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光ある概念の終日  作者: 茶三朗
傭兵業務
186/217

地をいく傭兵団 25

噴き出す水の勢いが収まり始めたのは、タイガが治癒させる能力の影響で噴き出口となっている地面の裂け目が修復されたからである

本人は必要ないぐらいに怪我もしてないが、なんとなく発動させ、自分の届く範囲を綺麗にしておきたかっただけである


「船に待機させている兵士達はどうします?大将自らが出たせいで、気が気でなさそうですけど」


「この者と数で戦わせたとて無駄に兵を失うだけである。作戦や指揮としては愚行であるが、我々3名で相手した方がまだ可能性と、少なくとも阻むぐらいはできるであろう。こやつと戦っている間は革命軍の兵共も近づけまい。終わって我々が生きていれば、体力的に限界な状態であれば、特に我輩の首を狙って革命軍共は動くであろう。それまでの温存である」


握る伝説の打撃武器の1つ、竜の牙を地に突き刺さした。何かを始めそうなので、ゼナナとテハーはイグバッツの後方へ離れた


「お、始めるのか?ついにその両軸にでけー牙の付いた得体の知れない武器のお出ましとなるみたいだな。先では手にしていたくせに使ってくれなかったが、あんな血肉踊る拳と拳のぶつかり合いは好きだ」


