その二十 太陽と不実な月の伝説
マヤの神話と伝説
太陽と不実な月の伝説
マヤの人たちはひどくきまぐれで時々種まきが済んだ畠を焼いてしまうと云われていたキニチ・アハウという太陽神を持っておりました。
その神は内側に向いたねじれた瞳とT字形に並んだ歯並び、ナマズのような前唇、そして四角の目を持つということで特徴付けられていました。
額にはキンの印をいただき、夜に地上に降りて修正を加えるということを人々に警告するのでありました。
伝説は月の女神はイシュチェルで太陽神の妻であったと語っています。
でも、彼女は彼に対して不実の妻であり、或る日、ハゲワシ神と駆け落ちしました。
彼らの居るところを知ろうと、太陽神は鹿の皮を被って変装し、死んでいるかのように地に伏しておりました。
そして前もって、ご馳走にありつけるところが何処か知らせるために、一匹の蚊をハゲワシたちの国に遣わしておりました。
最初のハゲワシが現われた時、その腐肉を食べる鳥は太陽神をガツガツと食べようとしました。
しかし、太陽神はこのハゲワシの首を捕まえ、彼の王の城まで案内するよう強いました。
そのようにして、自分の妻を見つけ出し、ハゲワシの王を光でずたずたにしてから、両手で彼女をおさえつけて天の国に連れて帰りました。
マヤの人々は今でもこの伝説を信じています。
そして、収穫物が強い太陽によって焼けてしまった時は、この出来事を不実な月の女神のせいにします。
つまり、月の女神が新しい求婚者と一緒に駆け落ちし、太陽神の怒りを呼び起こしてしまったのだと強く信じるのです。
- 完 -