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光ある概念の終日  作者: 茶三朗
一般とFifthと
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寒気呟く白き橋にて 4

どうすべきかと頭の中を巡らせたが、先に体が自然と動く。本能は躱すより、攻撃を受ける選択をした。

咄嗟に手に出現させた盾が、彼女の指先から放たれる光の力による薙ぎ払いを受け止める。

盾に光の力が重くのしかかり、靴底から抉られそうで押し負けそうになるが、一呼吸と共に両足から力を入れ、踏み込むことで全身に力を走らせるとほんの一瞬だけ盾を引いて押し返せば、光を打ち破った。


「お見事!」


やはり只者ではないと実感し、賞賛の一言を述べながらミナールは、左手に持つ独鈷杵を投げて足元に突き刺した。

その次の瞬間、水をぶちまけたような轟音と共に橋を突き破って水柱が生じる。


「これで意識を手放してしまいなよ!!」


水は生きているかのごとく、モトキへ目掛けて前方より襲いかかってきた。

先の光の力と同じく、真正面から激水を盾で受け止めてすぐ、水柱は凍結してしまう。


「・・・っっ!!?」


盾に防がれ、拡散した膨大な水はモトキを捕らえただけでなく、鼻と口をも塞いでしまい、呼吸をできなくした。

珍しい氷の属性エネルギーかと思われたが、この氷からは水の力しか感じられない。


「受け身ばかりでいるからよ・・・」


氷を砕いて脱出を計ろうとするが、そう簡単にはいかず、その間にミナールは右手に持つ独鈷杵の刃を光の刃と化し、威力とリーチを増幅させると爪先で橋を蹴り、モトキとの間合いを一気に詰める。


「タイガ!あんたの駒が1つ消えるわよ!」


モトキの首に光の刃が触れる直前で、突如として彼女の動きが止まった。

それは、強大なる殺気が急に2人を襲ったからである。


「嗅ぎつけてきたわね・・・!」


ミナールはモトキを斬り捨てることなく、後方へ大きく跳び、後退した。

その直後、2人の間に勢いよく人影が落ちる。

しかし、そこには誰もおらず、橋に穴が増えただけ。


「勢いをつけすぎた・・・」


穴からタイガが身を出す。その姿を見てミナールの表情は険しくなり、モトキは口は動かずとも唖然とする。

タイガは、モトキに纏う氷を炎が宿る拳による一撃で砕いたところで、ミナールが叫ぶ。


「タイガっ!やっぱり!助太刀にくるとは思ってはいたけど!」


それを聞き、彼女の後方にて静観していた取り巻き達は、ならば自分達も手を貸さなくてはと身構えた。

だが、タイガは「いや・・・」と、否定する。

モトキとミナールに挟まれる位置から移動して「どうぞ」と、手を出すつもりはないと意思表示をした。


「じゃ、頑張れよモトキ」


「おい・・・止めてくれたり、説得ぐらいしてくれないのか?」


モトキからの問いの返答は「甘えるな!」で、あった。

タイガは、彼の脳天にチョップを下す。直撃を受け、鼻血を噴き出し、そのまま沈められ下半身が橋に埋まってしまう。


「あ、悪い」


ついやってしまったとすぐに謝罪をし、引き抜いてやると、モトキの肩を2回叩いた。


「俺の立場のせいで、巻き込んでしまい悪かったな。行かずに無視すればいいものを・・・」


「まぁ、俺だけなら別にいいが・・・あのお嬢さんからの手紙にクラスメイトのことも書かれていてな。しょうがない・・・」


「そうか・・・」と呟く。だが、タイガには解っていた。モトキはクラスメイトの為に逃げれなかったわけじゃない、鼻から逃げるつもりはなかったのだ。

こいつは無自覚だが、少しだけ自分と同類なのである。


「よし、モトキ。こうなった以上は、逃げずに挑め。一般生徒がMaster The Orderと手合わせできるなんて本来はありはしないからな。俺とそのクラスメイトの為に戦ってくれ」


「うーん・・・わかった」


これでモトキも、なんとか彼女と戦う理由ができたので、健闘を祈るとタイガとは生まれて初めてのグータッチを終えてから歩み始めた。


「おぉう・・・」


先程までとは、まるっきり違う雰囲気に変貌。急激な変化で、ミナールの背を刺すように悪寒が突き抜ける。

強者から出る威圧とは違い、彼女もまた無自覚にもちょっぴり戦闘が楽しくなってきているモトキの気配を感じ取り、武者震いがした。


「もうお前から逃れようとする姿勢を見せはしない。お前やタイガとは違うが、同じ学舎の一生徒同士として向き合ってやる」


「やってみなさいよ・・・!」


彼の盾の内にある空であって鞘に両手剣が現れ、左手はその得物を引き抜く。

また一層、空気が変わる。

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