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光ある概念の終日  作者: 茶三朗
各自抑えれぬもの
151/217

革命の息吹 2

男は、冷たく硬い床で直に眠っていた。静かであるも、本当にし〜んという音が聞こえてくる

モトキとの戦闘後、サティッツのおかげで支部の戦艦に戻ることができ、その中で治療とアーマーの修復を完了させる。戦艦は雲上に聳える本拠地である空中要塞に帰還

すぐにボスのとこに出向き、報告と話たいことがあったのだが部屋には居らず、拍子抜けしてしまい、一気に襲ってきた眠気に負け、その場で横になってしまった

何もなく映る、ただ広いだけに思える暗い部屋の中央付近で、闇に呑まれそうな中で、床を通じて足音が耳に伝わる。その音はやがて間近まで来た


「邪魔・・・」


進行方向に寝ていたレンゲツを、道に転がるゴミを蹴り退かすかのように蹴り上げた

彼はその体勢のまま宙に上がり、姿勢を変えたり立て直し着地するつもりもなく、落ちてから両手で床を押し、その反動で立ち上がる


「ニハぁっ!あんた、第2部隊の俺への扱いを間違えた!あんた自らが避けるべきだ!」


「隊長でもない副隊長が偉そうに・・・」


彼が発した「なんだとーーっ!!」の叫び声が部屋中を跳ね返り、いがみ合う両者。レンゲツの手にアタッシュケースが現れ、ニハの衣服には青い光の線が全身に入る

触発寸前の最中、薄暗い部屋に1箇所の扉が上へ収納され、そこから光が射し込む

二人は、一瞬にして冷や汗が噴き出し、息を飲んでしまい、そちらに目をやる

橙色のタキシードを着た男が入ってきた


「なにを騒ぎ立てておいでですか?お二人様」


「イ、イガネヤさん・・・!」


ニハは何事もなかったかのように振舞い、口を握り拳で隠して咳を一回。レンゲツは舌打ちし、手からアタッシュケースを消した

無論、両者はこの男が現れたことに慌てふためいたわけではない。その後方に、ついてきていた存在

軍服を身につけ、額に白い鉢巻きを巻いた男の方である

こいつから漂う、善とか悪とか、そういった極端だったりどちらかに傾いている気とは違うものを感じる。いつでもここにいる全員を始末してもいい殺気を匂わせていた。それができると証明できる程の隠しきれない威圧をワザとなのか漂わせている


「おい・・・イガネヤ、そいつは誰なんだ?ボスは知っているのか?そいつがいるのをだ!」


「コラッ!レンゲツ!失礼よ!イガネヤさんに!」


再びいがみ合いそうになったが、イガネヤという者の前なので、両者共に拳を見せないことにした

男は「よろしい・・・」と優しい笑みをこぼす


「ボスはもちろん存じ上げております。しかし、我が組織内ではまだ知らぬ者も多く・・・唐突なので混乱を招くのは致し方のないことです。あなた方が出ている間に、進んでしまわれたことですから」


後ろでその男は他人事のように、呑気なあくびをしていた

害のなさそうなはずなのに、ただただ恐い。恐ろしくて、なるべく長居したくはなくなってしまう

そんな危惧する眼差しを向けられている白い鉢巻きを巻いた男の右手は、背後からイガネヤに尋ねたいことでもあるのか、その右肩を掴んだ


「おい、カステイラの後の握り飯はまだか?甘い菓子の後は塩っけあるものを頼んだはずだ。というか、俺ばかり食事をしていて、貴様らもちゃんと食べているのか?」


「御安心を、こちらに運ばせれるように指示はしています。もちろん、我々も普段からちゃんと食事は取らせていただいておりますよ。もう、昔景色であった戦争関係者や兵士の食事を優先させられるのが多い時代ではなくなったのです」


「そうか、ならば良し。食事は大切だ。戦争に参加しない、できなかった者がひもじい思いをし、少ない配給と、足りないのを道に生える食える草や植物でなんとかちょっとばかりでも量を増やそうと知恵や工夫を使い調理して、食事をする姿はもうたくさんだからな」


