プロローグ
黒歴史を除けば初投稿です。
温かい目で見守ってくださるとうれしいです。
――格好つけでも、極めれば至高となる。
そんな、ふざけたようなキャッチコピーと共に発表されたのが国内最大のゲーム会社、『院天堂』製作のVRMMORPG――《Impressive Force Online》。通称はインプレ・オンライン。
簡単に言うなら、これは昨今の厨二病ブームに乗っかった作品だ。魔法は全て恥ずかしいくらいに意味不明な詠唱があり、武器のスキルを使うにも決め台詞あり、といった感じ。ただ淡々と剣や杖を振るって戦闘をするのではなく、熱く、それこそアニメか何かのような戦いを。というのがコンセプトらしい。
国内最大のメーカーが打ち出したこれだが、発表直後より、ネットを始めさまざまな場所で論争が巻き起こった。そもそも、これウケんのか? と。
まぁ、結果から言おう。メチャクチャウケた。βテストへの応募人数は軽く五十万を超えていたらしい。ちなみに、テスターの枠は三万。そして俺、水上紅道は……その三万の中に入る、スーパーラッキーボーイだ。
はっきり言って、当たるとは思わなかった。気軽な気持ちでとりあえず応募しておいてよかった、というのが感想か。友人たちは皆落ちたというし。とはいえ、正直なところ宝くじでも買っておけばよかったかなぁと思わなくも無い。
さて、インプレ・オンラインの発表から一ヵ月が経った。
俺は最新型のヘッドギア型V R機、『イン・ワールド』を手に自室にいた。
時計をチラ、と見れば、すでに開始五分前。
――よし。
俺は頭に深くヘッドギアを被り、目を閉じた。ソフトは既にダウンロードしてある。あとは、耳の辺りにある起動スイッチを押すだけだ。
俺は深呼吸をしてから、右の人差し指でゆっくりと、スイッチを押し込んだ。
――イン・ワールド、起動。
――ヴァーチャルシステム、起動完了。
――ソフトウェア、読み込み開始……完了。
――自動的にソフト《Impressive Force Online》を起動します。
――数秒の起動シークエンスが終わり、覚醒したとき。俺は真っ白な『空間』に浮かんでいた。そこには上下左右も、奥行きも無い。
まずはここでキャラクターの作成をしなければならない。といっても、顔は変えられないが。というのも、顔を変えてプレイし続けると人格に影響が出るらしいのだ。
というわけで、キャラクターの作成は名前を決めるところから始まる。
俺は空中に出現したタッチパネルを使い、『クドウ』と入力。プロフィールにはとりあえず、よろしくとだけ入れておく。どうせパーティを組むつもりは無いのだから、他人にどう思われてもいい。
次に、髪型。ここではとりあえず、現実と同じ髪型で色だけを赤に変えておく。理由は名前にある。紅道の『紅』からだ。
と、ここまででキャラクターの作成は終了した。やけに呆気ない気がする。職業などがないのはゲーム開始後に選択するからだろうか。
と、視界の隅にある時計に目をやれば――視界の隅を注視するというのも変だが――ゲーム開始まで、残り一分を切っていた。
五十…三十五…二十。
若干緊張しつつ、俺は時計から目を離さない。
十、九、八、七。
――だが、俺は知らないのだ。
六、五、四。
――待ち受ける、
三、二、一。
――悲惨な現実を。
零。
瞬間、視界が光に覆い尽くされる。
これが悪夢の……始まり。
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