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光ある概念の終日  作者: 茶三朗
継がれることのない聖剣
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革命軍

モトキの手に剣と盾が現れる瞬間の間に、彼女は夜空へ飛び去った。夜空に並び小さくなっていく青と橙の光は星の一部に

彼方へ飛び、斜め上から高速で身体に回転を加えながら突撃してきた

寸前まで引き寄せ、己にある素早さを最大限に利用し、避け地への激突を狙う

目前まで迫り、高速で回転する彼女の顔を捉えた。目は見開き笑っている

盾や剣も間に挟み、防御など不可能な距離まで来ると発生する暴風と衝撃が更に強まり痛い

削られたりして細かい瓦礫や小石も飛び、身体や顔に当たる中で顔と顔が触れ合う寸前に右へ回避


「痛がれ!」


だが、激突はしなかった。回避しながらも確認するモトキの目線先には変わらず捉えた時に見た顔のままで右手を地に着け支えていた。逆さまで

勢いをつけて突っ込んできたが、支える手は埋まるどころか亀裂の1つすらない


「残念でしたーっと」


翼に並ぶ噴射口を向け放出、青と橙の光がモトキに襲いかかった

吹き飛ばされ、まだ被害の届いていなかった樹木林まで身体は飛ばされ木々を突き破っていく


「っ!!」


このまま追い討ちされるのは嫌なので次にぶつかる木を足で踏み、これ以上の進行を止めようとする

しかし、もう目の前には全身に青と橙の光を半々に纏ったニハが突撃してきていた


「このまま飛行船から見えた綺麗で大きな滝まで運んで風景壊しと共に沈ませてあげようかなー!?」


「また誰かに、美しいと思わせる為にさせるかーっ!!」


右拳に光の属性エネルギーを握り締めると放つ

彼女の額と拳がぶつかり、白と青、橙の三色の光がドーム状に広がっていき周りの木々を呑み込んでいく

モトキは半分ヤケで拳を放った。攻めではない受けとして

瞬時に左手に剣を出現させ剣先を彼女の首へ


「わー死ぬ」


わざとらしい棒読み、覆う鎧ごと首を貫くこうとするが剣先が触れた瞬間に剣が動かなくなってしまう

触れた剣先から、鎧が剣刃の半分以上を侵食してしまっている。引いたり押したりしてなんとか抜くか押し切るか試すよりも、すぐ剣から手を離す方がいい

放つ右拳を引き、ギリギリで地に足を着け突撃継続中の彼女の真下を滑り抜けていく

二色の光の一線は壊す、通過する等の様々な轟音を混じらせ遥か遠くへと過ぎていった

左手に光を集め剣を取り戻す


「戻るまで時間が無いけど、余計なことして調子を保つ。対抗手段は仕掛けてきてから」


右手の盾に剣刃を触れさせ一気に引いた。火花を散らせた次に剣のフェラー部で左肩をトントン叩く

音はしなくなった。彼女も戻ってこない。勢い余りすぎてヘマしたのかもうあのまま帰ったのか


「これで終わりならありが・・・んっ?」


突然の激痛がモトキを襲う。原因は確信ではないが彼女の衣服破片が刺さった胸当たりの傷口、一箇所から青と輝く光が漏れていた

傷口が右へ進む、まるで小さな虫が胸から右へ進み肉を食っていく様


「ゔぐっっ!!」


どうする?と考えるより先に口から嘔吐、血ですらなく闇にも妖しく光る青の液体

肩と腕まで到達したところで、今度は青色が衣服下からでもわかる光を放つと粒状の輝きと共に爆発を起こす

青い煙が辺りを包む、状況を遮断されてしまった。青い煙が森を包み、漂う上空でニハは宙で寝転びながら笑っていた

煙が時間で消えていく、そこには青とは違い赤に彩られた水溜りで少年が動かない遊泳をしていることだろう


「えーと・・・どこかな?」


ある程度、煙は消え上空から見渡しモトキを捜すが見当たらない

爆発が強すぎて彼が脆すぎたとしても、損傷が酷く原型を留めていなくても大きく残るもはあるはず

