表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光ある概念の終日  作者: 茶三朗
Master The Orderの中芯
120/217

Master The Orderの先頭位置 11

ネフウィネの一撃を叩き込まれてから、それほど時間は経過していない。真っ黒な世界に一時閉じ込められたが、すぐに起き上がろう。そう思い、 まずは目を開いたが、視界に入ってきたのは白い天井

見覚えのある部屋の天井、前にジョーカーと戦った後に訪れ、世話になったことがある

時間があまり経っていないと錯覚していたが、かなりの時間、意識を失っていたようだ


「この数ヶ月に数回も見舞いに行くはめになるとはな」


誰かの声に反応し、体を起こした。ベッドの横にではなく、向かいに壁を背もたれにして丸椅子に座るエモンの姿があった


「つい先程まではアオバって娘がいたんだが、夜も遅くなるので帰らせた。残念だったな、数分前に目を覚ませば可愛らしい女の見舞いというシチュエーションに遭遇できたというのに。俺が来るまで、付きっ切りでお前側にいてくれたみたいだ。後日、ちゃんと礼ぐらいは言っておけよ」


どうやらあの後、彼女の身に何も起きず安堵した。その様子にエモンが「なーに安心してる?」と尋ねながら、自分が見舞いの品として持ってきたであろう果物の詰め合わせからメロンを取ると、包丁はないので果物ナイフで切り分ける

贅沢にも真っ二つにしただけ、切った果肉の詰まる面にスプーンを豪快に突き刺すと、片方をモトキへと持っていく


「あ、ありが・・・」


メロンを受け取ろうとしたが、エモンに顔を掴まれ、遮られた。指先に力を入れ、締めあげてくる


「誰もやるーや、食えーなんて言ってねぇだろ。俺は今からこのメロンを食うぞって教えたかっただけだ」


そう言うと丸椅子に戻り、スプーンで果肉を掬い、食べ始めた。もう半分の方は膝に置いている

モトキ、少しイラっとした


(これより、鼻奥にある血の固まった鼻クソをぶつけてやろうかな?)


右の鼻の穴を押さえ、擤鼻を行いエモンへ向け鼻クソを飛ばそうとするが、「そういえば・・・」と次の話に入ろうとしてきたのでやめた


「お前、地をいく傭兵団メンバーの1人と接触してたんだな。クローイか、年頃の成長期によるものか以前会った頃より身長が少し伸びてら」


「顔見知りか?」


「まぁな。あそこの団長とは昔ちょっと拗れたり、共闘ぐらいはしたことあるからな」


どうやら自分が意識を失った後、ネフウィネに殺されなかったようだ。再び安堵する

途中、元はネフウィネが彼女を痛めつけ、始末しようとするのを止めるところから始まったことを忘れていた


「世界名工師作品シリーズの剣や業物、槍とかの図鑑をずっと読んでたな、あの娘。俺の大太刀をよくベタベタ触り、ニヤついてた」


片方の果肉を食べ終えた。皮の皿には種と少しの果汁だけが残る。もう1つの方を食べ始めるが、何かを思い出したのか手を止め、ジャケットのポケットから封筒を取り出す


「これ、目を通しておけ」


モトキに渡し、受け取った彼はすぐに封を破き中を確認。あったのは1枚の折り畳まれた紙

手紙だろうか?読む前に、エモンに訊ねた


「これは?」


「請求書だ。今回の街に起きた被害のな。向こう側がほとんど出してはくれたが、お前も関わりと原因が0じゃないから」


「え?」と、呆気に取られた表情。そんな彼にエモンは関係なさそうに、メロンを食べながら退室

恐る恐る、畳まれた請求書を開き、目を通す

目ん玉が飛び出しそうだ。モトキの悲痛の叫びが、病院内に響いた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