右肩から手が離れた。まだ握られているかのようで熱い。イガネヤは汗を垂らし、苦笑いをするが段々と熱くなっていくことに不安が駆り立てられる

だがその熱さも、男がその場に胡座かいた時に合わせスッと引いていく


「握り飯の際は酒は嗜まん。茶が好ましい。緑茶か焙じ茶ならば尚良し」


「注文多く、おこがましいやつだ。ここを使用人付きの我が家だと勘違いしてないか?」


「住めば都。生き返って見覚えなき場所。時代に取り残され、帰る場所もなければ、ここに慣れるしかないだろ少年・・・」


「少年って、あんたと俺はあんま歳が変わらなそうに見えるんだが?あれか?死んでた年数を加算した?俺は一応、今年で17だ」


「俺は享年21だ。酒の美味さがわかり染み付いてきた時に亡くなったからな」


自ら死んだことをネタに、冗談で言っているのか?こいつはと、レンゲツは露骨に不機嫌な顔に

ニハは掴み所のないこの者に、下手に話しかけたりはせずにいたが、レンゲツが突っかかり、乗せられてしまったので溜め息


「扉から入る光では薄暗いので、灯りを点けましょう」


「ああ、頼む。暗い中での食事は滅入るからな」


イガネヤが親指と中指を弾き鳴らせば、部屋全域を照らす灯りが点いた

部屋には何もなく、ただ無駄に広いだけ

ここに普段、ボスはいる


「ったく、ボスはどうしたんだ?いないなら、また出直すか」


「あっそ。じゃ、第2部隊の隊長さんによろしく、副隊長さん。こちらはボスからわざわざ報告があるとお呼ばれした身なので、じゃあねはまだ早い」


さっさと自分がいなくなることに嬉しそうなニハの態度に、振り向かず怒りを露わにする

相手にしたら負けだと無視し、部屋を出ようとしたがハルカゼに呼び止められた


「いないぐらいで帰るな。待つのも時には楽しいさ。俺はここで握り飯を頂くぞ、貴様らの頭に会う為に待つついでに。貴様もいらないのか?握り飯は好まないのか坊主?」


「嫌いだ。俺は米が嫌いなんだ。口ん中でねちゃるし、不愉快な甘み出てくるし、唇と歯の間に入るし、椀や皿に盛られた米の群集山を見るだけで身の毛がよだつものだ」


ここに、こいつと一緒にいたくない適当な理由ではなく、昔から本当にお米が嫌いなのである

美食家でもないのに歌手やコメディアンが食通ぶってカレーライスや炒飯の調理にこだわったり、好きなどばかりほざいてたらぶん殴りたくなるのだ

それでいて、相手はこちらの好き嫌いを知らないとはいえ、米を食わされるのに誘われてかなり気が立つ

部屋を出ようとしたレンゲツだったが、タイミング悪く開いた扉先には、この部屋に入ろうとした幼さが残る顔の背の低い男と鉢合わせてしまった

「どけっ!」と彼はきつく捨て台詞を吐き、相手に道を譲らせると面倒臭さのある嫌な意味で近寄りがたい雰囲気をばら撒き去っていく


「うへー、レンゲツのやつ機嫌最悪だよ!くわばら、くわばら。あんなのが更年期になったら老害への途上成長になるんだね」


聞こえたのか振り返り、睨まれた。少年はシラを切るつもりか、両耳を塞いで急ぎ入室

そして、イガネヤを前に畏まり、到着をわざわざ報告


「イガネヤさん!お待たせいたしました!このセーゼー!ただいま到着しました!」


短く、ツンツンはねた髪色鮮やかな金色がかった明るい茶髪に薄っすらほんのちょっぴり頬にそばかすが浮かぶ

若々しく、声が通り、穢れの知らなそうな未来のある顔だ。新芽のようで、仔犬みたいなやつである


「おぉ、セーゼーよ、お待ちしていましたよ・・・貴殿一名のみ?他にお呼びし方々はまだですか・・・?」


「僕の方からもここへ来る途中お呼びに回ったのですけど、化粧直しやら、トレーニングがあるからと、先に行かされまして」


