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異世界転生したのに早速リョナラーバレしました

この作品の元ネタであり、題名を使う許可を頂いた猫頭巾さんと、数多のリョナラーに感謝を

序章


どうしてこうなったと何度悔やんだだろう…せっかくやり直せるチャンスだったのに、やはり俺は、俺の居場所は、何処にも無いのだろうか。



「おーい、何ぼーっとしてるのだね。ええと、斉藤宗谷サイトウ ソウヤ君」

名前を呼ばれてそちらの方を見ると、老人がいた。

「え?何ここ?」

周りには青空が広がり、下はどうやら白い綿のような物に座っているらしい。何故か目の前にはちゃぶ台とその上にはお茶が置いてある。既視感があるような気もするがはっきり言って状況が飲み込めない。

「困惑しているようだね。まあ取り敢えず落ち着きなさい。」

「は、はぁ…一先ず、ここは何処で、貴方は誰なんです?」

「まあもったいぶるのも何だし、早めに説明しよう。此処は世界管理区域第25区表層境界、早い話が死後の世界だね。そして私はその管理者だ。君らの呼ぶ神だと思ってくれ。君は死んでしまったから此処にいるわけだ」

「………は?俺死んだ感じです?あっ…既視感の正体はこれか!ああああ、やめろやめろやめろぉ!この展開お決まりだから!どうせ死因は交通事故かなんかでしょ!そして適当に想像した感じのザ・神って感じの神!もうヌコヌコ動画だと赤字で『親の顔より見た光景』とか『 い つ も の 』とか書かれちゃう奴だから!なろう系(笑)主人公にはなりたくなぁい、なりたくなぁい!変なホモとか止まらない奴と一緒に切り抜かれてBB素材にされるなんてそんなの嫌ぁ!」

「お、落ち着きたまえよ君。ほら、茶でも飲んで。一応言っておくが私の姿も辺りの景色も君の意識の投影だよ。私が実際にこの姿であるわけでは無い。まあそれはどうでもいいのだが。それに君は交通事故で死んだ訳では無いぞ。」

「あれ?交通事故じゃないんです?」

てっきりテンプレ交通事故死だと思っていたが意外な言葉に幾分か落ち着きを取り戻した。そういえばそんな記憶もない。大概この手の主人公はうっすらとだが直前の記憶があるはずなのだが…それはともかくこのお茶美味いな。

「ああ、君は寝ている間に重度の熱中症になりそのまま意識が戻る事無く死んだのだ」

「うっわ、想像の数倍ダサい…確かに直前に外に出た記憶は無いし寝た記憶しか無いけども。小さい時に生きてれば良いことあるって言われてたけど俺の17年の人生はドン底で終了かぁ…」

俺はアニメや漫画、ラノベなどのオタク趣味はあったが高校までは普通に人と話せたし友達もいた。学生生活は陽キャでは無かったがそこそこ上手くやっていたと思う。

しかし高校に入って少し経ったある日、ロックを掛け忘れたスマホを置いたまま席を立ったところクラスメイトにスマホの中を覗かれ、そこに保存してあった画像を見られて俺の人生は変わってしまった。

オタクであれば誰もが変な性癖の一つは持つと思う。メジャーなところであればロリコン、眼鏡フェチ、貧乳好き等々、更にニッチなものなら数限りなくある。俺の場合は数ある性癖の中でも一際ニッチで変態的だった。俺は『リョナラー』だったのだ。

『リョナ』とは『猟奇オナニー』、『リョナニー』の略称で匿名掲示板での書き込みがその語源であるとされる。主にグロ画像や胸糞シチュエーションで性的興奮を覚える人々の事だ。その特殊性、反倫理的描写の多さから嫌悪されることもままある性癖である。そんな画像やSSが俺のスマホには大量に保存されていたのだ。

耐性の無い一般人がそんな物を見たらどう思うだろうか。俺が教室に戻るとクラスメイトの俺を見る目が変わっていた。嫌悪感を露わにされ、口をきいてくれる友人も少なくなり、次第に陰湿な嫌がらせへと発展していった。そして俺は高校1年の初冬には不登校になっていた。