「それは失礼。ただ貴殿と同じく、肉体も武器であるのだ。使ったのが肉体の方であっただけ。しかしこれより、持ち腐れで終わらせるつもりは・・・ないっっ!!!」


振り下ろした竜の牙は地面を砕き、それにより生じた強大な衝撃をタイガへ走らせる

彼は躱すつもりはなく、真正面より槍の突きで受け止めた


「そのまま動くでないぞ!!」


地面を砕き、舞い上がったその破片を竜の牙を振ることで起こされた風圧に乗せて嗾ける

もはや、1つ1つが砲弾を発射するよりもスピードと威力のある攻撃

その間、後方へ移動したゼナナとテハーへ向け叫んだ


「攻撃するなら我輩ごと貫くつもりでするがよい!!ゼナナ殿!!テハーよ!!」


それぐらい命を張らなければ、こいつには勝てない。長年の経験と直感からそう判断した

飛ばした地面の破片に続き、タイガとの距離を一気に詰め、竜の牙で素早くも重みのある一撃を叩き込もうと仕掛ける

しかし、タイガは刀を振り抜き、先程テハーへ撃ちそびれた威武道を放った

飛ばした地面の破片が全て返される。イグバッツは立ち止まり、叫びながら武器を薙ぎ払う動きで、空間に走る衝撃と共に破片を全て撃ち砕く


「わかった!」


「わかるな!!少しは躊躇えよ姉貴!!」


「あ!僕のことを昔みたいに姉と呼んでくれた!」


「うるせーよ!つい口が滑っただけだ!!忘れろ!!!今、胸糞悪い!!!!」


不機嫌そうな顔でテハーは逃げるように、イグバッツの助太刀に向かう。その彼の背を目で追い、複雑そうな笑みを浮かべてからゼナナは水滴を振り撒き、高く跳び上がった


「いいだろう。まとめてかかってきやがれ!!」


右手に刀、左手に十文字槍を握り、刃先を下に駆け出す。その絵面は恐怖とも表せる絵面である

イグバッツを追い抜き、テハーが先にタイガを迎え撃とうとするが、緊張の脂汗が酷い

気を抜けば、あの迫り来る化け物に轢かれるだけで終わるだろう


「頼むから砕け散ってくれ!!バトルベストコンボ!!」


棍棒の片方の頭部に闇が覆い、黒紫のエネルギーは無数の棘と化す。空中で宙返りを行い、距離を詰めるとタイガの頭上へと撲り落とす


「いいぞ!どんどんこい!」


十文字槍の刃の枝で棍棒による一撃を受け止め、続いて力任せにテハーの顔へ刀の峰を叩き込む

斬らずに手を抜いてやったわけではない、しっかりと刀の峰打ちで叩き潰すつもりで

吹き飛ばされたテハーは最初の一撃が決まらなければ、攻撃技が続かない。なので両足の靴底で地面を抉り擦りブレーキをかけ、鼻血を出しながら気合いで食い縛る

棍棒の柄を握るその手からは力み過ぎにより血が流れていた

踏み込んだ地面を蹴り、再度タイガに接近し掌で棍棒に回転を加えて下から上げて撃ち込む


「ぬるいっ!」


僅かに身体を反らし、顎も鼻先も通過して当たらないギリギリの距離で躱されてしまった。だが、それでも構わない

この技は続ける技である

棍棒を振り切って瞬時に、V字を描くように振り、闇の軌道で描かれた巨大なV文字を衝撃と共に放つ

タイガはそれを刀が握られている右手で受け止めた

力の余波の暴走か、バチチチチ!!という繰り返す小刻みな音と共に黒い稲妻が走る

押し切ろうと、テハーは全身に力を込める。棍棒を前に出し、その柄を握る両手からはより量の増えた血が流れ落ちていった

指から腕、そして胸から肩へと肉が抉れそうだ

苦悶の顔ながらも、押し切らなければならない


「行けっ!!行けーーーっっ!!これで決まってくれええぇぇーーーーっっ!!」


「決まるとも!テハー!ドラゴンフレイム!バトルV!」


イグバッツの持つ棍棒、竜の牙も片方の頭部に闇と同じく火炎が纏い、それを振るいV字を描く

空間に描かれた炎のVは、テハーとは比べ物にならない規模を誇り、それを武器を振るうことで起こした風圧と共に放った

そして彼は、再び竜の姿へと変わる


「こーれは、ちょいとまずいかな?」


「燃え尽きよ!我輩の後押しが合わさった部下の力により!」


テハーの闇より遥かに巨大で、強大な力を持つ火炎のV字は、黒紫色のV字に追いつくと吸収というべきか、侵食というべきか、取り込み、Vの縁部に闇の力を走らせ、さらに巨大化する