「来る気があるならけっこうです・・・」


本来はボスに呼ばれた身のはずなのに、すぐに参じてほしいものである

呼んでおき、自分に報告を押し付けていなくなったボスもボスであるが

遅れやサボりぐらいでいちいち怒鳴り咎めるつもりはないので、あとの2名が来るまでただ待つだけであったが、再びハルカゼが背後から右肩に手を置いてきた


「握り飯は?おい、握り飯は?おにぎりだぞ。玄米か麦を混ぜた米を使い、炊き込みご飯か昆布の具を頼んだはずだ」


「あたしはー、おにぎりよりパンな気分。フレンチトーストを所望しちゃおー」


「ニハは少し黙っていてください」


あちらもこちらも、復活したハルカゼに加え、一癖も二癖もある各部隊の隊長の存在、それに挟まれ苛立ってきた

ハルカゼは「まぁいいか」と小指で鼻をほじくり、彼の肩に置いていた手を離すとこの場を後に何処かへ行こうと歩み始める。イガネヤを気遣ったり、空気を読んだわけでは決してない。暇潰しである

しかし「お待ちなさい!」と叫び、呼び止められた。イガネヤの近くにいたセーゼーは突然の振り絞ったような怒鳴りに驚いてしまう


「待って欲しいのか?まぁいいだろう。力づくにこの場を去る選択肢めあるにはあるが、聞いてやれる話は聞いてやるタイプだ、俺は」


「そうしていただくとありがたいです・・・力づくになりますと、この場にいる人手では、ハルカゼ殿を抑えるなど不可能で屍だけとなりますから」


「人手?あたし、人間じゃないんですけど」


ニハに細い指摘され、いちいち返していると疲れたり無駄なだけなので、グッと堪え無視する

その場に寝転り、ごろごろダラけ始めたハルカゼにそれでいいと内心


「では、私はあとの御二方をお呼びしてきます。くれぐれも無用な移動はおよしになられ、お待ちください」


セーゼーだけが返事する。不安は残るが、早く事を進ませたいので残り2名を呼びに向かうことにした

しかし、扉を開こうとした直前で先に開き、何者かが突撃してきたので衝突

激突したのに、相手は気づいておらず、吹き飛ばされたイガネヤをよそに「遅れたー!」と口に出しながら走って入室


「あれー?ボスはどこだ?」


立ち止まったところで、ようやく吹き飛ばされて床に転がっていたイガネヤに気づいた


「おー!イガネヤさん!こんなとこで寝転がって仕事疲れの仮眠かい?」


彼は無反応のまま起き上がり、何事もなかったかのように少しフラつきながらやって来た男の元へ歩み寄る


「よ、よくぞ来てくださいましたバジエルク殿。呼ばれていち早く来て欲しいものでしたが、トレーニングを優先したことには目を瞑りましょう」


バジエルクという男、鼻下に1つのほくろ、右頬には一線の切り傷痕が刻まれていた。こだわりか全身うっすら日焼けしており、坊主頭に右側に三本の剃り込み、白いタンクトップにカーキ色のズボンからはチェーンをサスペンダーに代わりに使用している

反省して欲しい部分を混ぜた話は耳に入っていないのかもしれない、先に辺りを見回したがやっぱりボスの姿がなく、セーゼーと目が合い、彼が手を振ってきたので振り返してあげた

聞いてくれていないのが解り、イガネヤは深く溜め息


「話の本題さえ聞いてくれれば良しとしましょう・・・」


「お?その本題ってのを説明するってのに、俺様を呼んだボス本人が遅刻してるじゃーありませんか?」


「ボスは野暮用で数時間、お戻りになりません。代わりとして私の口からお伝えいたします。集合時刻を伝えておいたはずですのに、やれ用事優先等で遅れ、別々に来る度にまた説明しなくてはならなくなるから、嫌なのです・・・」


