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光ある概念の終日  作者: 茶三朗
各自抑えれぬもの
153/217

鱗粉の香り 2

学園内に設備されているシャワー室、喩えができない匂い、言うならば複数ある水の匂いがした

着ぐるみも、肌着もパンツも脱ぎ、全裸なったモトキは適当な一室に入り、ノズルを回す


「あっつ!!」


出てきたシャワーヘッドからの水は、驚くぐらいに熱かった。急ぎ調整

冷た目の水でシャワーを浴びたい気分である

手にシャンプーを垂らし、少し水を含ませてから擦り、髪と頭を洗う。髪を洗い、泡立った泡を使って全身も洗う。股間もしっかり洗う

最後に全身の泡をシャワーヘッドから出る冷たいみずで落とせば完了

全身を拭いてから、髪を雑めに拭き、着替えを終えて生徒会室へ向かう

着ぐるみは紙袋に入れておいた


「10日間はとっくに過ぎてるのに、10日分が終わらないな・・・」


小言を漏らしながら、生徒会室に入ってしまった。それがまずかった。ネフウィネがいたのだ、こんな朝早くから珍しく


「この場で病院送りにして更に日が延びるか、死んでこれ以上、来る必要もなくなって良かったねのどちらかになるか、試してみよじゃない」


「あ、いえ、ちゃんと10日分働きます」


淹れたお茶を飲み、アオバはヘマしたわねとクスリと笑った


「今日は、なんでしょう・・・珍しくお早目のご登場ですね」


「あたしだって、まだ寝ていたかった!」


めちゃくちゃ不機嫌である。こんな日は触れないのが吉なのだが、今日一日、彼女から逃げるのは不可能かもしれない


「モトキ君、まぁ適当に座りなさいよ。お願いだから、二人きりにさせないで」


「今出たら背中刺されそうだから、俺だって二人きりにしないでくれとアオバに頼みたいぞ」


アオバと向かい合う席に座った時、ネフウィネは海老煎餅を乱暴に食べ始めた

なんだか、とても恐い。指を近づけたらついでに食い千切られそうである


「お、お聞きしますが、こう不機嫌になられる事情でもありました?」


「不機嫌!?誰が!?あたしが!?そう!?」


湯飲みに淹れられたお茶を一気に飲み干した。それをテーブルに置くことなく、湯飲みは握り潰されてしまう


「朝、学園長のジジイから報が入ったの・・・Secondが学園に来るって。なんとなーく、朝早くにここへ来て、仮病使って保健室で寝るかのような優越で爆睡を楽しみ、昼から活躍しようかと計画した矢先に」


「Second?Second!?Master The Orderのナンバー2か!そいつが来たぐらいでどうして不機嫌になるんだ?ただここに在籍するMaster The Orderが1人増えるだけだろ?」


「モトキ君・・・あなた、普通にMaster The Orderと接したり、戦ったことあるから価値観がおかしくなり始めてるわね」


何度も説明はされているが、Master The Order同士は基本、仲が悪い。組織の幹部共にも見られる光景

特にFirst、Second、Thirdのいずれか同士が鉢合わせる場合は学園側も落ち着いてはいられないのだ


「今まで隠してたつもり無かったけど、あたしSecondが他のMaster The Orderの中で一番嫌いなのよ。食べカス混じりの痰カスぐらい」


「Secondだって、会長のことが大嫌いですよ」


だろうなと、分かり切っていたことだ。ミナールや、ベルガヨルとかを見てきたので、ネフウィネの性格と、位置の関係から

あの中で、他と関わりがマシなのはタイガかキハネぐらいだろう。あの二人は時折や根ではなく、普段から優しさが漏れているから


「だいたい、FirstとSecondが同じ場所にいるぐらいで騒ぎすぎ。なんだったら、あたしとタイガが鉢合わせる方がヤバイのに。あいつは他のMaster The Orderと違って学園に来るから会う確率が高い・・・偶然森で遭遇した凶暴な猪より、街にも現れるスズメバチのが危険みたいに」


アオバにお茶のおかわりを頼む。しかし、湯飲みを自分で壊したので、やんわりと断られてしまった

急須で直接飲むとよくわからない脅しをするも、「ご勝手に」と遇らわれてしまう

不機嫌より、ダルそうな雰囲気でテーブルに伏せた


「あーあ、くそー。学園長室で集めればいいものを、なんで生徒会室でなのよ?集める理由もないし、他のやつらも集まりたくないだろうに。あの眼鏡め、こんどフライドチキン食べた手でレンズ触ってやる」