受け止めていたタイガが押され始め、その力はジリジリと追い詰められていった

左手に握る槍を消し、その手で右手首を掴む

イグバッツとテハーの腹底から出る怒号なる叫びにより、更に力は増幅していく


「浄火されるがよい!!命運の灯火すらを覆す火炎に!!」


「イグバッツ様がいながら!お前みたいなガキに手こずるとなれば面目丸つぶれになんだよ!」


火のエネルギーも、闇のエネルギーも、ラストスパートかより力が

タイガの全身からは赤いオーラが漂っていた。それはとても熱く、握る刀にまで伝達する

そして一呼吸入れ、力強く眼を見開いた


発赤(はっせき)!!」


ただ力任せに刀を振り下ろす。一筋の赤い斬撃は地へ深々と刺さり、上は空へと到達した

火と闇が合わさったV字は一刀両断され、その裂け目よりタイガが姿を見せる

刀を振り切った直後のその顔は笑っていた


「そっ!!そんなバカな!!なっ!!なんだよあいつ!!」


もはや、ただ戦慄しかない。テハーの手は震えている。冷静でいるイグバッツは、あの者からの威圧にどこか似たようなのを感じたことがある覚えがあった


「ビクつく暇があったら逃げるなりしなよ!逃げる勇気すら失われているの!?」


反射的に「なんだと!?」と返してしまった。あいつとはあまり言葉を交わしたくないのについ

ゼナナは腰から下がピンクの鱗を持つ魚の身体となっていた。彼女は人魚だったのである

地面から幾つも海水を噴き出させ、その尾に集約

海水は巨大な尾鰭となり、上空よりタイガへ振り落とす


「マーメイドウェーブ!マリンテール!」


膨大なる水量と共に、彼女は尾の形となった海水を叩きつける

激しく何かがぶつけられた衝撃音と、タイガの姿が海水に呑まれたのを確認してから下半身の姿を戻し、舞い散る海水を蹴って華麗に着地


「やったか!姉貴?」


「いいえ、手応えがなかった」


自分が一番良くわかる。あの技で死んではいない

それを証拠に、対面時の威圧と緊張感が薄れてはなかった

すぐに次に備え、手に弾ける海水と共に出現させた全体に薄い青味のある三又の槍、トライデントを握り、頭上で素早く回すと構えに入る


「ジョーカー様、僕に力を。ついでに給料上げて・・・」


「こんな時に何言っちゃってんだよ姉貴!?」


興奮の高ぶりによるせいだろう。もう抵抗なく彼女を姉と呼んでいるのに自覚がない

ゼナナ自身、冗談のつもりである。それぐらい呟ける余裕が欲しかった。帰ればそうなるかもしれない。なら、より生きて帰らなければと決意を高める為に

そうこうしている内に、引き始めた海水を踏み、ずぶ濡れになったタイガが姿を見せる

濡れた髪がうっとおいのか、両手で髪を後ろへ流した


「複数相手も嫌いじゃないが、やはり最後はイグバッツとかいう竜になれるやつとサシでケリをつけたいものだ。なので、まずはお前らからくたばれ!」


「させぬ!!」


猛スピードで旋回してからイグバッツはタイガに強襲。竜の脚の蹴りに、対抗するように咄嗟に出た蹴りによって脚部と脚部がぶつかり合う

鈍い音が響き合う中、タイガの引き攣った笑顔を目の当たりにし、イグバッツは身の毛がよだつ

互いに足に力を入れ、弾かれ合い、その直後に間を置き合うこともなく距離を詰め合い、刀と棍棒による鍔迫り合いが発生


「これだと順が逆になってしまう!イグバッツ様の盾となり、刃となるはずの俺が!」


闇の力を右腕に走らせ、すぐにタイガへ攻撃を仕掛けようとするも、ゼナナが呼び止める

無視すればよかったのだが、何故か足が止まった


「待って、テハー。闇の力と素質のない真似事の炎を使うのは個人の勝手だとしても、水の属性もこれから使うべきよ」


「ぐっ・・・!あのクソ野郎と同じ力を使えってのか!?俺に!俺の事情ぐらい知ってるだろゼナナ!」


次の言葉次第ではゼナナを攻撃するつもりでいる。握り締める闇が走る右拳は震えていた


「クソ野郎のでも力は力!あなたの力よ!血は否定できない!」


歯を噛み締める。誰にでも顔すら思い浮かべるのが嫌な相手はいるものだ。そいつの顔が振り払いたくとも浮かぶ

迷いはある。自分の右腕を見つめ、次に敵と鍔迫り合う自分の主へ視線を向け、再度自分の腕を見つめる


「ちくしょーーーっっ!!あんな身長がちょっとばかしあるだけのガキに対抗する為に!!!」


「よし!」とゼナナは憂う笑顔を走り出した弟に向けた。そして全体に海水を纏わせたトライデントを浮かせ、タイガへと放つ


「マーメイドウェーブ!ブラックマーリンシュート!」


トライデントを放つと同時に、自分の周りから地面を突き破って太い3本水柱を発生させ、再び人魚の姿となりその内の1つに飛び込んだ

黒い軌道を残し迫る三又の槍に気づいたタイガ、それに一瞬気を取られたのをイグバッツは見逃さなかった

一気に力を出し、押し切りるつもりである

しかし、その少年の眼は、はっきりとこちらを睨んでいた

互いに更に力を加えて押し合い、足下から地面に亀裂が走り、隆起したがここでイグバッツの口から激しい火炎が吐かれた

それを左拳と腕で薙ぎ払うも、払った炎の先からは拳が飛んできて、タイガの額部へと撃ち込まれる

衝撃すら走った。黒髪も逆立つ

しかし、彼は倒れない。鼻血を垂らし、狂気の孕んだ黒き眼はより睨みを強くし、その頭で拳を押し返そうとしてきた

海水に包まれたトライデントは、タイガがワザと刀を消してその右手に刃を貫かせ、握り止められてしまう


「がああああああぁぁぁーーーーっっ!!!!!」


怒号はもはや獣の叫び。威圧ともはや悪に染まったとしか言いようがない顔で額はイグバッツの拳を押す

ベキッ!ベキッ!と自身の腕の骨にまで伝わり、恐怖している

このまま押し切られれば腕は折れるだろう

イグバッツは左手に炎を纏い、再度爪で抉るような形の手で掌底突きを撃ち込もうとするが、同時に素早くトライデントを手から抜き捨て、稲妻を帯びた右拳でストレートパンチを放つ


「イグバッツ様!!こいつは俺が!!」


棍棒の片方の頭部で地面を抉りながら振り上げ、舞い上がった水飛沫と共に、水の刃が振り放たれる

その声に反応し、イグバッツは後ろへ飛び、タイガの拳は空ぶる

その直後に水の刃が直撃する


「ぐっ!」


直撃はしたが、両足底に力を入れて踏み止まった

左肩から腕にかけて小さめ切創を負い、力んだせいで傷口からは血が噴き出す


「水の属性エネルギーを!?テハーよ!ついに!ついにまずは姉君との和解から入れたか!」


「違います!これは勝つ為に自分の拘りやら嫌悪を一時的に捨てただけです!」


やりとりなど知ったことではない。痛みすら感じておらず、タイガは邪魔をするなと目を細め、テハーの方を睨んだ


「なんだその眼は?生意気だな!」


棍棒の片方の頭部を包む水は、独りでに動きテハーの背からドラゴンの頭部となって現わす

咆哮から、口より少し渦巻く水の弾を発射


「ダミードラゴン!アクアインパクト!!!