「そいつはすいやせんでしたね・・・!」


口では一応謝るも、知ったことではない男の態度にその顔へ一発入れ、叩きのめしたくなってしまう

拳を出す真似事はせず、イガネヤは平常心を保ちあとの1名を待つつもりだったが、何故かハルカゼはバジエルクの尻へ目掛けて足を放ち、蹴り飛ばした


「ぎゃああああああっ!?」


蹴り飛ばされた男は、天井に激突し、床に叩きつけられる


「ちょっと何してるんですかハルカゼ殿!?」


「え?今、蹴り飛ばしてやる雰囲気だっただろ?」


ニハは大爆笑している。「ざまぁみろ!」と床に落ち

、横たわるバジエルクを指さした

男は起き上がり、猛スピードでハルカゼに詰め寄ると胸倉を掴む


「何様だ!?テメェ何様のつもりで!えぇっ!?のやろー!!ぶっ殺されてーか!?」


「そう焦り、慌てなさんな」


「テメェがいきなり蹴り入れてきたからだろーが!」


紅い瞳を持つ顔に、拳を撃ち込もうとしたがその腕をイガネヤが握り掴む。力が入っていくのを感じ、拳はそれ以上進まなかった


「ストップです、バジエルク殿」


「止めるのか!?こいつが前々から噂になっていたハルカゼとか言う歴史の置き忘れなら、こいつをせっかく生き返らせたのに殺させたくはないってか!?ボスから死なせるなの命令か!?」


「いえ、ここにいる全員が全滅します。巻き添えはやめていただきたいです」


セーゼーはどうすればいいか、どうしようもなく、ただ怯えながら薬指の爪を噛み、ニハですら冷汗に息を呑むだけ


「まぁまぁ、互いに怪我するのもさせるのも今は勘弁願いたい」


発端となった原因のくせにと、どうも納得いかないバジエルクだったが、ハルカゼの胸倉から手を放した

なんともいえない、ハルカゼ以外言葉を発しにくくなる悪い空気となった最中に扉が開く


「大変長らくお待たせしました!我らがボス!デートのお誘いにしてはとうとつ〜。本来なら、学生の下校時デートじゃないので、お誘いしてから準備や気持ち高鳴りの為の数日間は必要な〜のだけれど!ってあれ?ボスいないじゃない・・・」


入ってきた女性の長く、途中を翠の宝玉で束ねたストレートの髪が一歩毎に左右に揺れる。何故か着ているチャイナドレスの上に、Uネックボンテージのクロップタンクトップを着用していた


「説明、いたしましょうか?察していただくとありがたいです」


「いや?いやいや・・・イガネヤさんがということは、ボスが不在で代理にあなたが説明をしてくれるというわけね。これまでも何度かあったし、もう察しつくわよ」


「理解が早くて助かります」


ようやく、イガネヤの顔が余裕のあるものへ。これで全員が揃った、これで説明に移せると早くアフタヌーンティーで過ごしたい


(最初のデートのお誘いは勘違いではなく冗談か・・・)


ニハに、セーゼーとバジエルクの他に、見かけたことのない男の姿がそこにはあった

その男は女性が入ってきた際のデートのくだりに、くだらない推理をしていたが、彼女の視線を感じ顔を向ける


「そこにいる見覚えのない良い男は、もしかして以前より遺体を回収作戦の対象であり、かねてより準備を進めていたハルカゼね」


「俺を知っているのか?」


「もちろん・・・」


歩み、近づいてきた。ハルカゼは歩く際に時折覗く、魅力的な彼女の脚に思わず目がいく


「はじめまして、ハルカゼ。私はヒヒマ、長い付き合いになれるとするならば、以後お見知り置きを・・・」


手を差し出し、握手を求めてきた。拒否するほど悪い印象もないので、ハルカゼは求めに応じる

手と手が握られた瞬間、彼女の全身に無数の針が刺さったかのような恐怖による悪寒が走る。ちょっとイジワルで、握手する手を通じて生物の誰しもが持つ気を送ってこいつ何者だ!?と只者ではないと印象つけさせ、驚かせるつもりだったのだが、そんなものとは全く関係のない何かがそれを覆し伝わってきた