そのまままともに授業に出られず2年の夏になり俺は室内での熱中症で死んでしまったらしい。ダサ過ぎる…

「それで、俺はどうなるんです?死んだんですよね?テンプレ通りなら異世界転生ですけど、それとも普通に天国か地獄に送られる感じです?」

「ああうん、その口ぶりなら話が早くて助かるな。普通死んだ魂は前の世界の記憶を消去して別世界に送られるのだが、君は特例として無作為に選ばれた魂の一つとして記憶を引き継いだまま別の世界に…所謂異世界転生してもらう。具体的には君は25区38群C-2673世界で死んでしまった。だが君は25区67群U-6201世界に記憶を持ったまま転生してもらう事になる」

なんかよく分からん区分やら手続きやらがされているようだが一応は異世界転生、やはりテンプレ通りらしい。

「ええと、その世界の区分けとか手続きみたいなのはよく分かんないですけど取り敢えずもう一度やり直せる訳ですね」

「ああ、そうだとも。一応、転生先の世界は剣と魔法がメインの世界だよ。他に何か聞きたいことはあるかね?」

「うーん、そうですねぇ…きちんと言語が通じるのかな?ってのが一番心配ですね。それと転生者ってことなら能力とか武器とかって貰えたりします?」

俺が異世界転生モノでいつも気になっているのが言語である。最近だと言語を学ぶところから始まる物もあるらしいが、大抵の物は言語についてはノータッチだ。学校でも英語が苦手だった俺が全く言語の通じない世界に放り出されたらどうにもならない。

「言語に関しては大丈夫だとも。転生先の世界の言語は君の認識として最も近い言語として反映される君が話す時もね。ただあくまでも人型種族の公用語であればだがね。武器や能力に関しては君の特性に合ったものが転生時に自動的に付与されるようになっているよ。それがどういった武器や能力かは私にも分からんがね。身体能力も普通くらいにはなっとるだろう」

「成る程。ありがとうございます」

これで大きな心配は無くなった。剣と魔法のファンタジー世界でチート武器とかチート能力で冒険して気ままに暮らそう!リョナラーが排斥されるクソみたいな世界とはおさらばだ!

「さて、そろそろ時間だ。忠告しておくが、今度死ねば君は記憶を消されてまた他の世界で使われること事になる。真の意味での死だ。くれぐれも気をつけたまえよ」

「分かりました!死なないよう気をつけて頑張ります!」



そこからの俺は正にテンプレ通りだった。降り立った場所のすぐ近くの街のギルドの受付で冒険者としての登録を済ませ、すぐにパーティーに加わった。メンバーにも恵まれていて気さくな男達に加えてそこそこ可愛い盗賊ジョブの女性もいた。クエストをこなし、貰った報酬で寝泊まりする。滑り出しは順調だった。だが転生して5日目に事件は起きた。

