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とある大学生の出会い

隣に座ったのはいかにも最近の大学生ですって感じの男子だった。…まあ私も大学生だが。


今流行りの草食系男子ってやつだろうか。


肉食系だとか草食系だとか正直私にはよく分からない。


人間は雑食じゃないのか、ベジタリアンなのかとかいろいろ突っ込みたいところだが今は関係ない話なので置いておこう。


私は隣に人が座っているとパーソナルスペースが侵された気がして落ちつかなくなるのでいつも図書館では空いている階に陣取っている。


それなのに何故この男子はあろうことかこんな空いている席の中で私の真横を選んだのか。全く持って腹立たしい。


それとも何か、私がトイレか何かで席を外した瞬間、財布をパクろうって魂胆か。その手には乗らんぞ。


私はその人から離れようとひとつ隣の席に移ろうとした。


「あのう、すみません」


するとその草食系男子はいきなり私に話しかけてきたのだ。


もしかしてこいつは私の顔見知りだったか?邪険に扱っては残りの大学生活が苦しくなるかもしれぬ。余り邪険には扱えない。


そう思い、私はいわゆる「愛想笑い」を顔に張り付けにこやかに対応した。


「はい、なにか?」


「いきなりすみません。見ず知らずの人にこんなこと申し訳ないんだけど…」


なんだ、こいつは顔見知りじゃなかったか。最近の若い奴はみんな顔が同じに見えるんだよ。…私も若いけど。


「ペン貸してくれる?今日一日」


「は?」


いきなりなんなんだこいつは。


初対面で物貸してくれって、しかもタメ口かよおおおお!これがゆとり?いや私もゆとりだけど!


「今日友達と講義かぶってなくてさ、なのに筆記用具全部忘れてきちゃって。ついでに教科書も」


「はぁ。別にいいですけど…」


私は愛想笑いも忘れ、半ば茫然と消しゴムとシャーペンを渡してやった。


何なんだよこいつ。最近の若者怖えええ。私も若者だけど。


「おーさんきゅっ!マジで助かる!教科書借りに図書館来たんだけどさぁ、あんた見えたから勇気を振り絞って頼んだ甲斐があったよ」


「私が見えたから?」


何を言ってるんだこいつは。日本語でおk


「だってあんた、いっつもここにいるだろう?俺もよく図書館来るんだけどさ、いっつもあんた見るから」


「はぁ」


そんな図書館の座敷わらしみたいに思われていたのか。っていうかいつも見られてたのか!ハズっ!


いつも見られていたということに恐怖心よりもまず羞恥心の方が沸き起こった。


きっと恐怖心を起こさせないのはこいつの雰囲気にあるんだと思う。


「講義終わったらペン返しに来るけど、あんたいつまで学校にいる?」


「別に今日じゃなくてもいいです」


ちょっと冷たかったか…なんて言ってから後悔してもしょうがない。


しかし相手は気にした様子もなく「じゃあ今度見かけたときに返すわ」と笑って再度礼を言いつつ去って行った。


「なんなん…」


ちょっとああいう系統の人間は苦手だ。


自分人生謳歌してます。大学生活楽しいです。苦労何にもしてません。今が楽しければそれでよしって感じのする系統。


出来ればもう会いたくない。


「別の場所に移ろうかな…」


そう思いつつ、私も授業に行くことにした。




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