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光ある概念の終日  作者: 茶三朗
巻き込まれの護衛任務
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夜明けは過ぎて陽射し入る 3

「では、衆へと参じて式を開始そるとしようか。告げて欲しき代弁をする言葉は?」


館長はご自由にと首を振り何度も頭を下げる

まだ冷える気温だというのに上にもう一枚着ることはせず、シャツにネクタイと薄着で向かおうとする前に、コーヒーや茶を淹れる際に使用するお湯を一杯飲み、用意された部屋は使わず事務室にて待機していた

わざわざ職員が持ってきた椅子に座りもせず、展示物の写真を手に眺めるだけ


「うーん・・・」


タイガは失礼も忘れ、エトワリング家主をずっと観察していた。疑問に思ったのは、彼はこの博物館の完成を喜んでいるようには見えない

ここへ来て淹れてくれたコーヒーの湯気はとっくに失われている


「私達も」


「うむ、では改めてよろしく頼む」


先に館長が広場へと向かい足音が遠くなっていく中

、フリスティンは式典で立つことが長引くかもしれないので今のうちに屈伸運動を軽く3回

しかし館長の足音が消えてすぐ、再び耳に通るのは徐々に増すこちらに向かって来る走りの足音


「フリスティン様!刺客です!ジョーカーよりの刺客が!」


お嬢様を抱え、汗もかかず出来事を伝える

フェーナーは黙り込んではいるが、恐怖に怯えた顔ではない。今、自分に置かれている状況とは考えられない頼りがいのある顔つき


「籠に潜んでいたみたいです、それを内より壊して。大丈夫ですよお父様、モトキが塞がってくてますから」


「栓が抜けないことを、抜けた際に崩れたワインのコルクにならぬといいがな」


タイガがすぐにモトキのとこへ向かおうとする。「呼んでもいいのに」を心で愚痴りながらも、どうして籠の壊す音と、現行する戦闘音が届かないのか疑問が出てきた

遠いだけではない、この部屋によるものか


「待ってタイガ!私達の任はこの御二方でしょ。モトキのとこへ行くより1でも多く守につくべきよ!」


右親指を噛む。これはそんなことは初めからわかっていると口に言いたいのを抑える為。「わかった」とだけ答え広場ではなく馬車へ変更

事務室を出ると館長が顔を真っ青にし、嫌な汗を全身より滲ませながら戻ってきていた

壁に身を預け、力が抜けてしまう


「館長はどうする?」


「このまま落ちつくまで休ませてあげよう。輩の狙いは娘だ、ここより早急に去れば他者へ被害もないだろう」


タイガに問いたつもりだったがフリスティンが発した。それに賛成とソレンダに抱きあげられている娘も頷く

ミナールを先頭に、最後尾にはタイガを。速くも警戒をしながら進み、館内へ入る際使った裏口へ

裏口扉から馬車までの距離は一般人でも全力を出して走れば1秒を越えるか越えないか

しかし馬車が視界に映るまで来たのにミナールは走りをやめ、これ以上進ませないよう左腕をだし後方へサイン

彼女だけ数歩進み、何もないはずの前へ人さし指をゆっくりと動かす。

触れた瞬間、陽の光により反射し、線状に輝く何かがあった。ミナールの指に小さな切り傷が


「糸・・・?張り巡らされている。まるで、壁ね」


「糸?なら燃やす方法もある。ライターもマッチもないが」


フリスティンの言葉を無視し、独鈷杵を手に出現させると刃で切断

きっちり張られていた糸は弦を弾いたような音を奏でる

切る際に刃から光の属性エネルギーを送り、発光させ消滅させようとするが、それによりどれ程の規模で糸が張られていたのかを知ることになる

糸の壁は半円で囲む光の壁へと正体を現した


「せっかく張らせていただいたのに、つい先程のことですけど」


馬車をひく馬に座る外套を身に包んだ者がそこに、馬は乗られていることを気にしていないのか大人しい

発光し、降り落ちていく糸の壁越しに全てが消える前に外套を脱ぎ捨てた

黒基調のメイド服を着ており、頭のブリムも黒くヘアバンドは白


「お兄様でもなく、あなた方ということは、お兄様は静かに討たれたか誰かが相手となってくれているのか」


「あんたもジョーカーからの刺客!?」


右手に持つ独鈷杵の刃先を向け問うもまだ彼女は答えない

ピンクッションを左手首に装着し、数本縫い針と待ち針を刺してから口を開く


「どうしてジョーカー様からの刺客と決めつけるのですか?もうジョーカー様と出してしまいましたが。もしかしたら、他にエトワリング家の財を狙う者がいたかもしれませんのに」


「他にいたとしても、まずはジョーカーからと疑うわ」


馬から降り、乗せていただいたことに感謝しながら優しく体を撫でてあげた後、わざとらしくローファーで音をたてながら2歩進む


「前2件は事を起こさず、今回は起こすのだな。気まぐれか?お前の大将は」


「気まぐれ?ジョーカー様が?たしかに殺めるも救うも実行も、興味や面白がりと気まぐれなお方ですが。今回はスペード様からの興味も絡んでいますので」


「五星の御二方からとは、モトキの友人として鼻が高い。あ、邪を討ち払いし者だから誰だか顔を知らないはずだったな」


フェーナーは抱きあげられていることに疲れたのか、ソレンダの肩を叩き訴えてみるが変わったのは抱き上げ方と位置

ふくれっ面のお嬢様に、メイド服の彼女は温かい視線を送るが一瞬だけフェーナーの背筋に寒気


「あれが・・・エトワリング家の御令嬢をこちらにとすぐには無理そうですね」


「当たり前よ!」


「あまり実力行使は他を巻き込む危険性がありますので控えたいのですが、仕方ありません。では、この中に学園に現れた邪を討ち払いし者はいますか?」


手は誰も挙げず、当たり前かと思われたがフリスティンが手を挙げている

「そんなわけないでしょう」とソレンダからの冷静なツッコミに満足そうな主は違うとメイド服の彼女に一言、「でしょうね」と返されショック顔


「お兄様の相手をしている方がきっと、そのお方なのでしょう。お逃げになるのもご自由にですよ、足止め相手を殺めすぐに追うつもりですので」


「甘い余裕ね」


「自信がおありですので」


タイガは考える、自信とは?

簡単にまずはこの方とモトキが相手をしている方だけなのか、馬車で逃げた先に待ち伏せでも用意しているのか?

足止めする者を殺めてから、わざと促しているようで本当に後を追うつもりがあるのだろうか?


「タイガ、あんたも待ち伏せ等の可能性を考えてる?」


「まあな・・・」


「なら、足止めは私が請け負うわ。あんたは護衛について、人数が少ないから馬車は分けずに一台に四人・・・あんたは中じゃなくて屋根上ね」


メイド服の彼女は馬車までの道をあけてくれているというこちら側からすれば不思議な行動

邪魔をしないよう突っ立ってないで移動する行為は、やはり彼女自身は捨てなのかと疑い、考えてしまう


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