわして、支配下に置いていた。

そして、組長がいる応接間にやってくる。

「な、なんだてめえら!何をやっている!」

部屋の中には、和服をきた太った男が、偉そうにソファに座っていた。大勢の男を引き連れて入ってきた天馬に、不審な目を向ける。

「えっと……あんたが組長さん?今日からこの組を俺の傘下に組み入れるから、よろしく」

あまりにも軽い口調で言い放つ天馬に、組長の周りのボディガードたちが一斉に拳銃を向けて来た。

「てめえ、舐めてるとぶっ殺すぞ!」

自分に向けられた拳銃を見て、天馬は苦笑する。

「まあ、いくら反射神経があがったからって、銃弾はよけられないよな、仕方ない」

天馬が手を振ると、男たちがその周囲を取り囲み、護衛たちの拳銃の前に立った。

「てめえら!邪魔だ!どけ!撃つぞ」

「ち、違うんです。さっきから体の自由が利かなくて……お願いです!撃たないでください」

涙を流して懇願する組員たちに、さすがの護衛達も躊躇する。

「ぐはっ!」

その隙に天馬は護衛に近づき、『電脳拳』を打ち込んでいく。大勢いた組員は全員天馬の支配下に置かれ、組長一人が残された。

「て、てめえ……どこの組のもんだ」

組長は恐怖に震えながらも、気丈に言い返す。

「俺は悪の組織『絆人類(オンライン)』の最高幹部、『闇公爵(ダークデューク)』だ。悪人たちよ。俺に従い、命を懸けて尽くせ」

恰好良くマントを翻して名乗る天馬。

「ふ、ふざけんじゃ……」

「はいはい。もういいから。『電脳拳』」

天馬の光る拳が撃ち込まれ、組長はなすすべもなく床に倒れ込むのだった。


「えっと……これが金庫か。それじゃカンパしてもらおうかな」

天馬はウキウキしながら、部屋の隅に置かれている金庫に近づく。

「そ、その金庫は開けられねえぞ。番号は俺しかしらねえんだ」

床に倒れたままの組長は、そういって反抗する。

「なら、番号を教えてもらうしかないな」

「けっ。舐めんな。この太田嵐は組を継いで20年極道の世界を渡ってきたんだ。拷問なんかにゃ屈屈しねえぞ」

そう居直る組長の頭に、天馬はそっと手を触れる。すると、組長の脳内に激痛が走った。

「ぎゃあああ!痛い!」

「なるほど。金庫の番号は1524694か。教えてくれてありがとさん」

脳内電流を通じてて記憶を探り、あっさり番号を知ることができた天馬は、簡単に金庫を開けた。

「……預金口座に三億円か。あと覚せい剤の現物に、金塊に有価証券に土地の権利書に現金三千万か……結構溜め込んでいるじゃないか」

ウキウキしながら、金目のものを取り出す天馬に、組長たちは絶望した。

「か、勘弁してくれ。その金の中には上位組織に上納する分もあるんだ。全部取られてしまったら、組がつぶされてしまう」

「心配するな。これからお前たちの上位組織は俺たち『オンライン』だ」

天馬はそういうと、ゲットした金目の物を検分する。。

「うーん。最近はセキュリティ認証が厳しくて、簡単に口座から金を下ろせなくなっているから、通帳に意味はないな。金塊や覚せい剤、不動産の権利書なんてもらっても、俺は未成年だから簡単には金に換えられない。仕方ない。返してやるか」

そう言って現金だけカバンにいれて、金庫に戻す。少しホッとする組長たちに、天馬は冷酷に告げた。

「その代わり、明日中にこの口座に一億円ほど振り込んでおけよ」

『弥勒財団法人 異種生物研究所』という名義のネット口座の番号が書かれた紙を通帳に挟み、金庫に戻す。

そうすると、天馬は現金が入ったカバンを持って、部屋から出ていこうとした。

「ま、待て……こんなことをしてただで済むと思ってるのか……絶対に探し出して、殺してやるからな」

後ろから組長の恨みがこもった声が聞こえてくるが、天馬は一顧だにしない。

「そんな虚勢がいつまでもつかな。お前たちの身体に打ち込んだ『電脳拳』の効果は一晩中続く。その間ずっと痛みが続くんだ。もし、明日金が振り込まれなかったら……」

天馬はそこで言葉を切って、悪魔のような笑みを浮かべる。

「次は永久に続く苦痛を与えてやる。お前たちの足りない頭でよく考えるんだな」

そういうと、天馬は部屋を出ていく。後ろからは、組長たちの苦痛にあふれたうめき声が聞こえた。


次の日、学校に行くと、興奮した日向に話し掛けられた。

「ねえ、天馬君。『闇の公爵(ダークデューク)』って知ってる?」

いきなりキラキラした目で聞かれて、天馬は困惑する。

「なんだそれ?」

「昨日、私たちカラオケ帰りに暴走族に絡まれたんだけど、その人に助けられたの!すっごく強かったんだよ!」

日向は嬉しそうに、黒尽くめの怪人が暴走族たちをなぎ倒す様子を話す。

「……いや、その恰好やばくね?なんていうか、悪の組織の雑魚みたいでさ」

「何言ってるのよ。かっこいいよ!」

日向はプンスカと怒りながらそう弁解した。

「それにさ、『闇の公爵(ダークデューク』って名前が中二病ぽくないか?」

自分で言っておきながらちょっと悲しくなる。その時、日向の友人の月影百合子が割り込んできた。

「なによ。あんたなんかに言われたくないわよ!」

「オタクのくせに、何自分のこと棚に上げているのよ」

次々に罵声を浴びせ、日向と引き離そうとする。

「はいはい。俺はそんな奴しらないな。まあ他を当たってくれよ」

「そっかぁ。誰か知らない人いないかな」

日向は頷くと、別の生徒に聞き込みにいった。

残された百合子たちは、天馬を睨みつける。

「あんた、いい加減にしなさいよ。何度も言うけど日向に近づかないで。彼女は特別な存在なの。調子に乗ってると、今に痛い目みるわよ」

そう捨て台詞を残し、去って行く。

「……なんか、変なことになったな」

天馬はそう思って、肩をすくめるのだった。


「何よあいつ!ちょっと日向と親しいからって、調子に乗って。オタクのくせに」

百合子をはじめとする日向の取り巻きの少女たちは、天馬の悪口を言い合って鬱憤を晴らしていた。

「こうなったら、大賀君にもっと締めてもらおうよ」

そう思った百合子は、大賀の所に話をしにいく。

「いいぜ。なら今日のお仕置きは、もっとキツイものにするか」

大賀は機嫌よくそういうが、隣にいた葛城あづさに止められた。

「待ってよ。最近おかしいよ。うちたちは毎日奴を締めているはずなのに、ピンピンしているし。あいつバカだから、いくら殴っても応えないんだよ」

その言葉に、他の不良たちも頷く。

「それに、最近記憶が飛んでいるんだよね。奴を締めようとしたところまでは覚えているんだけど、気が付いたら校舎裏に倒れていたり」

「あ、俺も」

そう言われて、最近自分たちの身の上に起こっている不条理に気づく。

「それで?」

「だからさぁ。今日はもっと精神的に痛めつけるようなやり方をしようと思うんだ。ちょうど、うちたちのおもちゃもいるしね」

そういうと、あづさは残酷な笑みを浮かべて天馬に対する嫌がらせの計画を話す。

それを聞いた大賀や不良、百合子たちもニヤリと笑った。

「それはいいな」

「あいつをその気にさせて、笑ってやろうぜ」

こうして天馬に対する新たないじめが行われるのだった。


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