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光ある概念の終日  作者: 茶三朗
破天を突くは闇
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革命の息吹 4

森が泣いている。川が泣いている。山が泣いている。そこに生き、棲む生物達は誰1匹として鳴き声すら出すこともできず

雑木林内を、巨大な生物の遺体を引き摺り運ぶ者がいた

山の緑も水も、動物も、その者に憎しみの気配を送るが、得体の知れない大きな力を持つ存在に、本能は逆らえず、何もすることができなかった

そういった自然に敵意を向けられていようがお構いなしに、男は山中にある川原へと到着


「ここの風景は変わっていないようだな」


死んでいた期間は長くも、記憶は最近なので鮮明にある。ここの川には過去、訪れたことがあった

山は、大自然は、都市開発が行われたり、畑にされない限りはそうそう変わらないものだが、災害なり、手が加えられたりで、変わっている場所もあり、やはり年月の経過を教えられる

耽っていると、対岸の向こうから大きく手を振り、大きく彼の名を呼び、走ってくる者が一名


「おーい!ハルカゼさーん!突然にいなったりして、遭難したと思ってましたよ!」


正直、このまま行方をくらませるのもよかった。だが、それではまだ完全な自由にはなれない

革命軍が、聖帝の者共が血なまこになってでも自分を捜索するだろう

今はまだ、革命軍に身を置いておこう


「うわー!なんですか!?その生物!?教育本によくある、たのしくまなぼうどうぶつずかんには載ってなさそうですね」


「載ってなさそうだな」


聖昏獣のベランディハムは、ずっと物語内に出てくる空想上の生物だと認識していたが、いざ巡り会うと所詮は命のある生き物に過ぎない

容赦なく命を奪ったが、捨て置くのはもったいない気がしたのでここまで運んできた

珍しい生き物には変わりない。死体でも利用する用途はあるだろう


「小僧、革命軍なる独立組織を起こしてるなら、裏ルートの一つや二つあるだろ?目利きできたり、買取りしてるやつに心当たりはないか?」


「えー?いやー、セーゼーは革命軍のお金事情はあまり・・・」


「そうか・・・やはり、貴様らのボスや、イガネヤとかいった幹部らに訊ねてみるべきか?得物も取り戻したことだ、一度本部へ戻る」


「へ?お戻りになられるのですか?でしたら、バジエルクさんとヒヒマさん、お二方に合流しなければ。忽然と消えたあなたを手分けして、必死こき捜すはめになりましたので」


「あれ?ちょっと怒ってる?」


そりゃそうだ。ハルカゼを見失ったり、逃せば、重い処罰を受けるだろう

勝手に姿を見失うとなれば、慌ててしまう

なんだか、罪悪感が出てきたので、これからは事前にいなくなる際は、報告の一声ぐらいは残しておいてやろう

生前、妻にそれで怒られたことがある。出かけるなら、発つ前に教えておけ、夕飯作ってしまったと


「怒ってません!まーったく怒ってませんよ、セーゼーは。さっさと山下りて、都の喫茶店に行きましょう。4時間後経ってもハルカゼさんが見つからなかったら、一度そこに集合するようになってますので」


「隠れんぼで鬼をほったらかしに、先に帰る気分だな」


膨れっ面にセーゼーは、「元はと言えばハルカゼさんのせいでしょ」と腹を小突いた

苦笑いするハルカゼだったが、ふと先程の生前に、報せもなしにふらっと出かけて、消えることに怒ってきた女房の存在を思い出す


(そういえば、あいつとは1ヶ月も過ごしてねえのか)


大恋愛とか、そんな夢物語で夫婦になったわけではない。それでも僅かな間はめおとだったのだから、己が人生絵巻に必ず記される存在

自分が死んだ後、まだ若かったのだから再婚なりしていようが、自分が犯した罪の連帯で死罪になってようが、どうでもいい

もし、生きていたとしても、偶然以外に会うつもりもないし、捜すつもりもない

当時は少しでも愛していたのか、大切には思っていたのか、振り返るまでもなく夫婦であったことがあるだけとしか考えていない


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