続けてイグバッツも竜の牙を空間を撲り切るように振り抜く


「ドラゴンフレイム・・・ッ!!ハクセン!!」


振り抜いた直後に火炎が飛び散り、それを突き破るかのように白き炎が熱線と化してタイガに襲いかかる


「あの水だけならともかく、あの白い炎はやべーな。しょうがない・・・!」


両拳を握り、両腕を顔前でクロスさせる。それを一気に解き、黒い風が吹き荒れタイガを包んだ


「な、なんだ!?」


黒い風の向こうで、右拳に帯びる光の力を白き炎に見立て、左拳には雷撃を帯びさせる

その光で僅かながら人影が見えた

そして、光と雷撃を帯びた拳による怒涛の連撃が開始される

力の余波に空間にヒビが入り、地面が裂け、轟音が繰り返され、白き炎と水弾は着弾と同時に燃えカスの如く散った


「こ、この始終を我輩は静観しかできぬとは。近づけん。近づくことができなかった・・・!なんだあれは?一体、どうしてだ?二つの魂の響きを・・・!」


黒き風が全身の右半分のみ、どす黒い影が覆っていたがそれもやがては崩れるように消えた

右手首を回し、どうだ?としてやったりな顔


「今ので素直にくたばれよっ!!」


心の底から、テハーは本心を叫ぶ。彼はタイガに接近し、勢いをつけ棍棒の頭部を叩き込んだ

彼の胴体に打ち込んだが、棍棒の一撃を身に受けたまま殴り返される

鬱陶しい羽虫を払うかのように殴り飛ばされたが、地面に叩きつけられすぐに起き上がり、棍棒をタイガに目掛けて投げると右腕から拳にかけて黒紫の闇を走らせ、距離を詰める


「待てい!!!」


イグバッツの生命が本能的に胸騒ぎとして警告してきたのでテハーを呼び止めるが、もはやその声は耳に入らない

投げ飛ばされてきた棍棒を、タイガは右へ跳び躱した。その直後、つい寸前まで立っていた場所から地面を突き破って水柱が噴き出す


「僕の弟を殺させはしない!!マーメイドウェーブ!マリンマーク!!」


噴き出る水柱より飛び出したゼナナの右掌には水が集まり、空を尾ひれが一掻きを行い、空中を泳ぐように接近


「ドラゴンフレイム!ダークコア!インパクトッッ!!!」


自分の姉が視界に入り、何を思ったのか真っ正面からの接近から急に方向転換

回り込むように、姉とは真逆の方向から攻める

握り締めた拳を解き、爪で抉るような手の形へ

最初は微力な炎が、それを上書きするように黒紫の闇が覆う

ほぼ同時に、左右からの攻撃。タイガは挟み撃ちされる位置に立たされながらも、一切苦の表情を浮かべずに両腕でそれぞれ、右腕は水を、左腕は闇の一撃を防いだ

先程、野営地でのモトキとアルフィーをぶちのめした際と全く同じ防ぎ方である


「な、なんだと!?」


しかし、ただ防がれて終わりではない。姉弟は、各々の武器をもう片方の手に、トライデントを突き、棍棒を撲り打つ

二つの武器は顔を狙ってきた。防いだ体勢のままタイガは全身より赤きオーラを解き放ち、ゼナナとテハーを吹き飛ばす

吹き飛ばされた者とすれ違うように、イグバッツが突撃した。全身に炎を纏った姿で

真正面から迎え撃つは大好きだが、今回は刀で斬り伏せようとシンプルな上段の構えこと、天の構えから力を使って振り下ろす


「貴殿の実力を認めるにしろ!その一振りでやられる程に無駄に歳を重ねておらぬ!」


竜の牙を右手に出現させ、刀の一撃を受け止め押し返した。全身に炎を纏ったまま、タイガの顔を左手が掴み、地面に押し当て引き摺り回すと上空へ飛び、高所から投げ落とす


「テハーーーーーァァァァッッ!!!」


合図の叫び、それを聞いて吹き飛ばされたテハーは歯を噛み締め、両手は地面を掴み、両足は何度も土を擦り抉るように蹴る

そしてそこから跳びはね、アクロバティックに数歩後ろへ跳び、棍棒を手で回転させ、構えた

片方の頭部には闇を、もう片方の頭部には水を帯びさせる


「これで・・・!!終わらせてやる!!覚悟しろよ!!吠え面すらかかせてやらねーからな!!」


