表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/130

もよお……シテマス

ピッパラの木の上で、二羽の鳥が体を寄せ合い、互いにさえずり合っていた。


『《白き鳥》よ。いかがなされましたか?』


『《黒き鳥》よ。どうも私は、”くそ”をもよおしたらしい……』


『白き鳥よ。それは新しき命の源。とてもよきことでございます』


『黒き鳥よ。糞をひねり出すのに、もっともよい日はいつだろうか?』


『白き鳥よ。今この瞬間にも、どこかで糞がひねり出されております。


よい日にひねり出すのではなく


”ひねり出した時が最良の日”なのです。


糞にとっても、ひねり出した貴方、そして、”落ちた地面”にとっても……』





 ―― ※ ――


 白いドレスと黒いスーツをまとった二人の美しき女性が、”ある場所”の回りで、まるで蜜を探す蝶のように舞っていた。


「見て、《イザヨイ》! 今年の”肥え”もすばらしい出来ですわ」


「どれどれ……。ん~! どうだい、この熟成された豊潤な香りを! 《オトメ》も”嗅いで”みろよ。やはり”フラン様”の”肥だめ”は帝国一、いや天下一だな!」


 ―― ※ ――


 街の広場の端っこで寝ている中年の男に向かって、彼の倍以上の筋肉を蓄えた巨漢の男が怒鳴るように声を掛ける。


「おい! 起きろ! この”ろくでなし”! もう昼だぞ!」


「……んぁ、せっかく寝ていたのにぃ……。なんだ《ハイイログマ》か。おめぇ、いつから夜行性を卒業したんだ?」


「その卒業だよ。明日、《冒険者学園》の卒業式だからな。お前のねぐらの場所、俺たちの団の卒業生勧誘場所として使わせて貰うからよ」


「ほぉ~。この広場で最高の場所を射止めるたぁ、おめぇ、意外とクジ運いいんだな。カードではいつも俺に負けているくせによ……」


「本当は《白百合しらゆりの団》が引き当てたんだがな、

『”あの”ろくでなしのねぐらで勧誘だなんて、わたくし以下、無垢な団員全員が”受粉”してしまいます!』

ってほざきやがって。だったらと、俺たちの場所と交換したのよ。そ~ら、どいたどいた!」


「わぁ~ったよ、気持ち悪い物真似するなって。んじゃ、二、三日ぶらぶらしてくるわ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