あるのは右腕と盾、それから飛び散る赤い液体。身体や残りは遠くへ飛んでしまったとも考えたが


「ん!?」


その考えすら忘れてしまうできごとが襲う。彼女の頸から尻にかけて一雫垂れていく冷たさ、次に全身より噴き出る熱さすらある汗

後ろにいる。右腕を失い、爆発による傷と身体半分が黒混じりの赤に染まったモトキが

やけくそでもない、力んですらいない落ち着いた顔をしていた

左手に握られた剣を叩きつける


「あるはずの死体がなくて、そんな・・・みたいな油断でやられるわけないじゃなーい!」


背の翼が剣を防ぐがそれでも押してくる。表情を変えもしないモトキにムッとするがどこか懐かしさを感じてしまう

すぐに思い出した


「一緒・・・まったく一緒だねー。ボスを始めて前にした時と。ポーカーフェイス気取りの顔じゃなくて触れることのできない殺気に圧に熱、他にも言葉に表すことができないもの。もしかしたら1つだけを分けてなんとか表わそうとしているだけかも」


力が増していく、でもまだ足りない。爆発のダメージと流した血はやはり無視できるものではないようだ

口より血が漏れ垂れ落ちる姿は哀愁すらわずかに芽生えるが何度もあったこと

かわいそうとは微塵もない、無理してるんじゃないのかと馬鹿にするに近い哀れみ


「あの爆発は火薬爆発とは違うと、受けた自身がよくわかるでしょー?さっきので命を諦めておけば痛みの継続なんてせずにすんだのに。残すようにした私にも非があるかー・・・」


翼に微ながらもヒビ、別に驚きはしない。すぐにヒビを塞ぐこともできたが翼の鎧を自分から砕く

噴射していた光と同じ色の翼が姿を現すがそれを消してしまう。当て場所が無くなった剣は光を斬り空振ってしまい、彼女はモトキの右へまわると再び鎧の翼を形成し左翼で脇下を突き刺し貫く


「げほっっ!!」


貫通し左脇腹より翼の先端が、この状態のまま体に捻りを加え地へ投げつけた

叩きつけられはせず、右足底と左膝で着地


「このまま、ここ一帯ごと大穴となり沈めー!」


両翼よりそれぞれ、青と橙の波打つ糸状の光を放ち彼女の前で絡み合うと巨大な塊となる

モトキは、どうにかしないとなんて考えていない。視界に映るのは彼女だけ、呼吸が少し荒くなり徐々に襲う興奮状態

左手の剣で、光のバツ字を描くとニハに向け放たれた。同時に彼女の2色が光る塊が、モトキとここ一帯を消滅させる為に

衝突しあうが少しモトキの方が押され気味、バツ字は光塊に呑まれていく

ニハは余裕の表情だがモトキはその真逆、そんな彼の顔を見て舌で親指を舐めながら悪戯が楽しくてたまらない子供の顔へ

一気にはせず、ちょっとずつ光塊の規模を増していく。バツ字は霞み小さくなり消えてしまう寸前


「力・・・任せに」


口に溜まった血反吐を吐き捨て、剣に光の属性エネルギーを纏わせる。形を変えず、リーチや幅を増やすこともなくシンプルに包ませただけ

その剣を手に跳び上がり、バツ字の中部を剣で力任せに突き放つ

光と光が暴走しあう轟音、ニハは何事かと首を傾げる途中で光塊より白き光が貫いた


「おーっとっとっと!!」


翼の鎧を粉砕し、青と橙の光翼がモトキの光を受け止め上空へ流す。夜の空は一瞬だけ地を照らした

「はえー」と感心すら覚える声を出す彼女に映る光景はモトキへ

あの光塊から、自身の光の次に迫ってきていた。右腕を失い、汚い血化粧をした彼はもし根性と気合いだけで動いているとしたならばもういいんだと抱きしめて小突いたら終わるだろう

だが違う、だから優しくする必要なんてないのだ

青と橙の光翼が弾け消えると、彼女から全域に空間や風を色に染め衝撃波が発生し、せっかく剣を握り跳び迫っていたモトキは地へ逆戻り

また叩きつけられ、彼を中心に地は沈み1つの巨大なクレーターを完成させてしまう

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