その日もクエスト後にギルド内の酒場で仲間と飲み食い(この世界では15歳以上であれば飲酒が許可されているらしい)し、馬鹿話をしていた。

「俺はいつかあの武具屋の娘のおっぱいが揉みてえんだよなぁ…あの重量感、たまらねえだろ」

「馬鹿お前、そんな事したらあの鍛治親父にぶっとばされるぞ」

「ちげえねぇ。ハハハハハ!」

「もう、男ってそんな話ばっかり」

「まあまあ、キャシーちゃんも機嫌悪くしないで。ところでソウヤ、お前は女の好きなとことかあんのか?」

この時俺は気分良く酔っていた。だから笑いながら素直に答えてしまった。

「女の子の泣いてる姿とか可愛いな。あとは傷ついてる姿とか、絶望してるのも良いな。片腕無くしてたりすると尚最高」

再度言うがこの時俺は酔っていた。更に異世界転生という非日常に気分が高揚していたのもあったのだろう。前まで絶対に言わなかった事を口にしていた。それが失敗だった。

それまで楽しげに談笑していたのが嘘のように急に空気が変わった。

「ソウヤお前、もしかして…邪教徒か」

パーティーのリーダーの男が睨みながら問うてきた。

邪教徒という聞き慣れない単語に困惑する。

「いや、邪教徒が何かは分からないけど女の子の泣き顔とか可愛くないの?ほら、怯えた表情とかさ」

更に空気が重くなった。気がつけば酒場にいた全員が俺に注目している。『今邪教徒がどうとか』『まさか、あいつが?』『いや、誰もあいつの事を知らなかったのだろう?怪しいもんだね』ヒソヒソと話しているのが聴こえてくる。

一体何なのだと俺が不安に思っているとギルドの受付嬢が俺の前まで歩いてきた。

「ソウヤさん、貴方は邪教徒なのですか?」

「いや邪教徒ってのがそもそも分からないんだけどそれって何なんだ?」

重苦しい雰囲気にすっかり酔いも冷めた。どうやら俺が何かマズイ事を言ってしまい、それを邪教徒と呼んでいるようだ。さて、なんとかしてゴマかさなければ。

「分からない、と。しかし貴方が女性が痛めつけられる様に性的興奮を覚えると発言したのは明らかです」

「それは言葉のあやというかですね、俺はただ…」

「問答無用です。排除条例第五条に基づき、貴方を邪教徒と認定、拘束します。因みに逃亡を図れば…」

危機を感じた俺は彼女が言い終わる前に駆け出していた。一目散に酒場から出ると、そのまま街の外壁へ通じる道を駆ける。

「邪教徒が逃亡しました!排除条例第三条第二項に基づき排除レベルが三段階上昇、冒険者の皆さんに協力を要請します!生死は問いません、邪教徒を拘束してください!捕まえた方には相応の謝礼が支払われます!」

「よっしゃぁ!とっ捕まえてやるぜ!」

「久々の邪教徒狩りだ!お前ら、行くぞ!」

「狩人狩り…狩人狩り…」

「謝礼金は俺達が貰うぞ!他の連中に遅れるな!」

酒場の方から恐ろしい会話が聞こえてくる。というか一人ヤーナム出身者がいた気がする。

理由はよく分からないがどうやら俺は邪教徒として捕まえられようとしているらしい。冗談じゃ無い。

ひたすら街の壁に向かって走ってはいるが取り敢えず外に出なければならない。地形を覚えるのは昔から得意だったので5日間で見た限りの街の地図を頭に描く。

まず街の正門は既に閉じられているだろう。その他の門にも訓練された守衛もいる為脱出はできそうに無い。

次に壁の修理の為の通路を考えたが一度しか登った事が無い上、俺が覚えている通路は街の反対側にある。それまで逃げてはいられないだろう。

そういえば街の真ん中を川が走っていた。水中なら見つかりにくいし、流れに乗って潜れば壁をくぐって街からの脱出は可能だ!

脱出ルートが決まった。後ろから迫る大勢の気配に追いつかれ無いように懸命に走る。

「クソがぁ!どうしてこうなった!こっちでもリョナラーに人権は無えのか!まだ異世界に来て5日目だぞ、1週間も経ってねえよ!ちょっと性癖の話しただけで捕まってたまるかぁ!」

吠えながら俺は川へと飛び込んだ。

なろうには初投稿となります。幹之みゆきと申します。一先ず稚拙な文を読んで頂き有難うございました。

この小説の題名はリョナ絵師の猫頭巾さんのツイートから頂きました。本当に感謝しております。

元々異世界転生した主人公が逃亡する物語を書きたいと思っており、当初は主人公にくっついてきた現世のウイルスや細菌やらが異世界にて感染を引き起こして主人公が天災として、兵器として追われる身となる物語を考えていました。しかし、上手く話が思いつかなかったところに猫頭巾さんのツイートを見て閃きました。

リョナ描写や様々なネタ等入れていきますので苦手な方はすみません。

感想等励みになりますので頂ければありがたい限りです。誤字を発見した場合も教えて頂けるとありがたいです。

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