「で、そのSecondはどこにいるんだ?ネフウィネさんやタイガと同じMaster The Orderだ、一般生徒が一目覗くぐらいバチは当たらねーだろ?」


「知ーらない。捜しにいけば?来るって口だけで来ないこともザラだから。あたしや他と同様に」


湯飲みを手に取った。アオバの飲みかけである

お構いなしにそれにお茶を足して、一気に飲み干す

身体の芯まで、早くもじんわり広がるように温まり、落ち着いたのか、「ぶは〜・・・」と息を静かに、ゆっくり吐いた


「貴様が一目みたいは勝手だけど、あたしの時みたいに戦闘にはならないでよ」


「や、やめておきます、軽い気持ちで見れるつもりになっていました」


「よろしい・・・」と、お茶のおかわりを淹れるも、それをアオバに横取りされてしまった

いや、元は彼女のだが

しょうがないと、諦めてあとは時が来るのを何事も起こさず待つのみだったはずだが、それは突然と終わりを告げる

生徒会室の扉から走ったノック音、モトキが「Secondか!?」と、警戒しながら立ち上がるもネフウィネが「あいつだったならノックしない」と呟いた


「鍵はしてないからご自由に・・・」


ネフウィネの言葉に、「邪魔をする」の一声が返ってきた

聞き覚えのある声だった、聞き慣れた声だった。声主で誰か解り、なんだか久しぶりな気分になる

上は制服だが、下が七分丈のステテコとサンダルとなんだかダラシない姿


「よう!学園にバカンスできる場所なんてあったか?タイガ」


「よっ!さっきまでタライに氷水入れ、そこに足を浸かりながらカキ氷を頂いてたんだ」


やはりカキ氷はイチゴだなと、レモンとメロンは邪道と、二人の意見は同じ

ネフウィネは最初に来たMaster The Orderが内部で唯一、一目置くタイガで良かったと僅かに右口角が緩んだ


「しかし、相変わらず生徒会室は学園長室はおろか、部屋や教室より狭いんじゃないのか?Master The OrderのFirstが学園で拠点にする部屋にしては規模がないな」


「広い部屋なら、家で普段景色ぐらい堪能している」


「それもそうか」と、タイガは納得した。それよりも、学園長に呼ばれたかと思えば生徒会室に向かうよう指示されたことである


「ネフウィネさんよ、どうやら学園長は自分の仕事部屋が吹き飛ぶのは嫌みたいだ」


「だったら一層の事、学園長を一生部屋から出られないようにするか、学園長室以外を吹き飛ばすのもありだと思わない?」


「孫に会いたい禁断症状で3日も持たなそうだな」


なんだか、物騒な会話をしているが聞かなかったことにしておこう。期間限定であるも、一応は生徒会の一員なのでただ何もせずにいるわけにはいかず、仕事を探すことにした

この場に何人来るか存じはしないが、せっかくMaster The Orderが集まるので、アオバが掃除を提案


「掃除か、俺はどれを担当すればいい?何でもいいな

ら箒を担当しようか?箒掃きのタイガちゃんと、孤児院の掃除時では通ってたんだぞ」


ロッカーから掃除道具を出し、準備をしていたところをタイガが声をかけてきて、1本の箒を手に取った

適当に掃き始めて欲しいとモトキに言われ、掃除の手順や始めに手をつけていけば良いといった効率など知らないが、テーブル下や椅子下から掃いていく

掃除の邪魔となるテーブルの脚を掴み、片手で軽々持ち上げ掃き、椅子に座るネフウィネごと持ち上げ掃く。モトキはバケツに水を汲みに行った


「いやいや、どうしてタイガ君も掃除に参加しているのですか?掃除は私とモトキ君に任せて、他が集まるまでゆっくりしておいてください」


「それは俺が掃除しちゃいけない理由にならないだろ。他の生徒がやっていて、意図的なサボるは別として、同じ生徒である自分が何もしないわけにもいかねーからな」


なるほど、ネフウィネが他のMaster The Orderを嫌う中、タイガだけは実力を認めている他に、こういった部分が毛嫌いせず侮辱しない理由の一つなのだろうなのかもしれないと、珍しく大人しい本人を前に、アオバは憶測するが、いやちょっと待てよと、もしそうだとすれば、彼女自身も他の方々と似たようなことをしてる。自分だけは良しとしている自分勝手か、それからくる同族険悪なのだろうか?

余計なことを深く考えてしまいそうになる前に、モトキが戻ってきた


「バケツに水汲んできたぞ。なんだか通りがかった他の生徒に避けられてる気がしたけど」


「おう、光の速さだったな」


「実際に体の一部を光化できてたけどね」


戻るのが速かったモトキへの比喩に、ネフウィネが続く。この三人だから通じる、くだらなすぎるジョークなのか、FirstとEighthと一般学生であるはずのモトキの3名が笑い合う光景は、アオバにとっては不気味に映った


「水を汲みに向かう途中、ミナールとキハネに出くわしたぞ。生徒会室に赴く前に俺についてきたけどな」


「Master The Orderの二人を侍らせてたから避けられたんじゃないの?元からから避けられる人だったのかもしれないけど」


床に水の入ったバケツを置き、そこへ数枚の雑巾を放り込む。水に浸した雑巾をしっかり絞っている間に、タイガは掃き集めた細かなゴミをチリトリに掃き入れ、それをゴミ箱へ

絞った雑巾をタイガとアオバにも投げ渡し、床の拭き掃除を開始

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