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光ある概念の終日  作者: 茶三朗
傭兵業務
161/217

革命の息吹 3

ある山奥にある竹林。今日も葉と葉が触れ合い、自然が生み奏でる音楽は涼しげであり、不快な騒音には程遠い

静けさの中で、足音が聞こえてきた

風が止む。竹の葉の擦れ合う音もしなくなる

自然がハルカゼを避けたのか、たぶん偶然であると思いたい

竹林を前に足を止める。自然先には地面に刺さる錆びた刀身の刀

しばらく、ただそれを見つめていたが、再び風が吹き抜けた時、近づいてその刀を引き抜いた

抜いた途端、黒紫の炎が刀を掴む右腕から侵食を始める。しかしそれは、何かに気づいたかのように、すぐ刀へと戻っていってしまう


「久しいのかもな、破竹よ。まさか再び手することが叶うとは。こんな場所で、ずっと、朽ち果てることもできず、変わる時代を別に天雲でも眺めているつもりだったか?」


錆びていた刀身は輝きを戻し、見事な互の目乱の刃紋を持つ刀身へ

破竹、それは柄が竹製となっている刀。地面に刺しておけば摩訶不思議か、数年後に謎か竹が生えてくるらしい


「連れがいたんだが、あいつらではここには着けん。神隠しのごとく、急に俺が消えてびっくりしてるだろうな」


置いてきたわけではない。セーゼーも、バジエルクも、ヒヒマも、この刀が受け入れず、所謂ハルカゼだけを迎えての門前払いされたのである

ふと握る刀の柄からは別の生命に握られた後を感じた。ここへ辿り着けて、刺さるこの刀を一度は抜いてみた者がいたというのだろうか?


「うん?以前、他の誰かに握られたことでもあったか?普通なら拒絶で闇に呑み溶かされ、存在を消されるはずなのだが、骸も肉片も残りはしないからその者はどうなったのか・・・見ていたのはお前だけだもんな」


どうにしろ、刀事態が自分の居場所を開いて姿を現したのだからその者に少なくとも素質があったということだろう

それとも、一度抜いた者ではない、一緒にいた者を迎え入れたかっただけかもしれないが


「他に誰か、お前が相応しいと持つことを許可する者でもいたのか?それとも・・・」


何処か、誰か、思い当たる人物でもいるのだろうか?憶測でしかないが、そんな者がいると考えると、不思議と笑みがこぼれた


「そいつに逢えるかどうか、運命に任せよう・・・」


左手には黒塗りの鞘が現れる。そこへ刀を納める前に、一度目の前の竹林へ目掛け、振り抜いた

竹林だけの両断では済まなかった。凄まじい音と共に、今いる山の半分が切断され、斜面を造るかのように隣接した山も、それに続く山々を計5つを叩き斬る


「やーべ・・・あいつら、巻き込まれてないだろうな?それはそれでまぁいいか」


刀を鞘に納め、革命軍の三名を捜しに行くかと溜息をついた時、背後から強大な獣の気配がした。ゆっくりと、そちらへ正面を向ける

そこには、昔学舎で書物にあった絵でしか見覚えのなかった聖昏獣のベランディハムがいた。威嚇しているものの、ほとんどが警戒と恐怖に溺れかけているが、逃げる本能を覆す


「ほぉ・・・珍しき獣だ。こんな山に、こんなのがいたのか。獣ならその背を追うことはない、今は本能に従い逃げるがいい。それでも獣ごときが棲家に自然、他の動物を守る為というくだらない理由で俺に挑むつもりならば教えてやろう。進化を失敗した生物めが!」


いつもは、他の獣を寄せ付けさせない毎日であった己が、喰われる立場となるかもしれない子や群れを守る強靭な草食動物と同じと化している

生物として逃げないのは失敗作だ。だが、この山を、この自然を破壊する存在となるこの者を逃したくはない

肉食動物の立場と化した者、当然狩る為に向こうから動く。右拳を握り、殴りかかってきたハルカゼに、獣は飛びかかった

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