地面に叩きつけられる寸前のタイガの顔はこちらを向いていた

その眼は警告するかのようである

そして、彼は大地と空間を揺らす程の衝撃音と共に地面に叩きつけられ、隕石でも落ちたのかとタイガの落下地点から周囲を深く陥没させる


「ツインドラゴン!ダブルインパクト!!」


タイガが落下する同じタイミングで、テハーは宙に飛び上がっていた。身体を捻り、棍棒を振り切ると闇と水で具現化された翼の生える巨大なドラゴンが放たれる

水のドラゴンは一度流水に姿を崩し、槍を突き刺すかの如く地面に穴を空け地中へ

闇のドラゴンは上空へ急上昇

そして立ち上がったタイガへ、真下から地盤を突き破って水のドラゴンが襲撃。タイガの姿を一瞬にして喰らい、猛スピードで上昇していく

上空からは黒紫のドラゴンが口を開き強襲


「双撃だな!!」


上から、下から迫るドラゴン同士が衝突。闇と水、二重の層が上空を覆うように広がっていった

弾けた水が降り注ぐ中、テハーは棍棒を振り回し地面に突き立て、左腕を高らかに掲げる


「イグバッツさまーーっ!!!俺は!!!」


勝利の確信が実感として胸奥より滲み始めたが、主であるイグバッツは空をずっと見上げたまま

その顔は部下がやってくれたと喜んでいる顔とは明らかに違う、眉間に皺を寄せた険しい表情

自分も上空を見上げようとした時、雨となった水滴が突然に止んだ

エネルギーの余波として二重に広がっていった闇と水の力が赤き一閃によって掻き消されてしまう

夜空からは一つの光が降り立つ。降り立ったというよりかはそのまま、直立しながら落ちてきただけであるが

着地と同時に地面が幾つも隆起し、破片が舞う


「な、何故あれで生きてんだ!?ちゃんとやられろ!俺が惨めになるだろ!」


「知るか!俺だってまだ死にたくない!生きれるなら生きる!」


テハーの戦闘続行は明白であった。このままでは彼の身がまずいと悟ったイグバッツは「退け!」と命令する

しかし退かない。主の命令だろうと、死ねと言われたら死ねるがこいつを前に退くわけにはいかない


「向かってくるのか。その心意気に免じて完膚なきまで叩きのめしてやる!」


「上から目線にごちゃごちゃうるせーんだよ!!」


爪先をめり込ませ、地を大きく蹴り、距離を一気に詰めて棍棒を叩き込む。しかし、その一撃は相手の回し蹴りにより棍棒が手から弾き飛ばされてしまう

怯まずに続けて右拳を放つも、その手首を掴まれ、受け流されてしまい背に肘を落とされてしまった

地面に伏した彼を、タイガが右拳を落としてトドメを刺そうとする

だが、「やめろ!」の叫びに手が止まってしまう


「僕の弟に何をする!マーメイドウェーブ・・・!!」


ゼナナがトライデントの先端を地に刺し、そのまま地面を裂きながらこちらに向かってきていた

そしてタイガまでの一定の距離でトライデントを振り上げ、土と共に水を巻き上げながら2つの水の刃による斬撃を飛ばす


「アノマロカリスハント!!」


タイガはテハーをゼナナ目掛けて投げると、刀を手にそれを振り抜く


「威武道!」


振り抜くことで生じた真空波が2つの水の刃を歪ませ、打ち消す

それを見届けてから走り出し、一瞬にしてテハーを受け止めたゼナナに接近

数メートル手前で跳び、槍を手に石突部を地面に叩き落とす


「レギオンファイアーーーーーァァァァッ!!!!」


槍の石突部を叩きつけると同時に上空から無数の深紅の火炎弾を降らす

テハーを置き、彼を庇うように立ちながらゼナナはトライデントを構えるが、空から降り注ぐ火炎弾と彼女の間を遮るようにイグバッツが現れる


「イグバッツ様!」


「安心して欲しい!吾輩が止める!」


翼を羽ばたかせ、暴風を起こし炎を生じさせる。暴風と火炎が壁となり、降り注ぐ火炎弾を防ぐ