「では、ボスより招集を命じられた方々がお揃いになりましたので、本題へ移させていただきます・・・」


「おい、まさか復活した俺の腕を定めるためにこいつらと()りあい、殺せとぬかすんじゃなかろうな?」


「そんな血生臭い発想なんてありませんよ!」


咳を一回、改めて説明に入る


「ヒヒマ殿にバジエルク殿、それからセーゼー殿は本日から暫く、所属する隊を離れてもらい、ハルカゼ殿と共に小部隊として行動をなさってください」


もちろん、それぞれが質問なり訊ねたいこと、文句もある。それを言う前にニハが割って入ってきた


「あれ?あたしは?もしかして、ボスはただ将棋の相手としてあたしを呼んだ?」


「いえ、ニハ殿には別件の任務がちゃんとあります。ニハ殿、あなた様は北方角にあるD・K・ホワイトへ赴き・・・」


「そこ寒すぎるからヤダ。ボスの頼みなら、ボス自らが行きなさいよ、そこに用事があるなら。代理ばかり立てて」


「お嬢ちゃん良いこと言った!そうだそうだ!ボスだか上司だか古株だか知らねえけどよ、自分は昔にしたからと部下や新人にばかりやらせるな!成長や経験という屁理屈で、同じ苦労させるのは愛情じゃないぞ!」


頭が痛い、右手の掌底で額を叩く

そこへ追撃か、イガネヤに迫ってきたバジエルクが怒りの声を挙げた


「どうして俺様がこんな小僧の子守をしなくちゃならねーんだ!?」


「小僧じゃない!小僧と言われる歳でもない!女性経験もある!」


「知るかー!」と、煩く響き、そのまま噛みつくんじゃないかぐらい口を開いて怒鳴るバジエルクの額へ、中指を使い、軽くデコピンを放つ

その直後、中身でも抜かれたかのように男は床に突然と倒れてしまった

イガネヤがすぐに倒れた男の元へ行き、身体を揺すり、声を掛けるが口からは泡が漏れており、しばらく意識は戻らないだろうと首を横に振る

自分がやったくせに、もう他人事のよううに見向きもしなくなったハルカゼに、セーゼーは熱でもある時や高揚し冷め上がらぬ興奮時になる顔を少し赤らめ、歯切れ悪く、問いかけてきた


「ハ、ハルカゼさんの初体験は、どのような?」


意外な質問であった。イガネヤも、ニハもヒヒマも、視線はセーゼーに一斉に向けられる

思春期直撃の歳特有の性に対する興味。自分にも覚えがあるので、ハルカゼは年頃の者へ快く教えてあげることにした


「あれは、虫がよく鳴く日の夜であった・・・俺は軽くのつもりだったが長引いた鍛錬を終え、身体を洗い、あとは覚えたての酒を一杯だけ飲み、床に伏せるつもりでいたのだが・・・」


二人の頭頂部に、続けて拳骨が落ちた。イガネヤの拳である。ジンと痛む拳を撫で、ハルカゼの思い出話をさせなく、遮るのを含め、こちらからの話を進めることにした


「ハルカゼ殿は、まず何をなされたいのでしょうか?ボスより、最初はそれを訊いておくように頼まれましたので・・・」


「したいこと?したいことか・・・真っ先に浮かび、できた目的は3つある。まずは武器だ。武器を手と腰に戻したい。俺の愛刀であった名刀の破竹(はちく)を・・・誰の手にも渡っていないのと、何処にあるかはわかる。生き返ってから、俺の存在を察してか、誘い、呼びかけてくれているからな」


ニハは首を傾げ、尋ねる


「刀、自体が?」


「刀自体がだ、お嬢ちゃん。おとぎ話の世界だけでは狭く、収まらないのだよ。物にも魂と絆というものは必ずある」


言っていることが、頭の中がお花畑で済まなければよいのだが。彼女はそんなメルヘンの片鱗には興味がなさそうだ

ハルカゼは、手元にはないかつての愛刀の幻影を追っているのか、右手を見つめ握った。あれをまず手にすれば、自分が生きているのを改めて実感できる気がして

ヒヒマが「では、さっそく」と早めの行動を促し、それに頷くセーゼーは先に部屋を出ていった

ニハはまたあとでボス本人に顔を出す前の時間潰しを探しに

イガネヤはアフタヌーンティーが為に

部屋を出て、灯りが消える

バジエルクはその場に放置されたままであるが

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