「はぁっ!!」の掛け声から更に翼を強く羽ばたかせ、膨大なる暴風に乗って火炎が残りの火炎弾を全て押し返し呑み込んだ


「やってくれるな!」


「あなた楽しんでる?僕達か、降り注ぐ炎の弾に対処するイグバッツ様の背でも狙えばよかったのに」


「お前らは、次の一撃で終わらせると決めたから急ぐ必要もないだろ」


それを聞いて間を置かず、挙動なくゼナナは手に握るトライデントで突いてきた。それをタイガは後方へ大きく跳ぶことで躱す


「抵抗するならもちろん歓迎するぞ。命は抵抗と覆しの繰り返しだからな!」


刀を握る右手に稲妻が生じ、それが刀身へと流れ始めた

一歩、右足を出して踏み込む体勢へ


「どけ姉貴!!」


起き上がったテハーは背後から自らの姉を容赦無く蹴り飛ばして前に出た

タイガを睨み、彼の右拳から肘にかけて闇が覆う


「次の一撃で終わらせるといったな!終わらせれるなら終わらせてみやがれ青二才めがぁぁぁぁっっっ!!!」


迫ってくるテハーに対し、タイガはまだ動かない

踏み込んだ足、刀を握る手に力を入れ、眼を見開いた瞬間に一気に距離を詰める


雷千壊(らいせんかい)っっ!!」


捉えきれない速さから、刀の峰による打撃攻撃。撲られた瞬間に刀身を走っていた稲妻が

声も挙げず、彼は一撃で叩きのめされた


「テハー・・・っっ!!」


唖然とするイグバッツの視線の先で、テハーは生きているのか死んでいるのか判らない

そんな動かなくなったテハーに一切の興味を捨てたかのように、目もくれずに次はゼナナを狙って走り出す


「小者みたいに言ってみようかな?くそーーぉっ!!ジョーカー様がいればお前なんか!!」


「とっくにそいつに一度、コテンパンにされている」


彼を近づけさせまいと狙いを定め、範囲を絞って海水が集まった右手を振り、無数の水滴を撃ち出す


「マーメイドウェーブ!スクール・オブ・フィッシュ!」


小さな水粒は小魚を模し群れへ。1発1発がマグナム弾と比べ物にならない絶大な威力を持つ

しかしタイガの足は止まらない。そのまま強行突破を開始


「効かん!効かんぞーー!!」


その身に小魚を模した無数の水弾を受けながらもタイガは直進

彼女はいい加減に倒れてくれと願った

しかし、血を垂らし、吹き出ながらも怯むことはなく彼の足は止まらない


「どんな体してるの!?化け物め!清々しさすら覚える脳筋な突破法してきちゃってさ!」


自分も距離を詰め迫り、タイガ相手に近距離戦に持ち込むのは得策ではない。それは痛いほどこの短い間に思い知らされた

ゼナナは素早く、空中へ逃げるよう飛び立ちながら大きく後退

高所の位置にて人魚の姿へと変わり、空中で両手を合わせる


「マーメイドウェーブ・・・」


大気中から水が渦を描くように合わされた手に集まり始め、その合わさる両手の僅かな隙間より、海水の激流が発射された


「デスマリン!」


大地を抉るスレスレで、下放物線を描き放たれた激流はいくらタイガでもちっぽけな人間の存在を容易に呑み込んだ

その遥か後方、海水が通過する直線上にいた革命軍複数名も巻き添えをくらい、悲鳴が轟く


「これぐらいでいいかな?なんて終わりにはしない!必要以上に!潔癖症の掃除以上に!」


付近に生息する生命や地形を度外視。必要以上、それ以上をしなくてはならない。確実な死の手ごたえすら油断できない

彼からは自分の上司であるジョーカーとは別の恐怖があった

支配される抉るような恐怖に対し、純粋なる強さにより重い恐怖を生む存在

ゼナナは人魚の優雅さには程遠い剣幕で凄まじい海水を放出し続ける

彼女のいるより上空の位置で滞空するイグバッツは牙の隙間から火炎を漏らし待機。できるならすぐにでも火炎を追加でぶつけたいところ

だが、まだ様子見。いつ、今の状況を脱してくるか判らない。その時に自分はどう動くべきか

今ので倒せたならそれでいい


(開始から続く胸奥のざわめきがまだ取れぬ・・・)


その不安が現実となる時がきた

立ち塞がる野山だろうが御構い無しに破壊を続け直進する海水の激流を、螺旋を描いて飛ぶ炎と雷の東洋風の龍が覆す

放たれる激流は押し返され、一対の龍が自分に到達するという危機的状況となった次の瞬間、イグバッツが彼女を突き飛ばし、ドラゴンの口から放つ火炎で防ぎ止めた

火炎に呑まれた一対の龍は姿を消す

そしてその直後、遠くから地鳴りが伴って猛スピードで走ってくるタイガの姿が見えた。海水だけではない、酷く全身を流れる血で濡れている姿

狂いなく獲物を捉えるその眼は狂気を物語っている


「イグバッツさん、お礼を言わせていただきます。しかし、最も大切なのはあなたの身ですよ!僕の身は二の次にご自愛を!」


「そう言うな。命あってこそだ」


優しく声をかけるイグバッツがあったが、声とは裏腹に闘気が溢れていた。牙を剥き出しに、目を細めて笑う

迫るタイガに向けられているその顔は、闘争の快楽が抑えきれなくなってきた現れ

「任せた」とゼナナに言葉を残すと瞬時に大地蹴り、低空飛行からタイガに急接近

タイガは躱そうとはしなかった。捕らえるように突撃され、転がりながら取っ組み合う

イグバッツに組みぶされると彼から爪を立てた掌の突きによる一撃が落とされそうになるが寸前でその手首を掴み、腹に蹴りを入れ押し飛ばし起き上がる

起き上がった時には翼を使い優雅に降り立ったイグバッツが棍棒で着地した地面を砕き、続けて振るうことで生じた風圧により舞い上がった無数の破片を飛ばしてきた


「より楽しくなってきたな」


右拳を握り炎を生じさせ、もう片方の手に握った槍を高速で回転させることで飛ばされた地面の破片を防ぐ


「お楽しみはすぐに取り上げられるものよ!」


槍で破片を防ぐ最中、ゼナナは手から上空目がけトライデントが投げられ、ゆっくりと回転を開始

海からの水と、自身の周囲に発生した海水がトライデントに集まっていく


「ぶっ倒したつもりでも!倒れてくれと哀願しても!」


この戦いで何度も、何度も襲いくる恐怖を味わった。純粋なる強さとくたばらないタフとしつこさに

それへの終止符を今、打つ時である

トライデントに集まった海水は、渦と化して刃と石突部の両端にそれぞれが纏う


「マーメイドウェーブ・・・っ!!」


跳び上がり、彼女はトライデントの柄の中央辺りを掴んだ

両端から解き放たれた渦潮が一点に集まり、より強大な渦潮へ

それに繋がるトライデントを振り下ろし、上空から渦潮を叩きつける


「メウズ!!」


イグバッツはとっくに上空へと逃れていた。高所からこれからどうなるかの経緯を様子見

強大なる渦潮が迫る中、タイガは刀身を根元から握ると一気に引き、擦り抜ける

すると刀身には熱を帯び、僅かな火を灯しながら赤く染まっていた

柳の構えをとり、一瞬にして渦潮まで跳び自分から接近


「灼熱っっ!!!!」


刀でクロスを描くように大振りに斬りつけ赤き斬撃を刻み、続けてその中央を突く


「ギガルガクロス!!!」


夜空に残る赤きクロス字の斬撃が渦潮を斬り裂き、貫いた

雨の如く降り注ぐ海水の中、タイガは落下をしながらそのまま地に降り立つ最中のゼナナを強襲

まずいと察したのか、イグバッツが急降下するがもう遅い

彼女は掌に集めた海水を無数なる小魚を模した散弾の如く礫として放つが、タイガは刀を振り抜くことで発生した真空波が彼女を吹き飛ばす

海水の散弾を呆気なく消しさり、その一撃を受けた彼女は鼻と口から流血を撒き散らし、白目をむいて地に落ちていった

放たれた力の余波が大地と海を抉り、地響きが生じる中で地に着地したタイガはイグバッツの方を睨む


「最後はお前だな」


気絶しているのか、死んでいるのか、それが分からず心配を隠しきれない顔でテハーとゼナナを交互に繰り返し見る

自分の部下であるテハーへの謝罪と、ゼナナ自身とその上司であるジョーカーへ声には出さずに謝罪をし、地に降り立った


「調子に乗るな小僧!!貴殿の実力は認めるも、その実力を今日まで生きた年季の意地でなんとか覆してみせよう!!」


「それは楽しみだな。なら、まだ生きてない分の経験値不足は心胆で補ってやる!」


互いに一歩一歩を重く、歩み近づき始めた

だが、その前進は両者の間を一定の距離を隔てた位置で止まる。先にイグバッツが立ち止まり、2歩遅れてタイガも歩みをやめてしまう

慄いたわけではない。彼は翼を広げ、炎と共に熱き暴風が巻き起こした

攻撃ではない、現象である。紅き竜人種は人の姿では髪が、竜となれば全身に持つ鱗が紅き色を持ち、口からは炎を吐き、翼を羽ばたかせれば炎を起こせる

生じた暴風と炎はタイガを避けているように見えた

避ける素振りもなく、両拳を握った直立立ち。眉すら微かにも動かず、それが彼の強大さを物語っている

武者震いしそうだ。彼を改めて前にして胸が不思議と高鳴っていく


「これより、貴殿をニ手で幕切れを贈ろう」


「そこはハッタリでもカッコつけでもいいから一手で終わらせるとカッコつけろよ」


「一手で終わるならとんだ見込み違いの過大評価であると、安堵する。それほどに、我輩は貴殿を敵ながらに買っている・・・終わりにしよう。まずは一手の、ドラゴンフレイムッッッ!!!!」


口から吐き出された火炎は棍棒の頭部を包み、それを振るい炎のV字を描く


「コンテニューズバトルV!!」


追加で描かれた炎のV字へ棍棒を叩き込み、そこから同じV字の火炎を複数放出する

直感であるが威力とこれで倒す気概が感じられず、陽動の攻撃である。タイガはワンステップ後退しながら、体力をあまり使いたくないので刀を振り抜き威武道を放つ

タイガを集中的に狙った複数のV字の火炎は放たれた真空波のようなものと接触した瞬間に火柱となり激しく炎を散らし、空間から地面にまで燃え広がる

火炎の壁に隔てられるも、放たれた威武道の力の余波がその炎を掻き消した

しかし、そこにイグバッツの姿はない

逃げたとは考えられない。ならば何処に?

辺りを見渡せば、すぐに気づいた

彼は肉眼で小さな粒ぐらいのサイズで捉えれる地平線の遥か彼方の距離におり、海面に翼を広げ降り立つ


「何をするつもりだ?」


次の瞬間、その疑問を塗り替えるほどに恐怖が全身を走った

汗が酷く噴き出す

生物的生存本能が疼く


「関係のない生命達よ、許せ、許してくれ・・・!」


力強く眼を見開き、開かれた竜頭の口からは火炎が生え並ぶ牙に帯び、続けその口内へ大気より何度もリング状の火炎の層を取り組む

その光景を前にタイガは身構える。武器を持たず、両腕を斜めに対となるように突き出した


「シャイニング!!!」


右の手には白き光が、左手には赤き光が纏う

前に包むように構えた両手の中で二つの力を集束させ、巨大な光弾を生成


「250万光年まで届く!!焼失するがよい!!ドラゴンフレイム!!バーストブラストブレス!!!!!」


大地が、空が、悲鳴をあげる。見兼ねて天罰でも大空から落とされる程に震えていた

そんなこと御構い無しに、赤き竜人はタイガへ向け、口から極太の火炎熱線を発射

軌道上の海面すら大きく抉るように消失させていく

まともに直撃すれば世界の半分など容易に浄土と化せるだろう

これでもあくまで1人の者へ対して範囲を絞り、軌道を考えてはいる

それでも計り知れない被害を生む。なので最初に謝罪をした

これで後から裁かれようとも受け入れるつもりで

迫る火炎熱線を目に生命を脅かす力を感じ、逃げることも避けることもできた。だが、タイガはどちらもしない

馬鹿みたいに迎え撃つつもりでいる

この者の後ろにいるずっと強大な存在。いずれ、再び、相見えることがあるならば、これを受けず対抗せずして勝てるはずもなく、超えることはできない

ならば、成長の糧にさせてもらう。敗れるならば自分はそれまで


「ベル!サン!フォーーーーースッッッ!!!!」


赤に包まれた白き光の力を強大なる火炎熱線へと投げつける

二つの力が接触した瞬間、音が遅れ先に白く眩い光が走った

二つの力は相殺され、それにより生じる力の衝撃とそれに伴う風圧に海は水を失い、その下の地面地盤ですら裂かれ、砕かれ、抉られてしまう

その余波に、イグバッツも吹き飛ばされていたが顔には余裕を感じる笑みが溢れていた


「やはり、やりおる・・・」


二手で終わらせれたかどうかはこの眩い光が消え、己の目で確認できるようになった時

吹き飛ばされ、逆さになりながら翼を使い体勢を整えた

もしまだ生きているか、それどころかあまりダメージの手応えがなかっとしても絶望もせず次こそ、もう一度、先程の技をぶち当ててやると

今度は至近距離で直撃させてやる。その為に武器も、爪も、牙も、尾も、炎も全てを駆使してやる。そう意気込み、牙と牙の隙間から微量の火炎を漏らした次の瞬間であった

眩い閃光を突き破るかのように、赤き光が現れる

閃光が強風に吹かれた曇り雲の如く一気に晴れたその先に、赤き光はなく、タイガの姿がそこに


「っっ!?」


タイガは炎の属性エネルギーをその掌に握り、その炎を纏う右拳を顔前に持っていくとすぐに右下へ振り下ろすことで稲妻が発生

炎を走り尾をひく稲妻を右拳に、大地を踏み込み、足底に力を入れて地を蹴って突撃を行う


「真!!逆鱗!!(パンチ)!!」


巨大な東洋風の龍が目に映った。その姿になったのか、ただの幻覚か、防御や避けなければと意識するより先に、距離を詰められイグバッツに強烈な右拳が炸裂した

空気が振動し、空間が歪み、亀裂がやがて大地や空にまで及ぼす一撃

殴り飛ばされた遥か地平線の先で一閃の雷が天より落ち、火柱が上がり、それは龍の姿として天に昇っていく


「楽しかったぞ、イグバッツさんよ」


深く、息を吸った。タイガの身体左半分に残る黒い影のようなものが消え去り、清々しさが残った

龍が竜に勝利した。赤い鉢巻きを手に、それを突き出すようにイグバッツが飛んでいった方角に掲げる

鉢巻きは無風で靡くことはない

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